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論理的思考と直感的思考③~思考力を鍛える~

2013年08月23日 | 社会
死刑とは別の題材で考えてみる。
今はほとぼりも冷めてきた原子力発電の是非を題材にしたいと思う。
さて。
原発賛成派は、主に以下のような主張を持っている。
・低線量の放射線は人体に影響がない
・原子力発電は火力にも勝るコストのよい発電方法である
・核物質を保有していることは、安全保障に貢献する
一方原発反対派の主な主張は以下の通り。
・低線量の放射線であっても人体に影響がないとは言い切れない
・原子力発電は、事故が起こった今となってはコストの高い発電方法である
・原子力発電所がテロの対象となる場合がある。それを考えればむしろ安全保障を脅かすものだ
このように、賛成反対両陣営で、その主張の理由も分断されているケースが少なくない。
けれど、これって実は奇妙な事なんだよね。
なぜなら、上記の理由は相互に関係がないから。
原子力のコストと、低線量の放射線が人体に影響を与えるかどうかはなんの関係もない。
このことは、自分の主張を補強してくれるものならなんでも採用してしまう人が少なくないことを示している。
もっとも、おおっぴらに聞いたら頷く人は希だろうけどねw
彼らの無意識の思考パターンは、原発に賛成/反対だから、~の理由が挙げられて、そして一層原発に賛成/反対の姿勢を強める。
こういうのは知性の劣化と思うんだけれど、今の日本だからそういう人が多いのか、昔っからこうなのか、世界中見渡してもこんなもんなのか気になるところではあるな。

しつこく死刑賛成反対を例に出すと、この賛否は大体の人が一瞬で結論を出せる話なんだよね。
例えばアメリカが金融緩和を続けることに賛成ですか?
って質問を受けた場合、多くの人間は即座に答えを出せず、その状態から結論を導こうと思ったら、メリットデメリットを勘案して「~のところでデメリットがあるけれど~のところでそれを補ってあまりあるメリットがあるから賛成」というような意見になるはず(ならない場合もあるだろうけど)。
価値観に関わるような問題においては、全面的に良いとか全面的に悪いとか極端な意見が生じやすいのよな。
全面的に、っていうのは、
極端な原発賛成派の主張を例にとると
・低線量の放射線は人体に影響がない
・原子力発電は火力にも勝るコストのよい発電方法である
・核物質を保有していることは、安全保障に貢献する
という感じでどの理由をとっても原発を肯定するものばかりということね。

絶対に自分の主張が変わってはいけない、それを揺らがすものは全て排除しなければならない、っていうなんとも強迫的なものを感じるなぁ。
議論の場においては特に、論破されたら違う論理を持ち出してくる、っていうことを延々と続ける人が散見されるけれど、自分の主張に筋が通らなくなった時のための保険として担ぎ出してくる感がある。
間違ってるんじゃないかと思ったら、素直に考え直せばいいのになぁ。。。
落ち着いて、いろいろ新しい条件を付加して考えれば、物事の見え方は全然違って見えることがあるわけで、以前だったらありえないと思っていたようなことだって当然のものとして受け入れられるようになる。
自分の思考の妥当さを検証しなおすのがめんどうなのかな。


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