やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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呪いアプリー33話

2012-05-31 07:34:17 | 小説
「いいですけど・・・そいつ。本橋が亡くなってから、、、その携帯のメッセージに怯えてるんですよ。最近精神的に不安定で、休職すると言ってましたから。。。」

「今日は休まれている?」

「えぇ昨日休職願いを出していたので、今日ぐらいから休んでいると思うんですよね。電話しても出ないというか、もうかからないので」

「では自宅を教えていただけませんか。どうしてもお話をお聞きしたい」

「携帯に心霊的なものが見えたということだけで、そこまで記者さんが必死になるとは・・・」

「これは重要なことなんです。もしかしたら、本橋さんだけではないかもしれないんです」

「それは自殺じゃないってことですか?」

「十分に可能性があります」

しばらく沈黙が続いた。

「わかりました。今日の夕方私も同行します。いきなり記者さんが行くと、あいつ出てこないかもしれないんで」

「宜しくお願します。ところで、そのメッセージはあなたも見たのですね?」

「・・・正直見たというわけでもないんです。その場に居たというほうが正しい」

「では、その文字を見られた方は?」

「頭前さんが会いたいという『下北』という男です」

「その方だけですか?」

「えぇ。あの場で携帯の電源を入れたのが下北で、彼は電源を入れた瞬間に現れた文字をみんなの前で読んだんです。だからみんながその言葉を聞いている」

「つまり、文字も写真も下北さん以外は見ていない」

「そうですね」

「わかりました。どうしても下北さんにお会いしたい。宜しくお願いします」

頭前は会社を後にした。

彼の頭の中では、既に確信に変わっている。

間違いなくアプリが大きく影響していると。

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呪いアプリー32話

2012-05-30 07:21:38 | 小説
まずは本橋の会社に向かう。

流石に大きな会社のため、しばらくロビーで待たされたが、本橋の同僚と会うことができた。

海外事業部の滝澤という男性だ。

「本橋は、大連から戻ってきて1週間ぐらいしてからかな。。急に1日休みましてね。それから後少し態度が変わったんですよ」

「それはいつごろですか?」

「確か・・・大連から戻ったのが3月10日です。先週刑事さんが来て同じことを聞かれたので、間違いないですよ。」

丁度、頭前に電話があったのが3月12日だ。

「ということは、17日頃ということですね。休まれたのは」

「そこは申し訳ない。人事課に聞いてもらったほうがいいです。確かそのぐらいだったと思うけど」

「態度がおかしくなったとは、どんな具合にですか?」

「なんだかそわそわして、周りが気になるようでした」

「誰かに見張られているとかそんな具合に?」

「う~ん。。。そうでもないんですよね。どちらかというと電話の音に敏感だったというのかな」

「電話の音?」

「えぇ会社の電話が鳴ると、びくっとしたりね。やたらと会議室に篭りたがってましたよ。そうそうあれからかな。携帯電話を持たなくなったの」

「携帯を持たない?」

「そうなんですよ。上司にも怒られましてね。急用があっても連絡が取れないじゃないか!ってね。でも頑なに携帯を持とうとしなかった」

「何かあったのでしょうか?」

「それがね。。。僕らにも話してくれない。何かがあったのは事実でしょうけどね」

「それで失踪した理由はわかりますか?」

「全く。。。でも、丁度2ヶ月前。。。あいつが亡くなっただろうと予想される日なんですけどね。
1週間ほど姿を消して失踪届けも出されて、あいつの机の中を調べたんですよ。そしたらガムテープで巻かれた携帯・・・スマホが出てきて、電源を入れてみたんです。。。」

「電源を入れた・・・」

「まぁこれはね。。。言うのもばかげた話なんですが・・・」

「何があったんですか?」

「・・・ちょっとね。ばからしいことですよ」

「教えてください。どんなことでも」

「笑わないでくださいね。本当のことですから」

「もちろん。私も記者ですからどんなことでも、本当のことは受け入れます」

「本当なんですよ。本当。。。。スマホの画面上に、『あなたの死に方教えます』って出たんですよ」

「あなたの死に方・・・」

頭前は遂にその言葉に出くわしたことを、胸の高鳴る思いで聞いた。

「それでそれから?」

「みんなが驚いた瞬間に・・・画面が真っ暗になって消えました」

「それだけですか?」

「それだけです。ただスマホの電源を入れたやつが言ってたんですけど、一瞬本橋が、何かの錠剤を口に含んでいる姿が見えた気がするって・・・ばかな話でしょ」

頭前には、それは事実だと確信した。

「すみません。その方に会わせていただけませんか」


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呪いアプリー31話

2012-05-29 07:15:08 | 小説
安易に赤岩がそれ以上に言わなかったのは、自分にもあった若い頃の経験だ。

その頃交通課にいた赤岩は、執拗にひき逃げ犯を追っていた。

先輩警官の制止も聞かずに深追いして、あわや大惨事になるところだった。

保育園児の列をかすめ、犯人は川に車ごと飛込み、骨を数本折る怪我をした。

その程度で済んだからよかったが、もし保育園児を轢いていたら・・・。

考えるとぞっとする。

そういう経験を経て、あえて強制的に止めることをしなかった。

若い者を力ずくで静止しても、頭に血が上っている状態では無理だ。

少し冷静さを取り戻した時に、違う方法を教えてやる。

その時は聞く耳も持っているだろう。


その頃、頭前記者は既に豊岡北分署の事件をかぎつけていた。

ただこの事件の違いは、頭部を破損した死亡ではないだろうということ。

しかし死んだのが頭前が知る人物。

本橋だ。

どう考えても、一連の事件としか考えようがない。

すぐさま兵庫県に向かいたいが、本橋の足取りを追いかけることにした。

いろいろな情報を地元紙から取り寄せる。

頭部が無かった。

頭部の損傷による死亡ではないらしいが、死んだ後からでも頭部になんらかの問題があったことには違いない。

本橋と電話で話したのが、、、2ヶ月ほど前だ。

あれから。。。

何があったのか。

遺体は腐敗が進んでいたと聞いている。

短時間で身元も判断できないぐらいに進んでいると言うことは、かなり前だ。

つまり電話の直後に死んだと考えるべきだろう。

2ヶ月前。

電話してきたのは、東京の自宅だ。






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呪いアプリー30話

2012-05-28 07:42:11 | 小説
「副所長!どーいうことですか?まだ対して捜査もしていないのに打ち切りなんて、納得いきません」

守口刑事は副所長に怒鳴り込んでいた。

赤岩は特に止めようとせずに、お茶を飲みながらそっぽを向いている。

「だから言っただろう。余所の山は解決済みだ。その山を掘り起こすなんてあり得ん!」

「余所の山なんてどーでもいいんですよ。うちの山の真相を確かめるには調べるしかないでしょう!」

「それは余所の署に調書を取り寄せれば済むことだ。お前らが動くことじゃない!!」

「なら有給ください。俺一人で調べに行きますから!」

「ならん!!お前は黙ってうちの仕事をしろ。この山には一切手を触れるな!」

「くっそ!」

守口はイスを蹴飛ばした。

副所長はそのまま去っていく。

赤岩は窓の外を見ながら言う。

「お前と同じように、納得いかないことなんて皆持ってるんだ。しかしな。一つに事件にどっぷりと浸かってる余裕なんてどこにもないんだよ。犯罪なんて次から次に起きてるんだから」

「そりゃ余所の島ならそーでしょうよ。うちなんて事件なんてこそ泥程度でしょう。だったらまともな事件ぐらい調べさせてくれてもいいんじゃないですか」

「それを我慢するのが組織ってもんだ。上の命令に背いてまで追う事件じゃないってことだ」

「そうかもしれませんけど、刑事として解決していない事件です。人として納得行くまで調べたい。」

守口は使命感に似た思いを持っている。

赤岩はそれ以上には、何も言わなかった。

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呪いアプリー29話

2012-05-27 20:29:16 | 小説
品川○署を訪れた赤岩刑事と守口刑事は、思いがけないことを知る。

既に品川○署では、本橋のことを知らべてくれていた。

元橋は数ヶ月前に、中国の大連市に出張で出向いていた。

東京の本社に戻ってから、しばらくして急に態度がおかしくなったと言う。

自殺の前兆か。

可能性があるのなら捜査も早々に打ち切ることができるが、そうもいきそうになかった。

高山署の事故死の2件や、宗田明美という女性の失踪。

藤本という男性の自殺。

そういう関係者が連鎖的に亡くなっていく事故が起きている。

それを調べている記者の存在や、刑事の存在も知る。

「守口。こりゃこのまま帰れないぞ」

「そうですね。。。凄く興味がありますね。ホトケさんには申し訳ないですけど」

赤岩刑事は、豊岡北分署に連絡をした。

しかし電話の応対はそっけないものであった。

「おい。守口!帰るぞ」

「はっ?」

「あの副所長命令だ。余所が自殺や事故として判断したものを、余所者がかき乱すことはならんということだ」

「そんな。。。だったらうちの管轄の捜査だと言えば済むじゃないですか」

「それがな。どうも胃の中から睡眠薬の成分が大量に出たらしい」

「だから捜査打ち切りですか?」

「そうだ。上の命令は絶対だ!」

両刑事共に、すっきりとはしていない。

歯がゆい思いをしながら、新幹線に乗り込んだ。



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