むすぶ つなぐ

「悪の枢軸」とされる国から思いつくまま……。

現場

2009年07月10日 13時44分26秒 | Weblog
ウルムチ、トルファン、カシュガル……。

名前の響きも、漢字の表記もエキゾチックで、学生時代に心惹かれた。
中国なのに中国でない民族、文化の十字路。
結局、悩んだあげくアフリカに行くことに決め、以来行く機会は全くなくなった。



今週はウイグル問題でバタバタ。
識者に聞くなり、資料にあたるなり、今の最大の仕事は急速に「にわか専門家」になること。
机上の作業には限界がある。
けれど、ほとんど現場に出られるチャンスがない今、それしか紙面をサポートする方法はない。



昨晩から2日分爆睡した。

「やっぱり現場には早めに入った方が……。じゃあ、僕がウルムチ行きますわ!」
上司に直談判している自分が夢に出てきた。
少し興奮しながら、準備を始めたところで、すぐに目が覚めた。
あ~あ……。

なぜか上司は外国人で、変な英語で直談判していた(笑)
夢って複雑に入り組んでいる。


  ×   ×


ひたすら現場を踏む人には、「評論家」にはない気持ちよさがある。
10年で10カ国の現場。難民支援は「ばんそうこうを張るような」作業で、理想通りには行かない。
それでも続けていくしかない。
http://mainichi.jp/select/world/news/20090710ddm007030003000c.html

黄金比

2009年07月09日 02時06分42秒 | Weblog
ダラダラ~とした週末が嘘のようだ。
月曜からほとんどノンストップ。
次から次へとやることが増えてきて、前からためていた仕事の締め切りも近づき、なんだか落ち着かない。

最近気に入っている「ヨーロッピアン・ジャスミンティー」でとりあえず一息。はあ~。



仕事って、不思議なもんだ。
忙しさや仕事の疲れは、時間や分量では測れない。
その仕事がどれだけ自発的、能動的、創造的なものかにも大きくかかわってくる。

決まった当番の仕事や上から降ってくるミッションをこなすのは基本だし、そこで自分なりに「何か」を見つけることも大切だ。
けれど、あまりに増えてくると、どうしても滅入ってくる。

解消するために、自分の投資になるような取材や勉強会やらを自分の意思で入れて相対的に充実感をアップさせるしかない。
時間的には余計に忙しいはずなのに、その方がまだ疲れない(気がする)。



やるべき仕事と、自分への前向き投資。
今は、後者がだいぶ足りないなあ。
やっぱりバランスが大事。その「黄金比」を探したい。


アヒル

2009年07月05日 23時31分09秒 | Weblog
最終回を見逃がしてしまった!

土曜日のNHKドラマ「風に舞いあがるビニールシート」
難民支援の世界を舞台にした人間ドラマ。
取材でお世話になっている複数の国連職員の人たちを思い浮かべ、これは誰がモデル?と考えるのも楽しかった。

原作の森絵都さんの小説も引き込まれるように読んだ。
情景描写がなんてうまいんだろう。


×   ×


金曜日は、10年間で、10カ国の現場を渡り歩いたUNHCR職員を取材。
過酷な現場を渡り歩きながら、何でも平然と語るパワーに圧倒された。

難民支援の深刻な現場は、1人の力ではそう状況が変わるものじゃない。
そんな、やりきれない時にどうするのか?
「どうせ同じなんだから前向き、何でもポジティブに考える。その方が楽しい。ただ、それだけ」
豪快に笑う同じ歳の女性に、「人間力」の圧倒的な違いを感じた。



土日も相次ぎ、現場にこだわり続ける人と接触。
本当に頑張っている人は、みんなアヒルのようだ。
懸命に動かしているバタ足を全く見せず、いつも平然と泳いでいる。


少しでも、アヒルに近づきたい。



いろは

2009年07月04日 12時42分56秒 | Weblog
旧態依然、精神主義、男社会……。
いまだに新聞記者の世界は、特殊な空気が漂っている。弊害もたくさんある。

なかでも事件取材の是非は大きなポイントだ。
今でも新人記者は地方の事件取材からスタートし、一部の「優秀」な記者はずっと警察や検察の担当として取材を続ける。



そんな“慣例”をずっと疑問に思ってきた。
そこで鍛えられた人の多くは、だんだん当局寄りの考え方に近づき、権力が大好きになっている自分に気がつかない。冤罪の温床にもつながる。
普通の感覚を失い、読者からどんどん離れて、何が生まれるのか?



けれど、長い伝統の中には、いい答えも詰まっている。
事件取材で得るものは、当局にすり寄る術だけじゃない。
本来、学ぶべき取材の「いろは」は、現場にひたすら寄り添い、大事なものを最大限かぎ取り、効果的に伝えること。
これは、優秀な学者でもNGOでもなかなかマネできないものだと思っている。



そんな経験、手腕をいかんなく発揮し、しんどい海外の現場を渡り歩きながら、いい記事を連発し続ける先輩記者がいる。
他の新聞の国際面を読み比べても突出ぶりがきわだつ。

http://mainichi.jp/select/world/news/20090702ddm007030041000c.html

  ×   ×

ああ~。今週は、泊まりや夜勤も多くて長~い1週間だった。

時に投げやりがちになる気持ちも、いい原稿を見ると少しだけ引き締まる。
新聞が持つ「活字エネルギー」ってもっと見直されていいと思う。
そのために、中身が問われる。

不惑の名曲

2009年07月03日 11時31分33秒 | Weblog
ミレ#ミレ#ミシレドラ~♪



一体、誰のために書いた旋律なのか?
長い間謎に包まれていた「エリーゼ」は、どうやら知人の妹の10代の女性らしい。
■毎日新聞
http://mainichi.jp/enta/art/news/20090702dde041030008000c.html

ベートーベンは当時40歳。
当時ならもうかなりのおっさんだ。
「不惑」の歳に何を思って、こんなきれいな曲を書いたんだろう……。
と考えると面白い。


  ×   ×


「柄でもない」と笑われそうだけど、中学時代、近所のおばさんにピアノを習っていた。ほんの少しの間。

「エリーゼのために」を一通り弾けるようになったところで、やめた。
というかこの1曲しか弾けない。

あれから四半世紀。
最近、たま~に鍵盤に向かって、「復活」を目指している。
ただ、笑えるほど進歩は遅い(笑)
なんとかベートーベンと同じ歳に完成させたい。


仕事で追われる時ほど、普段の自分と全くかけ離れたことをする時は、抜群に楽しい。


  ×   ×


「エリーゼのために」をモチーフにしたハードロックの名曲がある。
高校時代にはまった。後半3分からのギターソロ。今でもしびれる……!
(興味ない人にとってはただの雑音か?)

■Accept - Metal Heart (Live)  



フォーティーズ

2009年07月02日 03時31分49秒 | Weblog
40年の積み重ねは、あまりにも大きい。
中高時代の友人が出版した岩波新書を読んでいて、唖然(愕然?)とした。
アフガンを中心に平和構築の理念と現実が伝わってくる。
同じ歳でこれだけの仕事ができるのか……と。


もちろん天賦の才能の違いもある。
けれど、高い意識と桁はずれの努力が、大きな差をつけるんだろう。


  ×    ×


石田衣良って嫌いだった。何だか軽くてうわついた感じ。
けれど、初めて著書をまともに読んで、時代を巧みに表現するうまさに圧倒された。

「40 翼ふたたび」

40という微妙な分岐点。
やみくもな冒険はできないけれど、希望はまだまだ捨てたもんじゃない。
20代のような「先の見えない」不安はない代わりに、「先が見えてしまう」不安とそれに伴う焦りがつきまとう。
そんな空気感をうまく表現した作品だと感じた。



今年も半分が終わってしまった。
「不惑」までは5カ月……。
もう少ししっかり軸を定めよう。
改めて思った。