鍼灸如何に学ぶべきか~科学的鍼灸論の構築のために~

鍼灸の理論と術にかかわる初歩的・基本的な問題を中心に科学的=論理的に唯物論を把持して説(解)いて行きたい、と思います。

「旧・東概」まとめ(8-補)〜五臓の病〜

2015-10-12 08:36:29 | 鍼灸理論・東洋医学
 五臓の病について簡単に列挙することで、「2.五臓六腑(蔵象)」の項をおえて、先に進みたい。まずは、「旧・東洋医学概論」(今後、「旧・東洋医学概論」は「旧・東概」、「新・東洋医学概論」は「新・東概」と略することとする。)を概観して、東洋医学概論の全体像を描いていくことが大切であると考える。

 「心の病」(心に関わる五行ー神、血脈、顔色、舌、汗)
 1.意識的、無意識的活動に不適切・不調和が生じる。2.脈拍に異常が現れ、血の巡りが悪くなる。3.顔は白っぽく、ツヤがなくなる。4.味覚異常、言語障害。5.無汗や自汗(むやみに汗が出る)。

 「肝の病」(肝に関わる五行ー魂、筋、爪、目、涙)
 1.イライラ、逆におどおど。2.安眠できない。(血の上逆によって)頭痛、めまい、耳鳴り。(上部への血の配分が悪くなり)顔面蒼白、めまい、難聴。月経異常。3.筋が無力、ひきつれて痛む。4.爪の色つやが悪い。爪の変形。5.目が疲れやすい。6.目が乾いたり、涙が流れすぎる。7.(「疏泄」の働きが悪くなることで気が滞り)精神抑鬱。イライラして怒りっぽい。脾胃の病。

 「脾の病」(脾に関わる五行ー意、肌肉、口、唇、涎)
 1.腹痛、下痢。(営気の不足から)全身倦怠感。出血しやすい。2.痩せ、四肢無力。3.食欲の異常(亢進・減退)美味しく感じない。唇や口内が荒れたり、瘡ができる。4.涎が流れず口中が乾く、あるいは流れすぎて口中に溢れる。

 「肺の病」(肺に関わる五行ー魄、鼻、皮毛、毛、涕)
 1.呼吸、発声の異常2.皮膚の枯燥や湿疹、浮腫。3.涕(はなみず)の分泌異常。鼻が詰まったり乾いたり。

 「腎の病」(腎に関わる五行ー志、骨・髄、耳、髪、唾)
 1.活動が低下、体が冷える。生殖能力の低下。病にかかりやすい。(様々な老化現象)2.水分調節の不調(浮腫、尿閉、頻尿、下痢)。3.発育不良。歯牙の異常。骨が脆い。腰が曲がる。白髪・脱毛。4.大小便の異常。

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 五臓の病を概観すると、ある病、異常を陰陽説、五行説等の類推で治療したら治ったという事実から、その臓の病とされているものと、陰陽説、五行説等での関連があるとされる部位の病であるから、その臓の病、異常であると解釈しているものとの両方がある。と思える。
 いずれは、現代の解剖生理学の視点から検討していくことで、事実と解釈とを分けていく必要があると考える。

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