Kagechoのネコ的音楽&介護生活

音楽と猫が好きな介護職員の日々の記録。音楽や猫が好きな方、介護関係の仕事をしている方に読んでいただければ幸いでしょう。

チーム・バチスタの栄光/海堂 尊

2011-09-06 00:59:40 | 読 書
 読んでみました、今さら。

 「バチスタ」の意味もやっとわかりました。
 「ナイチンゲールの沈黙(文庫版)」の解説によると、もともとは「チーム・バチスタの崩壊」というタイトルだったそうです。たしかにねー、よく読んでみると、栄光の記録ではなくて、その後の崩壊の過程が描かれているんですよぬ。たぶん、出版社の意向で「崩壊」というネガティブな印象よりも「栄光」というポジティブな印象のタイトルに変更されたのでしょう。

 おもしろいと思います。久しぶりに一気に読めました。

 一つだけ、重箱の隅をつつくようなことを言わせてもらいます。
 文庫版下巻の232ページ。以下、一部引用。

 俺という愚直なブルドーザーに整地させた土台に、白鳥というスティンガーを据え付ける。○○という悪意に満ちたステルス戦闘機を撃ち落とすにはこれしかない、という絶妙な配置だった。

 この表現は、適切ではない。下調べが不十分です。「スティンガー」というのは、たしかに対空火器の一つですが、一般的に人間が携帯できる小型のものを指します。「ブラックホーク・ダウン」という戦争映画を観た方はわかると思いますが、人間が自分の肩に据え付けて撃つもので、せいぜい低空飛行のヘリコプターを撃ち落とすことしかできません(笑)。ステルス戦闘機を撃ち落とすのは、まず無理というか不可能でしょう。「高性能な対空ミサイル」とでも書いておけばよかったのに。
 著者が軍事の知識に乏しく、下調べもしていないことがわかります。この点が唯一の不満。読者をバカにしてはいけません。

 この小説のポイントは、Ai(エー・アイ)なのでしょう。MRIという技術は、それほど最新のものではない。ただし、死んだ人間に対して使われることはほとんどなかった。死因究明のためにMRIを使う、という発想が画期的だったということか。
 あとは、登場人物の魅力と文章の読みやすさですかね。映画(DVD)も観ましたが、なんとなくイマイチでした。原作の方が良いでしょう。

 (宝島社文庫・2007年11月初版・上下巻合計で¥1000)
 (ブックオフで安く買えると思います)


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