やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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幽霊だけど恋してる―19話

2013-07-08 07:40:58 | 小説
優一を想い焦がれていたあの日のことが、夢の中に出てくる。

廊下ですれ違ってドキドキして、声を掛けられて身体が硬直して。

それが普通に話ができるまで、2ヶ月かかった。

それからは急速に接近していった。

「おまえら付き合ってんの?」

そう聞かれたこともあった。

「違う」という彼の言葉に涙が溢れそうになった。

どんなに好きになっても、振り向いてもらえないのだとそう思っていた。

それなのに夢の中では、彼はこちらをみて笑ってくれている。

そして、こちらに歩き出す。

少しづつ顔が近くなる。

どうしたの?

その時に目が覚めた。

既に妹は学校に行くために、玄関を出ている。

朝なんだ。

昨日のは本当だったんだろうか。

今見た夢の前半だったのか。。。

なんとなく朦朧としている意識。

それでも身体を起こした。

普段ならだるいはずの身体が、軽く浮き上がる。

幽霊なんだと実感する。

昨日のこと、透君に相談してみよう。

そう思って玄関を出た。

学校までの距離、あれこれと考えてみる。

生きている人間との恋なんて、成立できるはずもない。

もしかして、よくある怖い話のように私は、彼をあの世に道ずれにしてしまうかもしれない。

それもまた恐怖だ。

何を考えているのだろう。

自分を叱りながら、学校へと急いだ。

幽霊と言うのは、本当に・・・怖い。

自分で言うのもなんだけど。。。

校門を抜けて、生徒たちとは違う方向に向かう。

旧校舎の屋上に。
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