露子は優一の前から消えようとした。
足元から消え始めたところで、優一が呼び止める。
「ちょっとまって!最後にもう少しだけ」
「なに?」
露子は元に戻る。
「閻魔大王だけど、本当に露子を消すって言ったの?」
「本当にって。。。たぶん」
露子にとってもあやふやだった。
本当に消すと言われたわけではないと思う。
でも露子は自分の消滅の代わりに、皆を助けるように懇願した。
だがみんなを助けたのは、確かに露子が閻魔大王との掛けに勝ったことによる。
「でも・・・それは閻魔大王に聞いてみないとね。どちらにしても可能性はある」
「ならまず聞いてきてよ。本当に消えるのかどうか」
「どーして?」
「別れの仕方も違うでしょ。消滅するのと霊界に行くのでは」
「そりゃまぁ・・・」
露子は悩んだ。
今更自分が消滅しない可能性があるなんて、考えてもいない。
どうしたらいいのか。。。
「とりあえず聞いてみる。でも本当にこれが最後かもしれないから」
「だけどまだ24時間あるんだろ?」
「ううん。もう16時間」
あの時閻魔大王は、2日と言った。
でもそれは消滅するまでに2日とは言っていない。
聞きに行ってみよう。
とりあえず。。。
足元から消え始めたところで、優一が呼び止める。
「ちょっとまって!最後にもう少しだけ」
「なに?」
露子は元に戻る。
「閻魔大王だけど、本当に露子を消すって言ったの?」
「本当にって。。。たぶん」
露子にとってもあやふやだった。
本当に消すと言われたわけではないと思う。
でも露子は自分の消滅の代わりに、皆を助けるように懇願した。
だがみんなを助けたのは、確かに露子が閻魔大王との掛けに勝ったことによる。
「でも・・・それは閻魔大王に聞いてみないとね。どちらにしても可能性はある」
「ならまず聞いてきてよ。本当に消えるのかどうか」
「どーして?」
「別れの仕方も違うでしょ。消滅するのと霊界に行くのでは」
「そりゃまぁ・・・」
露子は悩んだ。
今更自分が消滅しない可能性があるなんて、考えてもいない。
どうしたらいいのか。。。
「とりあえず聞いてみる。でも本当にこれが最後かもしれないから」
「だけどまだ24時間あるんだろ?」
「ううん。もう16時間」
あの時閻魔大王は、2日と言った。
でもそれは消滅するまでに2日とは言っていない。
聞きに行ってみよう。
とりあえず。。。
「なんで?!どーしてなんだ!!」
優一は詰め寄るようにしてきた。
「落ちついて。ねぇ落ちついてよ」
「ごめん。。。でもどーしてなんだ?」
「閻魔大王と約束したの」
「なんで?私を消滅させてくださいってか?」
「・・・まぁそういうこと」
「なんで?!」
「皆を助けるためよ」
「何で皆を助けるのに、おまえが消滅しなきゃならないんだ」
「私に出来ることは、それだけだったの」
「人のことなんてどーでもいいじゃないか」
「そうはいかないわよ!皆私の大切な友人だもの」
「友人って・・・それよりも自分を大切にしろよ」
「ごめん。もう決めたことだから」
「そんな・・・・なんとかならないのか?」
「ごめん・・・・」
「ごめんって・・・俺が閻魔大王に直訴する」
「できないわ」
「死ねば出来るんだろ?その位俺はおまえのためになら出来る」
「ダメよ。もしあなたが死んでも、閻魔大王と会えるのは数ヶ月先。私の期限は・・明日なの」
「そんな」
優一は膝から崩れた。
それほど衝撃を受けたようだ。
「ごめんね。私のことそれほど想ってくれているのは嬉しいけど。あなたはいのちが助かったんだから。この世界で新しい恋をして。幸せになってね」
「そんな・・・そんな・・・無理だよ」
「無理じゃない。きっと私のことなんて忘れる」
「出来ない」
「出来るわ」
「出来ない!!」
「しっかり前を見てね。私の最後のお願い」
「・・・・」
優一は何も言えなくなった。
無力な自分に腹をたてながら。
優一は詰め寄るようにしてきた。
「落ちついて。ねぇ落ちついてよ」
「ごめん。。。でもどーしてなんだ?」
「閻魔大王と約束したの」
「なんで?私を消滅させてくださいってか?」
「・・・まぁそういうこと」
「なんで?!」
「皆を助けるためよ」
「何で皆を助けるのに、おまえが消滅しなきゃならないんだ」
「私に出来ることは、それだけだったの」
「人のことなんてどーでもいいじゃないか」
「そうはいかないわよ!皆私の大切な友人だもの」
「友人って・・・それよりも自分を大切にしろよ」
「ごめん。もう決めたことだから」
「そんな・・・・なんとかならないのか?」
「ごめん・・・・」
「ごめんって・・・俺が閻魔大王に直訴する」
「できないわ」
「死ねば出来るんだろ?その位俺はおまえのためになら出来る」
「ダメよ。もしあなたが死んでも、閻魔大王と会えるのは数ヶ月先。私の期限は・・明日なの」
「そんな」
優一は膝から崩れた。
それほど衝撃を受けたようだ。
「ごめんね。私のことそれほど想ってくれているのは嬉しいけど。あなたはいのちが助かったんだから。この世界で新しい恋をして。幸せになってね」
「そんな・・・そんな・・・無理だよ」
「無理じゃない。きっと私のことなんて忘れる」
「出来ない」
「出来るわ」
「出来ない!!」
「しっかり前を見てね。私の最後のお願い」
「・・・・」
優一は何も言えなくなった。
無力な自分に腹をたてながら。
「死ぬのって、思った以上にリスクを背負うの。今まで出来ていたことが出来なくなる。これほど辛いことはないわ。あなたにはわからないでしょうけど」
「ゴメン。そんなに怒らなくても」
「怒るわよ。当然でしょ」
「悪かった。でも君の側にいたいのは本当だ」
優一はこんな積極的な男の子ではなかった。
どこからこんな風に変わったのだろうか。
一度想いを言葉にしてしまうと、もう言葉を止めることが出来ない。
その位、我慢していたのかもしれない。
「ねぇ聞いて。今日はちゃんとお別れを言いに来たの」
「お別れ?どーいう意味?!」
怒ったように優一は前かがみで言う。
「もう時間なのよ」
「時間?」
「そうこの世にいられるリミット」
「そんなの・・・他の霊みたいにいればいいじゃないか」
「他の霊?」
「俺も事故を切っ掛けに色々と見えるようになってさ・かなり古い霊も居るじゃないか」
「あれは自縛霊よ」
「そうなればいいじゃないか」
「ダメなの。私の場合・・・閻魔大王と約束してるからね」
「そんな約束は破ればいい」
「相手が相手。破れるわけ無いわ」
「そんな・・・だったらやっぱり俺が死ぬしか」
「ダメ!何度言ったらわかるの。わからずや!!」
「それは君もだろう!」
「ダメなの。あなたが死んでも私とはもう二度と会えないの!!」
「どうして?」
「私は消滅するのよ」
「消滅?」
「あなたは死ぬと霊界に行くわ。私の場合は、魂も消えるの」
「それって、どーいうこと?」
「もう意識も感情も、霊の姿さえ無くすのよ」
「ゴメン。そんなに怒らなくても」
「怒るわよ。当然でしょ」
「悪かった。でも君の側にいたいのは本当だ」
優一はこんな積極的な男の子ではなかった。
どこからこんな風に変わったのだろうか。
一度想いを言葉にしてしまうと、もう言葉を止めることが出来ない。
その位、我慢していたのかもしれない。
「ねぇ聞いて。今日はちゃんとお別れを言いに来たの」
「お別れ?どーいう意味?!」
怒ったように優一は前かがみで言う。
「もう時間なのよ」
「時間?」
「そうこの世にいられるリミット」
「そんなの・・・他の霊みたいにいればいいじゃないか」
「他の霊?」
「俺も事故を切っ掛けに色々と見えるようになってさ・かなり古い霊も居るじゃないか」
「あれは自縛霊よ」
「そうなればいいじゃないか」
「ダメなの。私の場合・・・閻魔大王と約束してるからね」
「そんな約束は破ればいい」
「相手が相手。破れるわけ無いわ」
「そんな・・・だったらやっぱり俺が死ぬしか」
「ダメ!何度言ったらわかるの。わからずや!!」
「それは君もだろう!」
「ダメなの。あなたが死んでも私とはもう二度と会えないの!!」
「どうして?」
「私は消滅するのよ」
「消滅?」
「あなたは死ぬと霊界に行くわ。私の場合は、魂も消えるの」
「それって、どーいうこと?」
「もう意識も感情も、霊の姿さえ無くすのよ」
優一は死の瀬戸際から生還した。
そのため幽霊である露子が見えるようになっている。
そして、、、幽霊でも露子を愛している。
それが露子を苦しめて、露子は優一の側から離れた。
でももう自分が消えるとなると、優一に最後に挨拶だけしたかった。
優一は今でも私の死んだ場所に、花束を供えてくれているのだろうか。
それとも私のお墓?
それとも私の家に来ているのだろうか。
すこしだけ期待している自分がいる。
それが怖くもある。
もう私は死んだのだから。
露子は恐る恐る優一の家に行ってみた。
壁を突き抜けて、優一の部屋に入る。
生憎、優一はいなかった。
そうか学校の時間だ。
露子は久しぶりに校舎の新館に向かった。
窓越しに見ると、皆昼休みで騒いでいた。
その中に優一はいなかった。
そのまま引き寄せられるように、屋上に向かった。
優一は、屋上から旧校舎を見ていた。
露子の存在に気付いた優一は、笑顔を見せる。
「来ると思ってた。遅かったな」
「なんで来ると思ったの?」
「なんでって・・・そんな気がしただけさ」
「それで?」
「いや・・・・会いたかった」
優一は少し照れながら言う。
「私も。。。。生きていたらよかったんだけど」
「いや死んでも露子は露子だよ」
「そうはいかないわ。死んだらあなたとはもう一緒に居られない」
「なんで?幽霊だったら余計に自由じゃん。側にいろよ」
「ダメなんだって」
「どうして?」
「どうしてって。。あの世に行かなきゃならない」
「俺も行こうか」
「なんで?」
「俺が本気だって知ってほしいから」
「バカ言わないで。死ぬってそう簡単な物じゃないわよ」
「そうかな。露子見てると、俺だって」
「やめて!」
露子は真剣に怒った。
そのため幽霊である露子が見えるようになっている。
そして、、、幽霊でも露子を愛している。
それが露子を苦しめて、露子は優一の側から離れた。
でももう自分が消えるとなると、優一に最後に挨拶だけしたかった。
優一は今でも私の死んだ場所に、花束を供えてくれているのだろうか。
それとも私のお墓?
それとも私の家に来ているのだろうか。
すこしだけ期待している自分がいる。
それが怖くもある。
もう私は死んだのだから。
露子は恐る恐る優一の家に行ってみた。
壁を突き抜けて、優一の部屋に入る。
生憎、優一はいなかった。
そうか学校の時間だ。
露子は久しぶりに校舎の新館に向かった。
窓越しに見ると、皆昼休みで騒いでいた。
その中に優一はいなかった。
そのまま引き寄せられるように、屋上に向かった。
優一は、屋上から旧校舎を見ていた。
露子の存在に気付いた優一は、笑顔を見せる。
「来ると思ってた。遅かったな」
「なんで来ると思ったの?」
「なんでって・・・そんな気がしただけさ」
「それで?」
「いや・・・・会いたかった」
優一は少し照れながら言う。
「私も。。。。生きていたらよかったんだけど」
「いや死んでも露子は露子だよ」
「そうはいかないわ。死んだらあなたとはもう一緒に居られない」
「なんで?幽霊だったら余計に自由じゃん。側にいろよ」
「ダメなんだって」
「どうして?」
「どうしてって。。あの世に行かなきゃならない」
「俺も行こうか」
「なんで?」
「俺が本気だって知ってほしいから」
「バカ言わないで。死ぬってそう簡単な物じゃないわよ」
「そうかな。露子見てると、俺だって」
「やめて!」
露子は真剣に怒った。
「それで・・・どーしたいのだ?」
「もちろん。我々の命などどうでもいい。彼女の恋を優先してください」
「優先したところで、おまえ達もあの子も幽霊だ。成就などしない」
「成就などしなくてもいいのです。ただ本当の恋を知ってほしい。それさえできれば我々もあの子と同様に、消滅します」
「おまえ達にそれほどの勇気があるのか?」
「あるわけないでしょう。自分では無理です。でも閻魔大王にそうされるのなら従います」
「従うのなら、今ここで」
「わかりました。でも彼女の恋愛を認めてください」
「よかろう」
露子の知らないところで、こんな出来事があった。
露子は全く知らない。
ただ、閻魔大王にも情けがあるのだと勘違いしていた。
三途の川を渡って露子が目指したのは、透の元だった。
透の肉体は生きている。
そして透の魂は、いまでもその肉体の側でずっと肉体と同化することを待っていた。
露子はその姿を見て、動きが止まった。
透の魂は、肉体の側の木の椅子に座って。じっと下を向いて座っていた。
両掌を組んで、その指の関節をおでこに当てている。
何かを祈っているように、じっと眼を閉じていた。
今、透に声をかけて何が起こるだろうか。
透と抱き合って恋に落ちるなんてあり得ない。
手さえ会わせることもない、肉体の無い状態なのだ。
それに、今の透が1分でもあの場所を離れることはないだろう。
この間来てくれたのは、たぶん・・・・気のせいだったのかもしれない。
自分をそう慰めた。
でも。。。
最後に透を見ることが出来た。
これでひとつ想い残すことが無くなった。
次は。
次は、優一の元に行かなきゃ。
「もちろん。我々の命などどうでもいい。彼女の恋を優先してください」
「優先したところで、おまえ達もあの子も幽霊だ。成就などしない」
「成就などしなくてもいいのです。ただ本当の恋を知ってほしい。それさえできれば我々もあの子と同様に、消滅します」
「おまえ達にそれほどの勇気があるのか?」
「あるわけないでしょう。自分では無理です。でも閻魔大王にそうされるのなら従います」
「従うのなら、今ここで」
「わかりました。でも彼女の恋愛を認めてください」
「よかろう」
露子の知らないところで、こんな出来事があった。
露子は全く知らない。
ただ、閻魔大王にも情けがあるのだと勘違いしていた。
三途の川を渡って露子が目指したのは、透の元だった。
透の肉体は生きている。
そして透の魂は、いまでもその肉体の側でずっと肉体と同化することを待っていた。
露子はその姿を見て、動きが止まった。
透の魂は、肉体の側の木の椅子に座って。じっと下を向いて座っていた。
両掌を組んで、その指の関節をおでこに当てている。
何かを祈っているように、じっと眼を閉じていた。
今、透に声をかけて何が起こるだろうか。
透と抱き合って恋に落ちるなんてあり得ない。
手さえ会わせることもない、肉体の無い状態なのだ。
それに、今の透が1分でもあの場所を離れることはないだろう。
この間来てくれたのは、たぶん・・・・気のせいだったのかもしれない。
自分をそう慰めた。
でも。。。
最後に透を見ることが出来た。
これでひとつ想い残すことが無くなった。
次は。
次は、優一の元に行かなきゃ。