やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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over again-84話(15年の時間)

2010-01-31 20:29:21 | 小説
ゲームの存在と、吉川から情報を聞き出すこと。
このふたつで戻れるとは限らない。
しかし、それが重要なポイントだとは思っている。
恵子は裕子と子供のころにいた時間を、懐かしく思う反面、どことなく15年の月日で他人行儀になっている自分に戸惑っていた。
今の身体は子供のままだ。
しかし記憶も頭の中も15年後の大人だ。
このままもし戻れなかったら、裕子と友達でいられるのだろうか。
ふと不安にもなる。
友情はいつまでも続くのか。。。
15年ほとんど連絡とっていない間、お互いに親友という存在はできているはず。
生き方も考え方も変わっている。
会話もあまりない時間が過ぎている。
早く降りよう。
裕子を誘って公園に向かった。

「おい。来たのか」
明正が声をかけてきた。
「えぇ。何か見つかった?」
「見つかるわけないじゃん」
「だろーね。明正、無駄だよ~時間経ってるジャン!」
「しかし、何かあるかもわからないだろー」
「全部探したの?」
「あぁ。芝生の上や道はもちろん、あの時間でみんなが逃げた場所まで割り出して、ちゃーーーーんと調べたさ。でも何もないんだ。」
「探していない場所は?」
「え~っと、池の中と入れない場所ぐらいかな」
「じゃあ、今度は池の中探さなきゃ」
「えぇ!!ウソだろ~。」
困った顔の明正を見て、女性二人は笑った。
「ホント全部探した?」
「ホントだって。もしかしてゲーム機を持ち去ったやつがいるかもしれないと思って、聞き込みもしてるさ」

ちょっと残念にも思ったが、元々ここには何もないと考えていた。
だから諦めもつく。
そのまま明正を残して、二人は公園を出て行った。
途中まで来たことろで、裕子が右手の道を指さして、「私はこっちを探すわ」
そう言って去っていった。


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over again-83話(朝日に照る町)

2010-01-30 21:18:47 | 小説
明正はそのまま公園に向かった。
まだ納得ができないでいた。
何かが見つかるまでは、この公園の隅から隅まで探す。
そのつもりだ。
ちょっと前に、公園にいる自分を含む仲間たちの写真を見つけた。
それでちょっと株があがったため、嬉しかった。
今度もみんなに褒められたい気持ちがある。
芝生の上や道は、たぶん掃除をされているだろうし、軽いものなら飛ばされている。
少し重めのものならあるだろうが、土か草に埋もれているはずだ。
でも、もしかしてゲーム機かソフトがあるかもしれない。
警察には無かったと聞いている。
誰かに持ち去られているだろう。
その誰かを探す手がかりも見つけなきゃ。
どうやって人に尋ねるかだが、それは決まっている。
『神の采配』というゲームを知りませんか?だ。
今までの調査だと、そのソフトは無名だ。
だから必ず知ってる人間が怪しい。

恵子と裕子は、町から公園に向かう道沿いを歩いていた。
久しぶりに朝日を見た。
のんびりという雰囲気ではないが、久しぶりに二人の気持ちは穏やかだった。
「昔はこの道をよく歩いたわね」
「そうね~。恵子はいつもここから見る町が奇麗だって言ってた」
「えぇでも、今はあのおじいさんの畑から見る町が好きだわ」
「今日も寄ってみる?」
「そうね。あれからあの畑にはおじいさん居ないのよ」
二人は坂の途中から横にそれて、畑に上がっていった。
畑は、最近おじいさんが来ていないのがよくわかった。
冬だから育てるものがあまりないのだろうが、落ち葉が畑に散乱している。
「やっぱり居ないわね」
「そうね。でもここからの景色はホントに素敵」
「うん。今起きてることが嘘みたい」
「でも、おじいさんはなんで吉川の話題が出て、慌てて出て行ったのだろう?」
「さ~ね。でもあの雰囲気だと、仲は悪いみたいよ」
朝日に輝く屋根の眩しさに目を細めながら、二人は町を見下ろしていた。



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over again-82話(張り込み)

2010-01-29 07:31:22 | 小説
成沢と合流したときは、すでに遅かった。
数分前には、外出していた。
成沢が後をつけようとしたが、車で外出したため追いかけれなかった。
「すまん。」
「別のおまえが悪いんじゃないよ。」
「しかし、帰って直ぐに外出なんて、忙しいやつだな~」
「それが、、、どうも俺の存在を確認したみたいだ。車に慌てて乗り込んで、発進する前にこちらをじっと見ていた。俺は建物の影に隠れてたんだけど・・・」
「まぁ見つかってしまったのは仕方ないよ」
慰めはしたが、すごく悔しい思いをした。
もう少し早く到着していればと思う。
無論到着しても、車で逃げられれば同じことなのだ。
しかし、自分がここに居られなかったことが悔しかった。
時期に裕子が到着した。
残念そうな顔をしながら、強めの口調で成沢を攻める。
恵子と明正が到着する頃には、日は山間から覗いていた。
「おい。健一は?」
「いや。すまん。時間がなかったからこっちに着いて電話しようと思ったんだ。そしたらもう手遅れだったから。まだしていない」
「そうか。あいつだけ仲間はずれはないだろう~」
明正が冗談ぽく攻める。
「悪い。誰かが連絡してくれるだろうと思っていたし」
「してないよ。慌てて来たんだもん」
「私も」
「俺だって」
結局誰も健一にれんらくしてなかった。
つまり、吉川は健一の連絡で逃げたのではなかった。
少しホッとした。
「なぁ健一には申し訳ないから、このことはナイショにしてな」
「わかった」
みんなは納得してくれた。
ヘタにしゃべられると、もっと健一との関係が崩れる。
親友だと思っていた二人の関係が、今は原形をかろうじて留めているだけだ。
完全に歯車が狂っている。

しかし、みんなに吉川の家を教えることができた。
そして吉川のお父さんに聞いた情報。
成沢が知っている事実を伝えることが出来た。
今後は成沢に任せっきりではなく、誰もが吉川の家を見張ることにした。
「ここに戻ってくるかな~。俺たちが見張ってるってわかってるのに・・・」
「来ないかもな~」
少しみんなのトーンが下がっている。
「でも、可能性がゼロじゃないなら、がんばろうぜ」
珍しく成沢の言葉で、みんなの目線が上を向いた。
「おいおい。おまえが言うなんて驚くじゃん!」
笑い声がおきた。
成沢はいつの間にか、みんなと溶け込んでいる。
俺たちの仲間に加わっていた。
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over again-81話(連絡)

2010-01-28 07:20:39 | 小説
人ひとりの力では、何も変えれないかもしれない。
しかし人数が増えるほど、知恵も働くし動きも早くなる。
吉川は、タイムスリップする人間を調べる嗅覚が備わっていた。
これは何度かのタイムスリップで、養われた力だと思っている。
誰かがタイムスリップして、こちらで何かを起こす。
それが未来に戻れたとき、いや戻れなくても過去が少しでも進歩すれば、未来は確実に変わる。
科学が進歩すれば、オゾンを含め地球環境が狂っていく。
いくら人々が騒ごうが、環境を守ろうとしようが、欲に目がくらんだやつがいれば、間違いなく破滅する。
現に、聡史・健一のグループには裏切り者が現れているのだ。
欲は決して消えるものではない。
世界中が頂点の人間から一番下位の人間までが、まったくの平等にならない限り。


『神の采配』というソフトは、吉川が作ってはいなかった。
タイムマシンという機械は、仮にできたとしても現代ではない。
吉川を含め、誰もが偶然にしてタイムスリップしたものだと思っている。
しかし、もしそのソフトが原因だとしたら。。。
それはかなり未来の人間が、悪意に満ちて、故意に置いていった物だろう。
しかし聡史たちはそのソフトを、吉川が作ったものだと思っていた。
なんとしてでも、吉川を捕まえて、そのソフトのことを聞き出そうとしていた。
聡史と恵子と裕子は、そのソフトを探していた。
成沢は吉川の自宅周辺を見張っている。
明正は徹底的に、ソフトをはじめ証拠品を探していた。
しかし誰からの連絡も途絶えたまま数日が過ぎようとしていた。

吉川から聡史に連絡が入った。
「おはよう。今吉川が自宅に戻ったみたいだ。数日帰っていなかったようだが、遂に家に帰った」
日曜日の朝だった。
学校も休みだから、捕まえるには今日しかない。
聡史は急いで自宅を出た。
恵子や明正や裕子にも連絡を入れた。
健一にはどうしようか戸惑った。
もし俺たちが向かっていることを、健一から吉川に連絡が入り、逃げられたらという不安があった。
吉川の家の近くで、電話ボックスから電話しよう。
そう決めて連絡はしなかった。
早朝の空気は冷たかった。
まだ真冬だ。
日差しもない時間だが、紫色から薄いブルーの空が山すそに見えている。
もうすぐ夜明けだ。


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over again-80話(企み)

2010-01-27 07:29:25 | 小説
時間というものは、1秒1秒を刻み続けている。
その積み重ねが分となり時間となり日となり月となる。
彼らの15年間はそうやって積み重ねてきた。
それが一瞬のうちに、過去に戻された。
過去は思い出であり、記憶である。
そして実績でもある。
その時間は変えることはできないと思っている。
しかし、15年前に戻った時から、もう一度この15年はやり直せるのだ。
それは1度歩んだ人生よりも、ステップアップしたものに作り変えることができる。
過去の人生を失敗と仮定すればだ。
しかし、もしあの苦労した15年をもっと自由に生きたいと思えば、逆に悲惨な15年後を迎えるかもしれない。
よい人生にしようと企んだ結果、悪い人生になるかもしれないのだ。

吉川はそれを知っていた。
だが他人の人生なんてどうでもよい。
自分の理想の未来を求めてるのだ。
過去に戻ることも、自分のいるべき時代に戻る経験もした。
1度目には帰ることだけどを求めた。
2度目は未来を変えることを考えた。
そして今3度目の過去にいる。
彼は何年先の未来から、この時代にきたのかわからないが、この2度で満足の得る結果は得られなかった。
それよりも悲惨な思いをしたのだろう。
元々の吉川は、お父さんの言うように、内気ではあるが従順な少年だった。
しかし1度タイムスリップした時には、暗い少年になっていた。
そして2度目には、邪悪な目をしていた。
歴史を狂わすと言うことは、自分をも狂わす。
それをまざまざと経験してきたのだ。

健一や成沢の未来が、たとえ良い方向に向かっても、それは吉川にはどうでもよかった。
逆に悪い人生になってもだ。
ただひとりでも多くの協力者が欲しかった。
未来を変える目的は何なのか。
それは人々の欲望による破滅だった。
タイムスリップの経験者は、以前より増えている。
それは過去に戻った人間たちによる未来の発展が、急速に早まっているからだ。
そのために人間は欲にくらみ、自分の利益だけに執着してしまう。
環境破壊もそれによって起こっている。
その欲に渦巻く世界を作り上げ、いずれ破壊してしまえばいい。
その瞬間を望んでいた。
簡単な話ではないと思うかも知れないが、オゾン層の破壊などは起こっているのだ。
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