学生のうちにしておいた方がいいことは

　いまは新4年生が就職活動真っ盛りだとお察ししますが、よく学生のうちにしておいた方がいいことは何ですかと訊かれます。資格を取っておいた方がいいですか、と質問されることもありますが、実務経験のない学生に取得できる資格をもっていたからといって企業の評価が高まるとは思えないのです。それよりも、しっかり勉強をしていい成績を取るか、卒業研究に打ち込んで、ある分野で専門知識をもつ方が、意欲的だと評価されるのではないでしょうか？それに、情報を得たり、文献を読んだり、分析したりする能力が向上すると思います。

　私が学生に勧めたいのは、日本を旅することです。日本は、北海道から沖縄まで、様々な文化の宝庫で、食べ物、工芸、習慣、言葉など多種多様です。私達の中にある多様性を知ることが大切だと思います。そして、これから社会で多くの人と知り合ったときに、その人の出身地を旅したことがあると、たとえば秋田の地酒は最高ですね、とか、道頓堀は大阪らしくて活気がありますね、などと話の糸口を付けやすいのです。旅行は社会人になってからでも行けますが、時間の制約はあるし、学生の方が地元の人も親切にしてくれるのです。

　コミュニケーションを取るときに、相手と共通の話題をもつことは大切ですが、何よりも相手の出身地をよく知っていることが重要だと考えられます。そこに行ったことがあるというだけで、相手の反応は全く違いますから。