試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

京成新3000形3010-2[3010F-1] 3次車 前期仕様 動力ユニット整備(経年対策),上野寄クーラーキセ嵌合修正

2017-10-20 21:30:14 | 京成線:新3000形
初入場。

マイクロエース製京成新3000形の動力ユニット整備は2編成目の3010F前期仕様(3010F-1)を入場させた。
2010年7月にリリースされた3010Fは導入から既に約7年が経過した。
駆動状況は良好で起動電流が高目である以外気になる箇所は無い。


京成新3000形3010F 前期仕様。
3010F-1:3010_8-3010_7-3010_6-3010_3-3010_2-3010_1。
※3色LED表示器編成。

3010Fは2010年2月に行先表示器のフルカラーLED式化が行われた。
製品化告知からリリースまでの間に生じた変化で製品付属ステッカーは3色LED表示器のみとされた。
当初は製品付属ステッカーを貼付したが視認性が極端に劣り静態時には無表示に見える弱点があった。
その後[B15 普通 ちはら台]はそのままに行先表示器を富士川車輌工業製ステッカーへ交換している。
この貼替で[普通 ちはら台]の視認性は大幅に向上した。
但し[B15]はマイクロエース製を継続使用したためオレンジ色の発色度が異なったまま現在に至る。


3010-2 3次車 前期仕様(3010F-1)。

製品では3010-7に動力ユニットが搭載されていた。
当時の原則に従いマイクロエース製3200形3240F現行色に合わせた3010-2へ動力車位置を変更している。
後に3010F現行仕様(3010F-2)を増備したため現在では混同を防ぐ識別点となった。
3010F-1は出場から一度もメンテナンスを施していないながらも好調さを維持し続けてきた。
8年目での初入場で経年対策に主眼を置く。


入工中の3010-2。

3010-2の整備入場はKATOカプラー化のみで動力ユニットは清掃さえ行わなかった。
KATOカプラー化はカプラーアダプターを撤去し交換しておりFS-564動力台車の撤去も初となる。
高経年の未整備車で各部の劣化が十分に予想できた。
純正グリス除去に手間を要すると考え初めからクリーナープールを準備している。
早速分解し整備を開始した。


想定を下回った酸化度合いの導電板。

ユニットカバーを取り外すと酸化の進んだ導電板が目に入った。
薄汚れた導電板には純正グリスまで進出し状態は良くない。
予想では完全に輝きを失う程茶褐色に酸化していると思っていた。
ところが所々に真鍮色が残り良い意味で裏切られている。
下手な手を出した初期~後期整備施工車よりも状態を上回ったのは皮肉な結果と言えよう。
やはり駆動状況には導電板の状態が左右すると思われる。
導電板研磨は3001-5前期仕様(3001F)で活躍したラプロス#2400を起用した。
これまで極力使用を避けてきたが使い方次第では十分な戦力になると判った。
マイクロエース製導電板は焼き潰し固定式に加え複雑な形状を持つ端部が研磨し難い。
数回の往復で磨き上げられるラプロス#2400は作業効率向上に繋がると考えた。


ラプロス#2400で研磨した導電板。

後期整備施工が仇となりラプロス#4000では歯が立たなかった3001-5の導電板には#2400を使用した。
未整備の導電板へ#2400を持ち出さなかったのは研磨痕を目立たなくする目的だった。
ところが3001-5の導電板はラプロス#4000による研磨後と殆ど変わらなかった。
思い切って3010-2の整備で試用し今後の検討課題とする。
#2400へ番手を下げたとは言えペーパーに比べると目は細かい。
ユニットカバーへ差し込まれている導電板端部もあっさり真鍮色へ戻った。
全体の往復回数も少なく#4000での研磨後の状態と同等を保てた。
研磨粉も然程多くなく現時点では#2400が有利に思える。
新3000形は高経年編成が多く3026F現行仕様(3026F)を除いてラプロス#2400で研磨したい。


状態の良かったモーター一式。

モーター周りは非常に良好だった。
単独駆動試験でもスムーズに回転してくれる。
モーター軸への油脂付着も無く良い個体を引いたと思われる。
好調ではあったものの経年からモーター軸受への注油を施した。
また台枠塗装剥離は生じておらず後発の3001-5を上回った。
焼き付け塗装劣化は製品リリース時期と無関係なのかもしれない。


初めて取り外したFS-564動力台車(成田寄)。

モーター一式までは順調に事が進められた。
しかしFS-564動力台車の整備に移ると状況が一転した。
覚悟はしていたが純正グリスに塗れたギア周りを目の当たりにすると滅入る。
純正グリスは量の多さに加え劣化が進み上野寄,成田寄とも手を着けられない状態だった。
大ギア用センターピンは押し出しに難儀するほど固く各ギアは純正グリスが抵抗となり落下さえしない。
手作業は早々に放棄しスパイラルギア,大ギア用センターピンを含めクリーナープールに浸けている。


純正グリスで覆われたギアボックス内部(上野寄)。

ギアボックス内部は茶色へ変わった純正グリスが全面的に付着する有り様だった。
その純正グリスもまだ乾燥には至っておらず爪楊枝による掻き出しもままならない。
ギアボックスは寸法や形状からクリーナープール使用には適さず手作業での清掃を続行した。
爪楊枝は諦め十分にクリーナーを浸した綿棒で各部の純正グリスを除去している。
綿棒は上野寄,成田寄で各1本ずつ消費した。
大体の場合は綿棒1本で2台車を賄える。
事前に爪楊枝で純正グリスを掻き出せなかった事が響いたと思う。
ここは未整備車ならではの弱点と言えよう。


純正グリス溜まりのあるロアフレーム(成田寄)。

FS-564動力台車ロアフレーム側の状況もギアボックス内部と良い勝負だった。
動軸ギアは検討すら要せずクリーナープール行となった。
ロアフレームは手作業で純正グリスを除去するしかない。
端部には純正グリスが溜まった状態でよく台車枠外側へ流出しなかったと思う。
清掃は細綿棒で純正グリスを取り除いた後にクリーナーを湿らせたクロスで拭き上げている。


各部の清掃を終えたFS-564動力台車(上野寄)。

クリーナープールから引き上げた部品群は大ギア用センターピンを除き歯ブラシで仕上げた。
クリーナーは黄色へ変色し純正グリス量の多さを物語る。
今回は純正グリス量から比較的長めにクリーナーへ浸けた。
その効果かクリーナーを吸い取ると各部品はほぼ脱脂されていた。
乾燥した純正グリスでは歯ブラシでの仕上げ時も残滓が残り丁寧に取り除く必要があった。
3010-2の状態では払う程度で全てを終えている。
純正グリスのクリーナープール浸けは乾燥から低粘度の状態まで行うに至った。
今更ながら状態に関わらず純正グリス除去のクリーナープール使用が正式決定している。


灰色成形に戻ったFS-564動力台車。

各部の清掃を終えたFS-564動力台車を組み上げた。
車輪は摺動抵抗が低くなりよく回転し続ける。
整備前の純正グリス量を考えるとよくスムーズな駆動を保てていたと思う。
この点でも3010F-1は当たりだったらしい。
最後にギア類へタミヤ製グリスを塗布し動力ユニットを組み立てた。


整備終了後の動力ユニット。

後は津川洋行製ホイールクリーナーによる踏面清掃と駆動試験を残すのみとなる。
入場前が好調で逆に整備後の状態が不安になった。
しかし低速回転や加減速度は安定を保ちこれを一蹴している。
唯一気になっていた起動電流も低くなった。
これは動力ユニット整備施工車共通で現れる現象でもある。
3010-2はより扱い易くなり全工程を終えたと思われた。




3010-2(上野寄クーラーキセ嵌合修正)。

ところがもう一つ作業が追加された。
よく見るとクーラーキセの上野寄が浮き上がり車体に接していない。
再度分解し修正を図った。
クーラーキセは2脚嵌合で上野寄が緩かった。
押し込んでも直ぐに浮くため流し込み接着剤で溶着している。

俯瞰が多く気付けなかった箇所と言えよう。
他5両も確認したが今のところ3010-2だけで留まっていた。
新3000形の弱点かもしれず以後の注意点としたい。

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