低気圧の去った鎌倉は

　鎌倉文学館の庭園では、まだ秋のバラが残っていました。低気圧が去った翌日の日曜日は、快晴の青空が広がっています。小春日和、あるいはIndian Summerというのでしょうか、暑いくらいの陽気です。薔薇の盛りはすでに過ぎていますが、「鎌倉」という名の黄色いバラ、「白秋」という白いバラ、「イングリッド・バーグマン」という赤いバラが咲いています。

　七里ヶ浜に着くと、西日は低気圧の置き土産の荒波を横から照射しています。落日までそれほど時間はありません。冬至まであとひと月ほどですから、日の入りは大分早いのです。日没になると、地平線のあたりは紅茶のような朱に染まり、マッコウクジラのような江ノ島を浮かび上がらせています。右手には、形のよい富士山が蒼いシルエットになって浮き出てきます。この風景をずっと眺めていたいところですが、そうも行きません。