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 メカ・ワンダーランド
(あなたの知らない海の世界)

初航海の想い出

2023-11-02 18:43:00 | 制作



ドレークは、知り合いの漁師から譲り受けた廃船をコツコツと修復し、3年の時を経て、ようやく航海に出られるまでに修復した。

ドレークが、その船で目指すのは寂れた灯台がヒッソリと建つ小さな島だ。
その島に、ドレークの父が住んでいるという噂を聞きつけたからだった。

父は、ドレークが5歳の時、その島に派兵され、灯台を建設する任務についた。
灯台建設後、帰郷寸前に父は敵軍の攻撃に遭い負傷し、その後はずっとその島の灯台で暮らしているらしい。


ドレークは父に会いたかった。
微かに残る記憶の中の父は、笑顔の絶えないとても優しい人だった。



冬の海は、風は冷たいものの波は穏やかだ。
ドレークの操縦する船は、順調に航海を続け、目指していた灯台の建つ島に無事到着した。




トントン。
島に上陸し、灯台を目の前にしたドレークは震える手で扉を2度ノックした。
はたして、ここに父はいるのか?

扉はゆっくり開き、中から顔を出したのは車椅子に座っている少しくたびれた印象の男性だった。彼には両足がなかった・・・

しかし、その男はドレークを見た瞬間、顔に生気を取り戻し、満面の笑みを浮かべた。
シワが目立つその笑顔の奥に潜んだ瞳を見た瞬間、ドレークは間違いなく父だと確信した!

「父さん!、僕だよ、ドレークだよ」

その言葉を聞いた父は、ドレークの額を両手で優しく包み込み、笑顔のまま何度も頷き、涙していた。
父もドレークを見た瞬間に息子と理解していたのだ。

二人はしばらくの間抱き合い、お互いの温もりを確かめ合った後、父はこう言った。

「お前に見せたい物がある」

そこで見せられた物は、ドレークが幼少期に描き父にプレゼントした「窓越しから見える船と灯台」の絵だった。

その絵の中に描かれている灯台は、いま父が暮らしている灯台そのものだった。
父はドレークの描いた灯台と同じ灯台を作っていたのだ。

両足をなくした父は、終戦後も自力で家に戻ることが出来ず、いつか息子のドレークが迎えに来てくれるのではと、この灯台でずっと待ち続けていたのだった。
父の長年の願いがようやく叶ったのだ!

ドレークは父を船に乗せ、母国イギリスに向けて出航した。
ドレークにとって初めての航海は、とても感動的で記憶に残る旅となった。

そしてこの経験が、後に彼の名を歴史に残る船乗りとなる第一歩だったとは、まだ誰も知る由はなかった。








デザフェスまであと9日。
体重は200g減。


11月11日(土)
西館4階
ブースNo.L-236




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