やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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甘えたくて

2015-03-18 19:05:27 | 小説
かなり離れた場所を歩いているつもりだった。



それなのに、君は何時でも気付いてくれる。



それは俺だからではないとわかっている。



いつも通りを歩く人や、客を気にしているからだ。



それでも気付いてくれるということが嬉しい。



満面の笑みで。。。。



君の金髪に染めた髪がライトで光り、会釈してくれたのがわかる。



少し早歩きになって、君の元へと向かう。



横に並ぶと、いつものように話が弾む。



君には簡単に触れることはできないけど、同じものを触ることができる。



「これどう?」



「これはこうやって、、、どう?」



「あっいいね。でもって香りも」



「でしょ♪」



そんな客と店員の会話。



それでも誰もがわかってる。



他の店員さんも、お客さんも。



少し甘えたようにデレデレと話す俺がそこにいるから。



そして、二人っきりの世界があるから。



だけどそこは彼女の仕事場。



長居をして無駄話をするわけにはいかない。



手を振って後にする。



振り返ると君は・・・新しい客と話している。



わずか数秒が、、、過去になっている。



もう数秒後戻り出来るのなら、あの場所には彼女と俺がいるはずなのに。



もう一度、君の側で甘えた声で言えたのに。



「君の香りもいいね♪」って。


コメント
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