東洋医学の理論~人間が病むということの過程的構造からの東洋医学的治療論~

人間が病むということの過程的像から、鍼灸等の問題を説いてみたいと思います。よろしくお願いいたします。

Screw home movement と膝部痛について(増補2)〜人間の運動形態におけるサル類体との相克の過程的構造〜

2017-06-30 22:13:45 | 鍼灸術・手技療法術
「Screw home movement と膝部痛」についてご講義いただいた。自身の弁証法性の無さ痛感された。

昨夜のT先生の鍼灸実技、「膝部痛 Screw home movement 」とのテーマで、先ず、膝関節の運動形態を説いていただいた。膝関節は、屈伸時には「滑り転がり運動」(大腿骨が脛骨の関節面上でタイヤがスリップするが如くの運動をしている……この説明では理解いただけないと思うが、詳細には改めて説きたい)とともに「Screw home movement 」(膝関節が屈伸する時に内外旋している)という運動を行うという(重層的かつ複雑な)運動を行なっている、ということを説かれた。

次に、そんな運動形態を持つ膝が歩くという身体全体の運動形態の中でどのように動くのか、動かされるのか、かつ身体の他の部分(特に股関節)はそれによってどのように動くのか、どのように動かなければならないのか(具体的には、歩く中で膝が内外旋回するのを股関節がそれに合わせてその動きを打ち消す形で内外旋回しているという構造)を説かれた。

その上で、その股関節の運動が、例えば、最も膝関節に不可のかかる膝屈曲位での膝関節=下腿内旋時に大腿筋膜張筋や中臀筋がスムーズに動いて(伸びて)くれないと、歩行中に常に、膝に負担がかかり続けての、膝の故障へとなっていくという過程的構造を、実演とともに説いていただいた。

また、膝の故障(変形性膝関節症、半月板損傷、鵞足炎etc)の原因には、膝自体の問題と他の部分が上手く動いてくれないからの、その結果として歪まされての二重性があり、通常は、膝自体の問題よりも他のとばっちりを受けての膝の故障が多いとも説いていただいた。

これまで自身では、膝が病んでいくということを実体としては、膝自体の問題のものと(腰や大腿、下腿等の)膝周囲の問題によるものとの二重性において捉え、それに従って施術して来ており、そのような捉え方でもそれなりに成果は上がり、して来ていたのだが、そのような捉え方では説明し切れない症例もあり、「膝は難しい!」と慨嘆すること度々であったのだが、昨夜のT先生の「Screw home movement と膝部痛」について説いていただいたことで、「そういうことなのか!」と自身のこれまでのモヤモヤが晴れたとの思いがする。

この違いは端的には、T先生の膝部痛の捉え方は弁証法的であり、自身のは形而上学的であるということなのだが……。

以上のこと別の観点からは、サル類の運動体で人間的な運動をするという人間の運動の、運動体の矛盾として、その相克の問題としても捉え返すことが出来る、と思う。

詳細は改めてとして簡単に述べれば、そもそも人間の膝は何故に「Screw home movement 」という歩く上では無用とも言える動きをするのだろうか?と考えるならば、下腿の屈伸に伴う内外旋は木に登る時の下肢の動きそのものであり、そうでなければ木に登れないからであると考えられる。つまり、人類へと進化していく生命体はサル類の段階でしっかりと木に登るために全身レベルでの進化の過程を持ったのであり、その膝でのありかたの一つが「Screw home movement 」である。

ところが、この「Screw home movement 」という膝の運動形態は、木に登るには必要で大いに役立つものであったにもかかわらず、二足歩行をする上では必要の無い動き、邪魔な動き、膝を痛めてしまう動きである、から二足歩行をするにはそれを股関節の内外旋回で打ち消してやる運動形態を行う必要があるのだが、若い時には股関節の柔軟性と臀部の筋肉の強さがあるからそれは問題無く行なわれるのであるが、運動が足りなかったり(あるいは過剰であったり)して、股関節の運動を支える筋肉が衰えていって、「Screw home movement 」という動きを打ち消すだけの運動形態を持てないということになっていく、と歩くことによって常に膝関節に負担がかかり続け(通常、あまり歩かないという高齢者でも1日に何千歩かは歩くのであるから……)結果として、膝の様々な故障が起こってくるということになる。

要するに、膝の運動一つであっても、人間の運動、運動形態というものは、サル類体と人間体との相克を孕んでの二重性を持ってのそれであるから、仮にそれが現象的には単純な一重のものと見えたとしても、当然に二重性を持つものとして捉え返して見る必要がある、二重性を持つものとして関わっていく必要がある、ということであると。

ここは、自身の「Screw home movement 」を踏まえての、人間体をサル類体と人間体との相克を内に秘めた人間体として捉え返して、その人間体が人間としての運動形態をとっているのだという正常から異常を、例えば「膝部痛」を視て施術治療をするという実践を充分に持つことで、その相克の構造の理解を深めた上で、改めて詳細に説きたいと思う。

このブログ記事の後半部分、「木に登るための構造として身体の構造を進化させたサル類体の構造の一つである「Screw home movement 」という構造を持つ下肢=膝での人間体としての運動である二足歩行を行うには、股関節の内外旋で膝関節の内外旋(=Screw home movement)を打ち消してやるという運動形態を持たねばならない、創出していかねばならないが、それがサル類体を人間体としての運動形態で使うようになっていく、なっていったという相克=二重構造を内に秘めた人間体の常態であるが、それが股関節の内外旋筋を使い過ぎたり使い足らなかったりして衰えていくことで、しっかりと内外旋出来なくなっていってしまうことの結果としての膝関節に負担のかかる歩くことの積み重ねで、膝関節が傷んでいく、病んでいく……」のだと説いたのだが、サル類体の運動形態=木に登るという運動形態、特にここで問題となっている膝関節と股関節の木に登る時の運動形態を検討してみると、木に登るということは、歩く以上にしっかりと膝関節の内外旋にシンクロさせる形での股関節の内外旋という運動を行わねば、行なえねば不可能である、これは木登りの初心者が股関節や股関節周囲の内外旋回を可能とする筋を傷めることが往々にしてあるということからも……と思う。

そう考えると当初に考えたように、二足歩行における膝関節の内外旋に合わせての股関節の内外旋という運動形態がサル類体としては、木登りという運動形態としては、本来、存在しないものであり、それをサル類から人類へと進化する過程で創り出していったものであるから、身体の衰えとともにのその股関節の運動形態が次第次第に衰えていっての「Screw home movement 」による膝部痛。ということでは無しに、サル類体としては本来あった股関節の内外旋の運動の実力が、サル類体本来の運動形態では無しに、人間体としての、二足歩行という運動形態をとり続けるということによって股関節の内外旋という運動形態をとる実力が衰えていくことで、の「Screw home movement 」による膝部痛なのでは無いのか?と思える。

これは、自身の中々に治らなかった膝の故障が、いろいろと試す中で、結局は木登りによって完治したということからも、と思う。……ここは、改めてしっかりと説きたい。
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