海住恒幸の松阪市議会通信 

議員活動を通して、自治体議会や自治体のあり方を考えるブログ

支持率4%、市長、どう対応?

2007年08月08日 18時51分03秒 | 自治体
松阪駅西地区再開発事業で、松阪市は今年3月の市議会で「動かせない」プランであると胸を張ったが、市民からの支持率は4%だった。これは政策に対する不信任を突きつけられたに等しい。しかし、市は「採算性」を口実に、計画変更には消極的だ。計画内容を知った専門家は全員、「魅力のないプランだ」と一蹴。それに続いて市民からもそっぽを向かれた格好だ。

 アンケートに対する回答率は41%と低かったが、選挙の低投票率も無効でないのと同様、市はこの数値を軽視してはならない。
 この41%(7000人中の2809人)の96%は、現状のプランにノーを意思表示したことを市はもっと深刻に真摯に受け止めるべきだ。
 しかし、相変わらず、目線の向こうにあるのは、市民ではなく、準備組合(地権者)の意向だ。

松阪市のアンケートに、「現在の再開発事業で良い」はわずか4%

2007年08月08日 11時44分48秒 | 自治体
松阪市議会の建設水道委員会協議会が、8日午前10時から開かれました。
この中で、今年6月に7000人を対象に実施した「松阪駅周辺まちづくりアンケート」の集計結果が公表されました。
回答があったのは、41%にあたる2809人。

回答結果のうち、目を引くのは、松阪駅西地区市街地再開発事業を「知っている」と回答した人(55%)のうち、現在示されている施設計画で良いとしたのはわずか4%で、40%の人は「駅の玄関口にふさわしい施設配置」を望んでいることがわかりました。

この結果について、岩塚三善・市建設部長は、「(マンションの)1階、2階の使いようで、模様は変わって来るのかなあと思う」と感想を述べました。

市民の圧倒的多数は、現在の計画にノーの意思を突きつけた格好ですが、松阪市の受け止め方は、岩塚部長の答弁に象徴されるように、鈍いものがあります。

建物の配置やマンションの高さについて検討するとはしているものの、事業採算性を大前提としており、マンションを低くすることやマンションの位置を変更すること、保健福祉医療総合センターを駅前方向に持ってくることなどは「ざっと見たところではかなり厳しい」(杉山・都市計画課長)との受け止め方を示しています。

ただ、「もう少し広い方々の意見を聴きたい」「できるだけ多くの方の理解を得られる場」をと、8月11日午後7時から市産業振興センターで意見交換会(傍聴に行きましょう!)を持ち、必要に応じて継続していきたいと言います。
11日は「たくさんの意見をお聴きする場」とし、2回目には「出された意見を整理して、できるもの、できないものに分け、どこまで対応ができるかを示したい」(いずれも杉山課長の答弁)という。


今回のアンケートは、「議会の議決を経ているので、駅西地区再開発を進めることを前提で実施した」(市都市計画課)ため、再開発事業の是非については問わず、「事業ありき」の問い掛けとなっており、賛否は出ない仕組みになっています。
そんな中でも、「自由意見」の欄には、「早く再開発を進めて欲しい」とか「白紙に戻し再検討してほしい」「中止にすべき」「西地区だけでなく三交百貨店を含めた計画にしてほしい」などの意見があったといいますが、一部しか公表されていません。

議会通信32号巻頭エッセイ

2007年08月08日 08時20分25秒 | 議会
市議会通信32号の巻頭に掲載したエッセーです。


議会の常識ではなく、市民の常識に従った議会を

 岐阜県多治見市が昨年つくった市政基本条例(自治基本条例)に次のような条文があります。
「市民の信託に基づき、市民の代表機関として、議会を設置します」(第8条)
 議会の設置は法律によって決まっているし、当たり前のように存在しています。しかし本当は、市民が信託をしたから議会は存在していることを明示したのがこの条例です。
 では、「市民の信託」というけれど、「初めから議会はあるのではないか。信託などした覚えはない」という話になるかもしれません。それどころか、議会は、昔からの慣習で培ったルールに基づいて会議運営をしているので傍聴に訪れた市民に理解しづらく、いったいだれのための議会なのかわからなくなるということになります。
 だから、ここで提案したいのは、市民でしっかりと話し合い、何を議会に信託するのかその内容を具体化し、その信託にこたえられる議会づくりの必要性を示した自治基本条例をつくりこと。次いで、議会は、市民から示された「信託」に基づき、その期待にこたえる議会をつくるためには、どのような議会運営をしていく必要があるのかをじっくり検討し、その方向性に基づいた議会基本条例をつくり、会議規則を改める作業を始めることです。
 現在の議会について、傍聴に訪れた市民からは「形式的な手続き(議案の提案説明の朗読など)にばかり時間がかかって分かりにくい」、「質問と答弁は質問原稿と答弁原稿の朗読会のようでつまらないので関心が失せた」、「もっとちゃんと議論したらどうか」などという感想を言われるのを耳にします。
 これは、議会が、基本形は戦前につくられた「標準会議規則」に基づいて全国どこへ行っても同じ手順で機械的・画一的に進められる権威主義的で形式的な会議運営方式によることが原因です。市民が主役の時代にふさわしいものとはいえません。
市民にとってわかりにくい議会なら、わかりやすいものにする。
つまらない議会ならもっと関心をもってもらえるように面白くする。
議論が足りないのならもっと議論する。
 議会の常識ではなく、市民の常識に従った改革が必要です。

行政の改革はともかく、議会の改革は手つかずです。毎度、選挙が近づくたび、議員定数の削減を行って、議会はムダを省いているとアピールしてきました。しかし、定数削減で、つまらない議会が面白くはなるわけではありません。定数削減でお茶を濁すより、市民にとって有益な議会にすることを考えるのが先決です。そのうえで松阪市の議会は何人の議員を必要としていのかを判断すればよいわけです。定数を2人減らすとか4人減らすではなくて、松阪市の議会はこういう仕事をするところだから10人だとか15人ぐらいは要るとか、いや、8人でよいとか、いっそのこと、報酬の総額は増やさず議員の人数だけは倍に増やす(議員1人あたりの報酬は半減)とか、市議会の役割を考え、新たなルールを話し合う中で決めるのが定数です。
 議会の中で議員個々の利害を持ち込んだ議論をするより、市民参加の手法を採り入れて検討すべきです。
 いま、松阪市では市民参加による自治基本条例づくりが始まっています。市民と議会の関係や議会の役割も重要テーマのひとつです。自治基本条例をつくっていくというプロセスの中で、議会の現状と課題を市民の前にオープンにして市民みんなで議論していくのはとても意義のあることです。従来、議会のあり方論については「議会自身が決めるべきこと」という言葉を隠れ蓑に、外部のだれもそれに手を付けず、密室化してきました。そのことが、議会というところを市民の感覚からかけ離れた常識がまかり通る「特別な場所」にしてきた原因ではなかったでしょうか。
市民を主権者に、市民と市長、議会の関係を位置付ける自治基本条例の検討の中で、議会を真に市民のためのものにしていくための議論をすることは、千載一遇のチャンスです。
 議会に「信託」する主権者である市民という当事者を抜きで議会だけで議会のあり方を議論しても始まりません。市民の中で、議会に何を「信託」するのかを議論し、内容を明文化し、それを託するところから、ようやく市民にとって必要な議会に改変していける可能性が開ける気がします。