お花見はいつ？

　寒い日が続いたので、咲きかけた桜は開花を停滞しているようです。気象予報では、首都圏のお花見は土曜日がベストということです。ヒートアイランド現象のせいでしょうか、上野公園ではすでにお花見が盛況なようです。普段は目立たない樹なのに、開花すると、艶やかで華やかで絢爛豪華な姿を見せてくれます。しかも、散り際が日本画のように美しいのです。だから、桜は日本人に愛されているのでしょう。

　「願はくは花の下にて春死なん　その如月の望月のころ」と歌ったのは西行法師ですが、満開の桜の下で人生を終えるというのは、贅沢な願いではないでしょうか？西行法師はほぼ願い通りに逝去することができたようです。

　私が知っているタイ人の大学の先生も、来日して桜の美しさに感動したようです。特に、花吹雪を”picturesque”と表現していました。私から見ると、熱帯のタイでは人々はランのような華麗な花に親しんでいるはずですが、日本の桜のように一見淡泊な花を美しいと感じるのだろうかという疑問がありました。しかし、春のクライマックスを告げる桜の情感は、普遍的な美意識を刺激するのではないでしょうか？

　ゲーテの「ファウスト」の最後で「時よ止まれ、おまえはあまりにも美しい」とファウストを叫ばせるほどの華麗な変化、それは桜の散り際なのです。