やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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呪いアプリー288話

2013-02-28 07:24:51 | 小説
自分の考えを整理していくと、確信に変わった。

今までの流れで悪霊の正体は、頭後義久だと思っていた。

しかし、頭前一族と頭後一族の関係から、今までの事件を考えてみると、出入り口として使われた自分を含めての2人しかいない。

他の人との接点は、今のところ何もないはずだ。

頭前・頭後両家とも珍しい名字で、日本国内にそんなに分布していない。

だからこそ今まで事故や事件・自殺で亡くなった人との接点は、ほとんどないはずだ。

つまり一連の事件と頭後義久との関連性は薄い。

だからと言って、7人ミサキかと言えば違うだろう。

彼らは操られている感じだ。

つまり今まで追いかけてきた犯人は別にいる。

そう思うと、早く道如達に伝えたかった。

ひどく地面にぶつけたのか、あちらこちらが痛いが、頭前は歩き始めた。

もう登り始めた朝日を浴びながら。



平の病室では、慌ただしい動きがあった。

容態が一変し、危篤状態だった。

体力の低下と大量の出血のための、ショック状態だった。

しかし彼と共にしてきた4人の姿はない。

頭前は首切り山。

他の3名は行方不明だ。

ただ彼の姿をじっと見ている人物がいた。

妙願寺の俊教だ。

病室の隅で、じっと平を見ていた。

医者や看護師は気付かないのか、面会謝絶の病室から追い出そうともしない。

俊教は微動だにせず、じっと・・じっと平を見ている。


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呪いアプリー287話

2013-02-27 07:29:22 | 小説
先程見たのは、本当に夢だったのだろうか。

リアルすぎるほどの、恐怖があった。

もしかして悪霊の扉としての死を迎える瞬間だったかもしれない。

「しかしなぜ?」

疑問が湧き上がる。

頭後義久は、頭前家を恨んでいる。

それなのになぜ頭前を出入り口としたのだろうか。

普通なら末代まで呪うというのが一般的に考えられることで、一般市民を巻き込むことなどないだろう。

なのに頭前はこうして生きている。

しかも平や仲間たちに守られながら。

その何かと言う理由がわかれば、解決できるのかもしれない。

頭後義久の霊が悪霊だとされているが、本当にそうなのだろうか?

あの遺体は、怨念を持って死んだようには見えない。

じっと目を見開いた状態ではいたが、恨めしい顔ではなかった。

どちらかというと蝋人形のように、無表情。

そう、無表情だ。

何もかもを捨てたような、感情を無くした顔なのだ。

そこでまた疑問が浮かぶ。

「あの顔から、頭後義久が悪霊だとは思えない・・・。もしかしたら、別にいるのかもしれない」

ふとそう感じた。

だからかもしれない。

平が言っていた今晩が危ないと言っていたことが、現実には何もなく過ぎている。

もう空はしらじらと朝日を迎えようとしていた。

頭後義久の魂は復活したかもしれないが、悪霊自体は他にいる。

だからこそ、今晩は何も起こらなかった。

そう考える方が、筋が通っている気がする。

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呪いアプリー286話

2013-02-26 07:31:40 | 小説
夢を見ていた。

いつの時代かわからないが。

そこにはあの頭後義久のじっとこちらを見る目があった。

恐怖と驚きとで、逃げようとする。

だが身体は動かなかった。

周りには数人の人が行きかっている。

アスファルトではない路面で、子供たちが遊んでいる。

ランニングシャツに短パン。

坊主頭。

ここは昭和初期なんだ。

頭後義久の生きていた時代。

周りの状況はわかるが、声も出せないし身体も動かない。

じっと恐怖を感じている。

その時に、頭後義久がすくっと立ち上がった。

通りの向こうから、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

無表情のまま。

瞬きひとつしないで、じっとこちらを見つめたまま。

殺される。

そう感じた。

金縛りなら解けろ!と願った。

だが全く目と脳以外には何も動かせなかった。

どんどんと近づいてくる。

後数メートル。

その時にまばゆい光が頭後の姿を消した。

光の中にあった頭後のシルエットが完全に消えたとき、意識が戻った。

真っ暗な山肌の上に転がっていた。

さっきと同じように、誰もいない。

静かな山の中だ。

視線をずらすと、祠が目の前にあった。

もしかして、この祠の主に助けられたのだろうか。

そう感じた。

ゆっくりと体を起こし、祠に手を合わせた。





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呪いアプリー285話

2013-02-25 07:24:41 | 小説
「よし。決心しよう!」

頭前は決めた。

ここで捜索すると、行方不明の3名は見つかるかもしれない。

しかしその3名の命をたとえ救えたとしても、多くの人の命は救えない。

頭前一族と頭後一族の因縁の戦いならば、多くの人を巻き込んではいけない。

自分が決着をつけるしかなかった。

何もなく普通に過ごしてきた凡人の自分が、悪霊に勝てるわけはなかった。

しかし自分が死ぬことで、悪霊の魂が少しでもやり遂げた感が生まれれば、多くの犠牲者はこれから先でないかもしれない。

ただ、自殺などといったことをするつもりはない。

自分からなど・・・あり得ない。

少なくとも戦って死ぬつもりだ。

とりあえずここには何もない。

街に戻ろう。

下山を始めた。

ただ麓から町まではタクシーなど拾えないだろう。

町まで歩くしかない。

少しでも早く着かなければ。。。

急いで坂を下った。

小さな崖を飛び越え、草木の中をかき分けながら進んだ。

幾つかのこぶを飛び越したとき、何かに足を捕られた。

あっ!

そのまま意識が遠のく。

頭の中では起き上がれと命じているのに・・・・

頭前の50cmほど後ろに、岩が地面から飛び出ていた。

その岩に足を捕られたのだが、幸運にもその岩の横にある松の木根元には、小さな祠があった。

何を祭っているのかは不明だが、彼の横に寄り添うように存在している。

ここはまだ五芒星の中。

ぎりぎりの場所にあった。
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呪いアプリー284話

2013-02-24 20:46:59 | 小説
空には満天の星が光る。

これほど美しい星空は見たことが無い。

ただし。。。。何もなければだ。

頭前はそれどころではなかった。

山の隅々まで明かりを探す。

どこにもそれらしいものはない。

暗闇に慣れた目では、木々や山肌の露出している場所などもわかる。

人の動く影も見えない。

悪霊や死霊の姿を見えない。

元々見えない頭前だが、今ここに居ても見えないことが歯がゆい。

ただぼんやりとだが、何かしら動いているものがわかる程度ではある。

力強く目を見開いて、360度を見渡した。

どうしたんだろう。。。。

もうどうしていいのかわからなくなった。

その時にふと頭を過るのは、既に悪霊は街で暴れていて、近辺の村々に人という存在は無くなっているのではないか。

そんな恐怖を感じる。

山を下ろうか。

それともこのまま山を捜索しようか。

気持ちが決まらない。

今ここに、平でも由縫でも道如でも源興でも。。。誰でもいいから居て欲しいと願う。

気が狂いそうなほど、パニックになっていた。



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