「トランプの野郎」「米国の奴ら」 韓国からミカン「傀儡の戦利品」 焦る北朝鮮 蔑称連発 2019/7/28

2019-07-28 | 国際/中国/アジア

「トランプの野郎」「米国の奴ら」 韓国からミカン「傀儡の戦利品」

焦る北朝鮮 蔑称連発 内部文書分析  核心   

   中日新聞 2019年7月28日

  北朝鮮が昨年11月下旬ごろ、治安機関向けに作成した内部文書は、国内で制裁解除への期待感が広がっていた状況を浮かび上がらせる。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長はそうした期待を戒める半面、その実、米国には早期解除を要求。しかし、今年2月のハノイでの米朝首脳会談で米側が要求を拒むと、交渉の入り口では制裁解除を主張せず、「体制の安全の保証」(体制の保証)を先行して求める姿勢に変わってきた。 (北京・城内康伸)

■薫風に幻惑
 「大胆な決断と卓越した外交知略、精力的な活動で対外環境は有利に転換している」。本紙が入手した内部文書はまず、昨年に入り中朝、南北、米朝の各首脳会談を次々に実現させた正恩氏の外交手腕を称賛。その上で、制裁解除を期待する国内状況を伝える。
 「人々の間に、情勢緩和の薫風に幻惑される現象が起きている」
 「ある人は『このまま進めば、来春ごろには制裁が緩和される』と話し、ある人は『朝米関係が改善されれば、経済封鎖も直ちに解除される』と軽率な言動をしている」
 韓国政府は昨年11月に2回に分け、ミカン2万箱を輸送機に載せて北朝鮮に届けた。文書によると、これを目撃した住民は「これで制裁は解除される」と声を上げたという。だが、文書の解説はこうだ。「傀儡が送ってきたミカンは戦利品だ」

■緩みを警戒
 文書には、「傀儡」「米帝」「米国の奴ら」「トランプの野郎」など、北朝鮮メディアから消えた蔑称が続出する。
 北朝鮮当局が強調していたのは、米韓を「信用するな」という警告だった。「敵の制裁が解除されるという流言飛語が、出回らないよう格別に注意しなければならない」「誰かから聞いた話を、別の人に伝えてはならない」などとクギを刺し、体制に緩みが生じることを極度に警戒していたことがうかがえる。
 文書の作成は、シンガポールでの史上初の米朝首脳会談から約5か月、平壌で行われた韓国のムンジェイン大統領との3回目の会談から約2か月が経った時期。非核化を巡る米朝交渉は膠着、制裁緩和を引き出せずにいた北朝鮮は焦っていた。 今年2月には、再びこぎ着けたハノイでの米朝会談が事実上決裂。トランプ大統領は制裁緩和の要求を受け入れず、正恩氏のシナリオは狂った。

 ■長期戦様相
 正恩氏は4月の施政演説で「制裁解除ごときに、執着する必要はない」と表明した。複数の外交筋によると、4~6月に相次いだロシア、中国、米国との首脳会談で、正恩氏は制裁問題には言及せず、「体制の保証」を訴えたとされる。
 体制の保証は、昨年6月の米朝首脳会談の共同声明で、トランプ氏が約束した項目だ。このため、正恩氏の要求は「原点に戻った」(外交筋)ともとれる。
 ただ、体制の保証の定義は曖昧さを残している。より高いハードルを前面に押し出し、米国の譲歩を引き出す戦術に転換した可能性もある。交渉が進めば、体制維持のための経済活動を保証すべきだとして再び制裁解除を要求する公算は大きく、米朝交渉はさらなる長期戦の様相を帯びてきた。
 「制裁解除だけ待つ愚かな幻想を振り払え」(労働新聞)。北朝鮮は国内で連日のように、外部に頼らない「自力再生」の大号令をかけている。

  ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)


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