カボチャの部屋

お菓子をいっぱい貰うためだよ(trick or treat!)

TPP議論と日本の言論

2013年11月21日 | TPP
TPPの議論を見ていると、日本の言論自体に絶望しそう。
絶望したってしょうがないんだけれどね。
自由貿易だからTPPとかグローバルだからTPPとか、具体的な利益を全然論ぜられないままに参加に突っ込んじゃうのがなぁ。。。
どんな毒薬でも、表面だけ綺麗事が並べられていれば飲んじゃうんだからたやすいものだよなぁ。。。
民主党が出した人権侵害救済法案も、民主党じゃなければ通ったことだろう。
人権は大事だからねw
実際のところは人権侵害って何がそれにあたるのか定義しづらくて、治安維持法のような運用のされ方をするおそれがあるって指摘されていたわけだけれど。

中国とTPP

2013年06月03日 | TPP
中国がTPP参加を視野に入れてるらしい。
視野に入れたとしても、中国はTPPには入れるのかねぇ。
レアアースの輸出規制とかは記憶に新しいけれど、ああいうことができる国はそもそも論としてTPPにはいれないんじゃないかと思うのよね。
TPPに入ったらいろいろな制約が生じるわけだけれど、それをきちんと守る中国の姿が想像できないw

『モンサントの不思議な食べ物』

2013年05月25日 | TPP
TPPによる多国籍アグリ企業の本質についての映画。
サイト内にも色々と解説がある。
モンサントなどの企業と民主主義自体が相容れないことが浮き彫りになってくるね。

俺は見てないんだけどね。。。
モンサントの食べ物についてはネット等の記事でお腹一杯。
これ以上食べると危険っすわw

『モンサントの不思議な食べ物』は現在、渋谷区の映画館アップリンク(http://www.uplink.co.jp/)でのみ公開してるらしいので、興味のある方はどうぞ。

遺伝子組み換えの表記禁止なんかはアメリカの農作物が売れるようにするためだね。表記を禁止してしまえば自発的に「遺伝子組み換えしてないよ」と記入することもできなくなって、安い商品が売れるようになる。

遺伝子組み換えというとアメリカにおけるTPPを推進する企業連合の一社でもあるモンサントがその代表で、世界の遺伝子組み換え作物の90%を占めるバイオ化学メーカー。モンサントの種は作物ができても発芽機能が無くて(ターミネーター遺伝子)、一度使ってしまうと延々とモンサントから種を買わないと農業ができなくなるらしい。

モンサントwiki
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B5%...
映画『モンサントの不思議な食べ物』
http://www.uplink.co.jp/monsanto/

二国間交渉と多国間交渉

2013年05月13日 | TPP
甘利さんは多国間交渉の方がメリットがあると言ってるけど、多国間だと揉めることが多いし、お互いの国柄を尊重した関税を守ることができないんだよね。
だから、参加国を見渡して、日本が参加してメリットがあるようなじょうけんだったら入ればいいと思うんだけどね。
TPP参加国が、工業国が多くてTPP参加国の工業製品の関税を引き下げられそうな時とか(日本は0%)、内需が大きい国の関税で、とってきたい品目があるとか(アメリカは関税が低い。自動車についても2.5%程度しかない)。
まあ、実際のところ、日本のGDPの大きさを考えると、多国間の貿易協定にはあんまりメリットがないと思うね。
おんなじ比率で関税を引き下げていくと、GDPの大きさから考えて、日本は小国にモノを売れないのに(平均年収が100万円を切るような世界で、高価な日本の車が売れるかは怪しい)、小国側からは日本へモノを売れるわけだからね。
小国ではあっても、何人か集まれば発言力は自ずと強化されてしまうし、さすがにそのへんの小国よりは大きい日本の国力を背景にした発言力も活かすことができないと思うんだけどなぁ。。。

たとえば、日本は関税を1%引き下げるから、相手は関税を5%引き下げてくれ、っていう要求だって、GDPに大きな差があると、相手は受け入れてくれる可能性が十分あるわけだな。
けれど、大国以外の国が多いTPPでは、どの国も平等に近い扱いを受ける可能性があるんじゃないかな。
つまり、二国間協定よりも、大国である強みを生かせないんじゃないかということね。

NHKスペシャル TPP交渉 どう攻める どう守る2

2013年05月02日 | TPP
『農業問題コメントまとめ1』

TPPの農業への影響についてどうか?
水野和夫さんのコメント
「農業というのはグローバリゼーションというか貿易の自由化にそもそも馴染まない分野だと思う。自由化というのは人、物、お金が国境越えて自由に流れるものと表面的に言われるが、農業の生産というのは工場と違って日本の国内で生産コストが高いから海外移転しましょうということが全くできない。なぜなら土地を移動することができないから。

そうするとそもそもTPPの交渉が全ての品目に渡って原則10年以内に関税を0にしましょうという枠組みが果たして良いのかどうかと思う。」

関税撤廃の例外にしたい品目を守れるのか?
甘利明大臣のコメント
「それぞれの国には日米の間でもそうだったがセンシティブ品目というものがある。日本にも国柄に則したセンシティブ品目がある。
多国間の交渉では2国間での話し合いではできない戦略が立てられる。TPP交渉の方がパートナーを組んで作戦が立てられるので融通性がある。」

聖域をどの程度守れるか?
中川淳司さんのコメント
「かなり厳しいと思う。95%の自由化率が今までTPPでアメリカなどが目指した数値。その場合を日本に当てはめると5%しか例外が認められないということになるが、品目数でいうと450品目。日本では米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の原料作物を聖域として関税撤廃の例外としたいが、これらを合わせると940の品目で10%を超えるので守りきれるとは思えない。」

TPPの影響はどうか?
柴山桂太さんのコメント
「日本はほとんど貿易自由化してる自由化の優等生で、GATTやWTOにかけて工業製品なんかほとんど完全自由、自動車の関税も0%(アメリカやヨーロッパはまだある)。農業製品のごくごく大事なところだけを守って聖域としてきたが、今度のTPPでは日本が自由化してきた中でギリギリ守ってきたものも交渉の主題に挙がる。北海道の乳製品や沖縄の砂糖など、地域の核となる品目が脅かされる。」

真山仁さんのコメント
「消費者にとって安い食べ物が入ってくるのは実はマイナスじゃない。本当に日本のものが良ければ、日本のものを買えば良いと思う。じゃあ聖域なき自由化にすれば良いのか、それは日本が貿易で成長してきた国であるという前提があることと、その一方で国として産業を守るということはそれはそれで重要なことだと思う。

世間の議論を聞いていておかしいと思うのは全部マストだということ(守らなければいけない、自由化しなければいけない)。交渉というのは絶対に守らなければいけないと言い続けながらどこで落とし所つけるかということが非常に重要な問題。まず落とし所として必ず○○しなければならないというのは何も前に進まないと思う。

もう一つ、じゃあ本当に農業が弱いのか、あるいは地域が弱いのか、自由化になればその分農業が強くなるのかというとそれは違うことだと思う。」

地域が成り立たなくなるという懸念を多くの人が持っていると思うがどうか?
甘利明さんのコメント
「まず日本は関税が日本で一番低い国。ということは日本以外の国はまだ関税で着膨れしてる状態。同じレベルで下げていくとしたら体力は日本の方がついてるわけだから、交渉力はあるはず。相手はまだまだ関税で一杯守られてて、日本は関税をどんどん離していって風雪に耐えて力をつけてきた。

それから農業は、守るべきは守る。でも、ニュージーランドの話しが出たが、ニュージーランドは最初から農業が強い国じゃない。政府の補助金貰ってやっていた国。ところがある時政府が方針を切り替えて、農業が自立して強くなる方向でということで補助金を止めた。そして強くなった。で、今日本に必要なのは、農業を産業化すること。VTRにもあったが、ニュージーランドの農業はみんな会社がやってる。日本の農家は会社がどれ程あるか。田んぼ耕してる会社、畑をやってる会社。日本の農業は産業じゃない。だから産業化していくということを導入していく機会でもある。」

そういう交渉を多国間でしていく必要があるがどうか?この交渉は最終局面が非常に大事ということだが。
中川淳司さんのコメント
「多国間の貿易交渉っていうのはGATTのウルグアイ・ラウンドであるとか、今WTOというところでもやってるが、日本も他のTPP参加国もみんな経験があるのだが、交渉は最後まで縺れて、最後の一週間、3日、4日間は徹夜の連続で詰める。後で話しに出ると思うが、関税の話しだけではなくて、TPPではたくさんのルールの交渉も話し合われる。その交渉の全体がパッケージとしてまとめられるので、最後は色んな交渉分野の取引、攻めと守りの国によっての思惑もあるし、各国がなんとか国に持ち帰れる内容を目指してギリギリの交渉をすると思う。」

どういう交渉の場になると思うか?そして勝算はあるか?
真山仁さんのコメント
「TPPをあえてこういう魅力、良い部分があると、例えばWTOでもなかなかうまく、その世界中のそれぞれの立場の国が、自分たちの主張をしてなかなか上手くいかなくなってきてる。TPPはある意味では、その中である程度数を絞って、しかもアメリカや日本さらに貿易に意欲的な国が集まって色々と手案をしていく。そういう意味ではFTAのような1対1ではなく、それぞれの思惑も入れながらさらにある程度の数があるので、みんながどういう考えをしてるのかと、あるいはどういう所を落とし所として考えてるのかということをある意味では非常にリアルに、解りやすくできると思う。

酷いことを言うと、結論がでなくても良いと思う。ただ、それからそれぞれのステージの国、まさに日本やアメリカみたいに先進国のずっと先端を走ってる国じゃないところが参加してきているので、それぞれの国がこれからの何を貿易で目指そうとしてるのかということを、本当にざっくばらんに言うことだけでも意味があるので、そういう意味ではこの数っていうのは非常にもしかしたら今までにない新しい何か落とし所がないか期待してる。」

優木まおみさんの質問
「なんでもっと早く交渉に参加できなかったのか?」

甘利明さんのコメント
「政権が違うから。民主党が交渉に参加すると宣言をしてから2年間ほったらかしたのが原因。」

優木まおみさんの質問
「WTOだと国の数が多すぎる、FTAだと少なすぎる。良い案配の国の数だからTPPが丁度良いということなのかも知れないが、二国間でそれぞれ項目を決めていくというように、少ない方が交渉はしやすいのでは?」

中川淳司さんのコメント
「関税を下げる交渉だけであれば二国間の方が早い。」

優木まおみさんの質問
「例えばお米とか牛肉、豚肉をアメリカと日本だけでやるのと比べて、多国間だと捩れて余計わかりにくくなるのでは?」


甘利明さんのコメント
「日本が入る時に、既に入っている11カ国で心配したことの一つが新しい国が入るとまたぐちゃぐちゃになるんじゃないかということ。そういう不安は確かにあった。でも、二国間だけだと二つの経済のメリットしかない。数が増えてくればメリットがずっと広い範囲に及ぶ。貿易というのは二カ国だけでやり取りするよりもたくさんの国でやったほうがメリットがある。だから多ければ多いほど本当は良いのだが、多ければ多いほどまとまりづらい。」

日本は交渉に遅れて参加しているが、ニュージーランドやカナダはかなり準備をしている。どう対峙していけるのか?

甘利明さんのコメント
「これはある種のルール作りをするわけだから、ルールを作る時には一番最初に始めた人のほうが環境は良い。後から入ってきた人がもう既に決まったルールをこんなルール聞いてないとひっくり返すことはできない。最初決める時から加わった方が有利か不利かと言えば有利だと思う。完全に参加というわけでないので完全な情報ではないが、大事な部分はほとんどまだ決まってないなという感じ。だから、今から入っても、入らなくて良かったよと言うほど遅れはとってないと思う。」

NHKスペシャル TPP交渉 どう攻める どう守る1

2013年05月01日 | TPP
TPP交渉にあたって一番大事にしたいことは?
甘利明さんのコメント
「TPPは経済交渉、通商交渉ですから、ゼロサムゲームではない。どこかが勝ったらその分だけ周りが損をするのではなく、みんなが得をするということが大事。しかし今まで入っていた国は多分不安があると思う。なぜなら横綱(アメリカ)がいてあとは全員前頭だったから。そこに日本という大関が入ってくる。そのためバランスが取れて横綱の主張だけでなく、色んな主張、組み合わせができるのではないかと期待されると思う。そういう期待にしっかり応えて、全員がwin-winになるゲームにしたい。」

『農業問題VTRまとめ』

関税撤廃で例えばニュージーランドの乳製品等、海外の安い製品が入ってくると、価格競争に勝てない日本の製品は売れなくなる。
北海道の試算では直ちに関税が撤廃された場合にはほとんどが輸入品に置き換わるとされてる。

ニュージーランドの乳製品は国内の王手乳業メーカーが合併したフォンテラ社がほとんど生産している。
売上高は約1兆6000億円。その90%がアジアや中東諸国への輸出で稼ぎ出されている。
この会社がTPPで市場拡大を狙う国の一つが日本。

温暖なニュージーランドでは牛は放牧で飼育されてていて、年間を通じて牧草が生えているため餌代がかからない。
農家一戸辺りが飼育する牛の数は日本の8倍以上。規模の大きな牧場では3000頭を超える。
搾乳を徹底的に機械化。生産コストは三分の一に抑えられている。
酪農家の生産意欲を高めるための工夫として酪農家一人ひとりがフォンテラの株主になっており、配当を受け取ることができる。

日本では放牧だけでは飼育できないので餌代がかかりコスト面では到底太刀打ちできない。

乳製品の関税撤廃の影響を懸念してるのは酪農家だけではない。
300に及ぶ運送会社も影響を懸念している。
乳製品を運ぶには専門の車が必要で、酪農の物流が無くなると大半の会社の経営が成り立たなくなる。
酪農が打撃を受ければ加工工場、運送業、農機具販売、牛舎を建てる建設業、十勝のブランドを活かした観光など、影響が地域経済に広く及ぶと見られている。

道内の酪農(北海道の試算)
経済影響 7123億円
雇用喪失 5万6000人


農業国のカナダの酪農は日本と同じように小規模で、農家1戸あたりの牛の数はおよそ70頭。ニュージーランドのような国際競争力は無い。
そのため乳製品に200~300%の関税をかけ国内の酪農家たちを保護してきた。

小麦や畜産、酪農などの生産者団体で作るカナダ農業者連盟の会長ロン・ボネット会長はTPPで小麦や豚肉の輸出拡大を図る一方で乳製品は何としても守りたいと考えている。

乳製品を聖域とするために手を組む相手として考えているのが日本。乳製品の聖域を守るという立場を共有できるため。
そんなカナダも日本に自国の農産物(牛肉や豚肉)を売り込もうと戦略を練っている。

日本は内向き国家では無い

2013年03月18日 | TPP
内向きだと言うけど、日本は世界一の債権国であって所得収支も莫大なわけで、十分世界に目を向けてると思うんだが。
それに韓国が欧米と自由貿易してるって言ってたけど、韓国なんか見習ってどうするのよw
韓国は貿易依存度がやたら高いし、為替の面でも戦いやすいからね。
政治的に不利な条件があったとしても、その分のデメリットを輸出増でカバーできるかもしれないけれど。

んで、リーマンショック以降の世界は成長というより停滞という感じだと思うんだけどねぇ。。。
モノを継続的に生産するためには、継続的な買い手が必要で、世界の消費者として貿易赤字を一手に引き受けていたアメリカの経済が不調だからなぁ。
輸出主導で成長してきた新興国はそのあおりを受けてふらついている状態。
まあさすがにTPP締結するころにはアメリカ経済もかなり回復してるんじゃないかと思うけれど。

TPP交渉参加表明、安倍内閣総理大臣記者会見

2013年03月16日 | TPP
長いけど、安倍内閣総理大臣記者会見の内容を貼り付ける。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0315kaiken.html
『【安倍総理冒頭発言】

 本日、TPP/環太平洋パートナーシップ協定に向けた交渉に参加する決断をいたしました。その旨、交渉参加国に通知をいたします。

 国論を二分するこの問題について、私自身、数多くの様々な御意見を承ってまいりました。そうした御意見を十分に吟味した上で、本日の決断に至りました。なぜ私が参加するという判断をしたのか、そのことを国民の皆様に御説明をいたします。

 今、地球表面の3分の1を占め、世界最大の海である太平洋がTPPにより、一つの巨大な経済圏の内海になろうとしています。TPP交渉には、太平洋を取り囲む11か国が参加をしています。TPPが目指すものは、太平洋を自由に、モノやサービス、投資などが行き交う海とすることです。世界経済の約3分の1を占める大きな経済圏が生まれつつあります。

 いまだ占領下にあった昭和24年。焼け野原を前に、戦後最初の通商白書はこう訴えました。「通商の振興なくしては、経済の自立は望み得べくもない」。その決意の下に、我が国は自由貿易体制の下で、繁栄をつかむ道を選択したのであります。1955年、アジアの中でいち早く、世界の自由貿易を推進するGATTに加入しました。輸出を拡大し、日本経済は20年間で20倍もの驚くべき成長を遂げました。1968年には、アメリカに次ぐ、世界第2位の経済大国となりました。

 そして今、日本は大きな壁にぶつかっています。少子高齢化。長引くデフレ。我が国もいつしか内向き志向が強まってしまったのではないでしょうか。その間に、世界の国々は、海外の成長を取り込むべく、開放経済へとダイナミックに舵を切っています。アメリカと欧州は、お互いの経済連携協定の交渉に向けて動き出しました。韓国もアメリカやEUと自由貿易協定を結ぶなど、アジアの新興国も次々と開放経済へと転換をしています。日本だけが内向きになってしまったら、成長の可能性もありません。企業もそんな日本に投資することはないでしょう。優秀な人材も集まりません。

 TPPはアジア・太平洋の「未来の繁栄」を約束する枠組みです。
関税撤廃した場合の経済効果については、今後、省庁ばらばらではなく、政府一体で取り組んでいくための一つの土台として試算を行いました。全ての関税をゼロとした前提を置いた場合でも、我が国経済には、全体としてプラスの効果が見込まれています。

 この試算では、農林水産物の生産は減少することを見込んでいます。しかしこれは、関税は全て即時撤廃し、国内対策は前提としないという極めて単純化された仮定での計算によるものです。実際には、今後の交渉によって我が国のセンシティブ品目への特別な配慮など、あらゆる努力により、悪影響を最小限にとどめることは当然のことです。
今回の試算に含まれなかったプラスの効果も想定されます。世界経済の3分の1を占める経済圏と連結することによる投資の活性化などの効果も、更に吟味をしていく必要があります。

 詳細については、TPPに関する総合調整を担当させることにした甘利大臣から後ほど説明させます。

 TPPの意義は、我が国への経済効果だけにとどまりません。日本が同盟国である米国とともに、新しい経済圏をつくります。そして、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々が加わります。こうした国々と共に、アジア太平洋地域における新たなルールをつくり上げていくことは、日本の国益となるだけではなくて、必ずや世界に繁栄をもたらすものと確信をしております。

 さらに、共通の経済秩序の下に、こうした国々と経済的な相互依存関係を深めていくことは、我が国の安全保障にとっても、また、アジア・太平洋地域の安定にも大きく寄与することは間違いありません。

 日本と米国という二つの経済大国が参画してつくられる新たな経済秩序は、単にTPPの中だけのルールにはとどまらないでしょう。その先にある東アジア地域包括的経済連携/RCEPや、もっと大きな構想であるアジア太平洋自由貿易圏/FTAAPにおいて、ルールづくりのたたき台となるはずです。

 今がラストチャンスです。この機会を逃すということは、すなわち、日本が世界のルールづくりから取り残されることにほかなりません。「TPPがアジア・太平洋の世紀の幕開けとなった」。後世の歴史家はそう評価するに違いありません。アジア太平洋の世紀。その中心に日本は存在しなければなりません。TPPへの交渉参加はまさに国家百年の計であると私は信じます。

 残念ながら、TPP交渉は既に開始から2年が経過しています。既に合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは、厳然たる事実です。残されている時間は決して長くありません。だからこそ、1日も早く交渉に参加しなければならないと私は考えました。

 日本は世界第3位の経済大国です。一旦交渉に参加すれば必ず重要なプレイヤーとして、新たなルールづくりをリードしていくことができると私は確信をしております。

 一方で、TPPに様々な懸念を抱く方々がいらっしゃるのは当然です。だからこそ先の衆議院選挙で、私たち自由民主党は、「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPP交渉参加に反対する」と明確にしました。そのほかにも国民皆保険制度を守るなど五つの判断基準を掲げています。私たちは国民との約束は必ず守ります。そのため、先般オバマ大統領と直接会談し、TPPは聖域なき関税撤廃を前提としないことを確認いたしました。そのほかの五つの判断基準についても交渉の中でしっかり守っていく決意です。

 交渉力を駆使し、我が国として守るべきものは守り、攻めるものは攻めていきます。国益にかなう最善の道を追求してまいります。

 最も大切な国益とは何か。日本には世界に誇るべき国柄があります。息を飲むほど美しい田園風景。日本には、朝早く起きて、汗を流して田畑を耕し、水を分かち合いながら五穀豊穣を祈る伝統があります。自助自立を基本としながら、不幸にして誰かが病に倒れれば村の人たちがみんなで助け合う農村文化。その中から生まれた世界に誇る国民皆保険制度を基礎とした社会保障制度。これらの国柄を私は断固として守ります。

 基幹的農業従事者の平均年齢は現在66歳です。20年間で10歳ほど上がりました。今の農業の姿は若い人たちの心を残念ながら惹き付けているとは言えません。耕作放棄地はこの20年間で約2倍に増えました。今や埼玉県全体とほぼ同じ規模です。このまま放置すれば、農村を守り、美しいふるさとを守ることはできません。これらはTPPに参加していない今でも既に目の前で起きている現実です。若者たちが将来に夢を持てるような強くて豊かな農業、農村を取り戻さなければなりません。

 日本には四季の移ろいの中できめ細やかに育てられた農産物があります。豊かになりつつある世界において、おいしくて安全な日本の農産物の人気が高まることは間違いありません。

 大分県特産の甘い日田梨は、台湾に向けて現地産の5倍という高い値段にもかかわらず、輸出されています。北海道では雪国の特徴を活かしたお米で、輸出を5年間で8倍に増やした例もあります。攻めの農業政策により農林水産業の競争力を高め、輸出拡大を進めることで成長産業にしてまいります。そのためにもTPPはピンチではなく、むしろ大きなチャンスであります。

 その一方で、中山間地などの条件不利地域に対する施策を、更に充実させることも当然のことです。東日本大震災からの復興への配慮も欠かせません。

 農家の皆さん、TPPに参加すると日本の農業は崩壊してしまうのではないか、そういう切実な不安の声を、これまで数多く伺ってきました。私は、皆さんの不安や懸念をしっかり心に刻んで交渉に臨んでまいります。あらゆる努力によって、日本の「農」を守り、「食」を守ることをここにお約束をします。

 関税自主権を失ってしまうのではないかという指摘もあります。しかし、TPPは全ての参加国が交渉結果に基づいて関税を削減するものであって、日本だけが一方的に関税を削減するものではありません。そのほかにも様々な懸念の声を耳にします。交渉を通じ、こうした御意見にもしっかり対応していきます。そのことを御理解いただくためにも、国民の皆様には、今後状況の進展に応じて、丁寧に情報提供していくことをお約束させていただきます。

 その上で、私たちが本当に恐れるべきは、過度の恐れをもって何もしないことではないでしょうか。前進することをためらう気持ち、それ自身です。私たちの次の世代、そのまた次の世代に、将来に希望を持てる「強い日本」を残していくために、共に前に進もうではありませんか。

 本日、私が決断したのは交渉への参加に過ぎません。まさに入口に立ったに過ぎないのであります。国益をかけた交渉はこれからです。私はお約束をします。日本の主権は断固として守り、交渉を通じて国益を踏まえて、最善の道を実現します。
 私からは、以上であります。』



『【質疑応答】

(内閣広報官)
 それでは、質疑に移ります。指名された方は、まず所属と名前をおっしゃってから質問をお願いいたします。
 それでは、高橋さん、どうぞ。

(記者)
 総理、共同通信の高橋です。よろしくお願いします。
 総理は、今、TPPの交渉参加を表明されて、その国益を守るという固い決意を述べられたわけですけれども、具体的に言いますと、米とか麦、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖、こうした重要5品目と国民皆保険制度について、昨日も自民党がこれを聖域として最優先で確保してほしいと、こういう要望をされています。総理としても、この聖域を守り抜くという決意があるかどうか、そして守れない場合は、交渉を離脱するという可能性もあるというお立場なのかどうか、まず一つお尋ねしたいのと、もう一つは、詳しい政府の統一試算の結果については、後ほど甘利大臣の方からという御紹介でしたけれども、農業においては、その生産額が3兆円にもわたって減少するとも言われております。この点については、農業団体からは強い反発も予想されるということで、夏の参院選に与える影響についてはどのようにお考えになるか。そしてまた、農業支援策についての検討状況についてもお聞かせください。

(安倍総理)
 まず、離脱するかどうかという御質問がございましたが、我々は国益を守って、それを中心に据えて交渉を進めていくわけでありますし、だからこそ交渉に参加をしました。ですから、今ここで離脱するかどうかということを申し上げるのは、むしろ国益にも反するわけであって適切ではないと、このように思います。昨日、自由民主党からも守るべき項目について決議文をいただきました。我々はしっかりとそれを胸に強い交渉力をもって結果を出していきたいと、このように考えています。
 そして選挙についてでありますが、これは選挙如何にかかわらず、この時期しかないと私は判断して、本日交渉に参加をすることを決断しました。
 その上において、我々は長い間の農村、農家との信頼関係があります。そうした信頼関係を通じながらしっかりと説明していくことによって信頼をつなぎ止めていきたいと、信頼を獲得していきたいと考えています。
 そして農業に対するダメージについて、試算については後ほど甘利大臣が御説明をいたしますが、そもそも関税が全くゼロになって、全く対応をしていない、対策をしていないという前提の数字ですから、そもそもそういうことには絶対になりません。そのことははっきりと申し上げておきたいと思います。むしろ今、最初にお話をしたように、これを、ピンチをチャンスに変えていくことこそが求められているのだろうなと思います。
 同時に多面的機能がありますから、ですからその多面的な機能ということを頭に入れながら、守るべきものは様々な政策を駆使して守っていかなければならないと、このように考えております。
 対策についても、今日、交渉参加を決めました。これから、しっかりとした交渉を行っていくと同時に、強い農業、攻めの農業、そして多面的機能を守っていくための対策、メニューについて、しっかりと議論していきたいと思っております。

(内閣広報官)
 それでは、次の方。それでは、古田さん、どうぞ。

(記者)
 東京新聞・中日新聞の古田と申します。総理、よろしくお願いします。
 総理は今、国民に対して、交渉過程については丁寧に情報を提供していくということを約束するというふうに述べられましたけれども、今後の交渉過程及び交渉参加に関わる情報については、どのように公表をされていくおつもりか。例えば会見をなさるとか、定期的に報告を政府として出されるとか、どのような形で公表をされていかれるのか、その考えをお聞かせいただきたいというのと、先ほど総理は、既に参加を決めて、交渉に入っている国々、11か国ありますけれども、こちらで一旦合意したことに関しては引っくり返せない、そういうことが厳然たる事実だということは認めるというふうにおっしゃいました。こちらが聞いている限りでは、カナダ、メキシコが交渉参加を決める際には、今の合意したことを引っくり返せないというほかにも、例えば交渉を打ち切る権利は、最初の参加を決めた9か国にしか認められないといった不利な条件も受け入れさせられたというふうに聞いています。
 総理は、こういう不利な条件に関しては、参加をすることを重視して今後受け入れざるを得ないというふうにお考えになっているということなのでしょうか。今後そういう条件が提示された場合に、政府としてどのような対応をなされるのか、そのお考えをお聞かせください。

(安倍総理)
 まず、TPPに関する情報提供については、先の訪米において、首脳会談後に日米共同声明を発出をして、内外記者会見で説明するなど、我々はできる限りの説明を行ってきました。
 また、与野党の関係会合等でTPPに対する安倍政権の基本的考え方や交渉の進捗状況について、随時御説明をしております。交渉でありますから、相手国との関係で公表できることとできないことがありますが、交渉に参加すれば、今よりも大分情報が入手しやすくなると考えています。公開できることは、進捗の状況に応じて、しっかりと国民の皆様に提供していきたいと、このように考えています。
 そして、交渉について、今まで既に参加をしている国が決めたルールについて、これを後から入っていって、既に決まっていることを蒸し返すことは難しいということは十分承知の上でありますが、ただ、今まで、まだ、例えば関税等についてはほとんど議論がされていないわけでありまして、これから決めることもたくさんむしろあると言ってもいいと思いますね。むしろ、ここで交渉に参加しないことは、もうTPPそのものを事実上私は諦めなければならない。つまり、交渉に全く参加できないのですから、全く日本はルールづくりには参加できないということになってしまっては、そうなっては、そういうTPPは、参加は国益にかなわないという、よりそういう状況になっていき、かつ、そのまた先にRCEP、FTAAPという、このTPPで決めたことを核に新しい体制ができていく、それを全て手放さなければならないというところに今、来ているのだということは認識しなければならないと思います。
 その上で、報道にて、メキシコとカナダに送付されたとされているような念書については、我が国は受け取っていません。ですから、それがどうなのかという仮定の質問にはお答えすることはできませんが、可能な限り、早期に正規に交渉に参加をして、強い交渉力をもって、我々は国益を守っていきたいと考えていますし、何と言っても、世界第3位の経済力を持つ日本です。その存在感は大きなものがあるはずでありますから、我々はこの力をフルに活用していきたいと考えています。

(内閣広報官)
 それでは、次の方どうぞ。
 それでは、関口さん、どうぞ。

(記者)
 ダウ・ジョーンズの関口と申します。
 TPP交渉参加の論争では、日本の農業を守るための農産物関税の扱いが最大争点のような印象を受けますが、関税を撤廃することによって、消費者が受ける恩恵の優先順位はこれより下に位置するのでしょうか。大企業は所得増を次々に発表していますが、マーケットの好調が反映されにくい中小零細企業や年金生活者には、総理の掲げる物価上昇目的などは、生活を苦しくさせる面もあります。
 安い外国米や畜産物が入っていることを望む消費者と、農業の聖域化の狭間にある溝を総理はどのように受けていらっしゃるか御説明ください。

(安倍総理)
 まず、多くの関税が撤廃されていくことによって物の値段が下がっていく。これは消費者が享受できる利益だと思います。そして、その分、購買力が増すことによって、GDPにプラスの寄与をします。そうした計算も我々はしているわけでありまして、つまり、消費者の得る利益は我々も計算に入れているということであります。
 その上において、農業は多面的な機能を保有しています。水を涵養し、地域を守り、環境を保全し、そしてCO2を吸収する。これは都市の人々も、これによる恩恵には浴しているわけであります。つまり、この多面的な機能を考えれば、それは農業は一つの産業。そこで働く人はもう要らないのだということには決してならないわけでありまして、ですから、この重要性、この多面的な機能、そしてそれは日本のまさに文化にも通ずるものがありますから、これについてはしっかりと守っていくのが私は当然なのだろうと、このように思っているところでございます。
 また、今、私たちが進めている経済財政金融政策についてのお話がございましたが、もし我々が今の政策を行わなければ、毎年毎年国民の収入は減っていくのですから、更にどんどん収入が減っていくという状況になっていきます。年金は物価にスライドしていきますから、デフレになれば年金収入は減っていきます。株価が下落をしていけば、年金の運用損がどんどん出ていきます。例えば株を売却して、それを被災地のために使う、JTの株の売却も売却益は減っていきます。
 つまり、今やっている政策をやらなければ、受けるマイナスははるかにはるかに大きいということを考えていただきたいと思うわけでありまして、つまり、行き過ぎた円高によって根っこから仕事を失ってしまうという状況を今、変えて、まさに日本の経済を上昇させていくことによって、経済を活性化させ、そして職を増やし、雇用を増やし、賃金を上げていく、今そういう局面に入っていったわけでありますから、大切なことはさらにそれを多くの方々に均てんしていく、広げていくことではないかと思っています。

(内閣広報官)
 予定の時間が来ておりますが、もう1問だけ。
 それでは、佐々木さん、どうぞ。

(記者)
 時事通信の佐々木です。
 今回のTPP参加表明に当たって、これまで政府はアメリカと事前協議を行ってきました。特に米国製自動車に対する関税の段階的撤廃の受け入れなど、一定の進展はあったと思うのですけれども、このいわゆる事前協議、もう事前という言葉は取れるのかもしれませんが、この協議はもう終わりなんでしょうか。そんなことはないと思うんですけれども、いわゆる90日ルールというものを考慮すると、夏以降に始まると見られる交渉会合参加に向けて、ほかに自動車や保険など残る課題について、どのような姿勢でそのルールづくくりに関わっていくのか、そこのところを具体的にお聞かせください。

(安倍総理)
 まず、先般の日米首脳会談において、日米間の協議を継続していくことで一致をいたしました。そのことを受けて、今、協議を実施をしているところであります。我が国のTPP交渉に対する米国の同意が可能な限り、速やかに得られるよう、今後更に取り組んでいく考えであります。

(内閣広報官)
 それでは、以上をもちまして、総理会見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。


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長ったらしい割に中身のない演説だなぁ。。。
脳筋保守が好きそうな、「攻めの」農業とか、「内向き志向」とかそういう言葉がちりばめられているけど、TPPは「外向きの攻めの政策」だから賛成だとか、そういう馬鹿げた考え方ならやめてほしいな。
TPPの試算って、10年で3.2兆円経済効果(GDPが増える)って物だったと思うけど、インフレ率が1%上がれば、1年で5兆円GDPが増える。
金融緩和と財政出動の効果よりはるかに小さい。
それにTPPに参加して外国の供給力を加えてもデフレ圧力の増加を生まない、失業率を高めない前提でって試算でその数字じゃあメリットがないと言ってるみたいなものだと思うんだけど。
農業を守るっていうのは分かったんだけど、一体何の関税を取りたいのか分からないままなのよね。

TPP参加交渉について

2013年03月05日 | TPP
TPPって交渉参加が決まっているわけじゃないんだよね。
交渉参加のための「協議に参加」って話で。
なんか交渉参加みたいに扱われてるけど、これはよくないなぁ。
まず事実と違う話だし、安首相んがやろうとしているならいいかな、って考える層がいる。
そもそもやろうとしてるのか疑わしいんだがw
野田前首相のあとで、協議にも参加しないという選択をとることが難しかったのかねぇ。

安倍首相とTPP

2013年02月24日 | TPP
安倍首相がTPPに参加する、って書いている記事が結構あるけどどうなんだろう。
安倍首相は、TPPに参加を表明するとは言っていない(断言している記事があったら教えてくれw)。
自民党内は反対派が多数を占めているらしいし、新聞はTPP推しだから飛ばし記事が多いのかねぇ。
安倍首相は明確に賛成とか反対とか言わないから、分かりづらいところだなぁ。