やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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幽霊だけど恋してる―39話

2013-07-28 20:16:15 | 小説
露子達は老人に付いて行った。

杖を持っている割には、スピードが早い。

やはり幽霊と言う存在だ。

宙に浮いているので杖の必要はない。

それでも生前の記憶がそのままあるから、杖は外せないアイテムだ。

あっという間に地下に降りた。

地下には霊安室というのがある。

線香の匂いが残っているが、強くない。

もう既に自宅に帰って誰もいないのだろう。

静かな空間だ。

その脇を通り抜けると、そこには研究用の動物の飼育室がある。

うさぎやマウスなどが閉じ込められている。

そしてその奥に、保管室があった。

古い資料で、ほとんど誰も開くことが無い資料が、創立以来保管されているらしい。

「なぜここに資料があることを知ってるんですか?」

透が聞いた。

「私が亡くなった数ヵ月後に、息子が死因の確認に来たんだ。何か気になることがあったらしい。しかし既にカルテは保管庫にあってね。その時に私も同行したんだ」

地下の扉を通り抜けて、保管庫に入った。

周りは真っ暗だが、私達には何もかもが見える。

これが幽霊の特権のひとつだ。

「どこらかな。何年ごろかな?」

「はっきりとはわからないのですが、37年か38年ごろだと」

「その頃なら、、、ここかな」

見ると年代ごとに整理されていた。

確かに37年と書かれている。

だがどうやってその中身を見るのだろうか。

手を当てても通り抜けてしまう。

幽霊には無理。

そう思っていた時に、おじいさんは動き出した。

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