樹業人~風の通心

持続可能な社会や森林・建築・木製品について、気ままに こそっと考える為のネタ帳です。

RIOちゃんへ

2010-03-21 | ひとり言
RIOちゃんへ って 名指しかーい! って 突っ込まないでね。

コメントペーストしちゃいますね。

で、ぶっちゃけ、私にはあの記事とか、樹子さまのブログ記事とかを読んでも、書かれていることが何となく理解はできるというレベルどまりで、リアルなシーンや背景まで想像することができません。

反省、はんせい。長くなってもいい?

これを書きながら、うさばらししたり 考えまとめたりしているので 読者のことを考えないで書いているかも。だから、RIOちゃんに向けて 書くことにしました。

自動車産業とかは、頻繁にドキュメンタリー番組などでとりあげられるから、記事等を読んでも想像することができるのですが。

そうねー。自然は、大切だ。伐採は悪だ! 人が手を加えたから環境が壊れたんだ!
ブナの木、どんぐりの木を大切にしょう。熊さんがかわいそう。
みたいな感じかなぁ。後は、どんなに森林が荒廃してるとか。。。。

 私も 数年前まで 目の前に山はあるんだけど ぜんぜん興味もなくてマスコミからしか情報を得ていなかったのよ。森林の事(笑)。

 うちの家は、じいさんが製材業って、まーるい円柱の木を四角い柱に加工する仕事を 今から80年前にはじめたのね。建築も途中から、はじめたんだけど既に丸太や柱になった木しか見てなかったから、「林業」という山と直接かかわることはなかったのよね。

で、京都行って、東京行って、こちらに帰ってきてからも自分はインテリアデザイナーだって思っていた時期があって、建築士の資格とって、その頃は おしゃれで使い勝手がいいお家 みたいな事しか考えてなかったなぁと思う。

そしたら、阪神大震災があって「木造はダメだー」とか言われて、続いて NHKでアメリカで「化学物質過敏症・シックハウス症候群」ってのがおこってるって番組見てさ。すごくショックだったわけ。

自分が建てた家のせいで、住んでる人が不幸になるなんて事になったらいてもたってもいられないよね。

で そこから、自然素材とか、ちゃんとした木材とかに目覚めたの。

同じような頃、欠陥住宅の問題がおきて、木の乾燥とか強度とか耐震性とか色々法律が出来たの。それで、それに適応する木材とか工法とかにも もちろん取り組んだわけ。
そして、目の前に運びこまれた柱を見て「まずいんじゃない?」って思ったのよ。

(木材をどれだけ乾燥しているかという計測した数値だけが 大切になってしまった時期があって、お施主さんに見える柱の表面はきれいだし、ゆがみもしないのだけど、柱の中の細胞が壊れてる感じなの。釘やネジもききにくい。樹が元々もっている防腐防虫成分が抜けている…などなど)


消費者に良かれと思ってつくられた法律なんだけど、一応 ちっちゃい頃から木材は見てるじゃない。木をさわった大工の反応とかもね。でも、家って長く使うのだよね。

地場の工務店だから、建てさせて頂いた家にはずっと責任があると思ってるの。
逃げられないからね。長持ちする木材。これを何とか手に入れたいと思った。

幸い、製材する機械は稼働してるし、山に囲まれているから周りに木はいっぱいある。
自分たちで、ちゃんとした木材にしたらいいんやし。

てな具合で、地元の木を手に入れようと思ったら・・・手に入らないのよ

地元で生えている木が、製材業でもあるわが社に手に入らないって、どういうこと?。
ってのが、きっかけかなー。

うちが、フランチャイズの住宅メーカーに加入して北米の2×4の木とか、北欧材や集製材とかFAX一枚でオーダーして、スピードアップ・コストダウンをしている間に、

近くの木材市場や製材所、材木屋はどんどんなくなっていっていて、
山に木を持っている人も、泣けてくるような価格にしかならないから木を売らないし、
森林組合とかは、個人の会社には売れないって言うし、
伐採したとしても その頃は滋賀県から名古屋の市場に売られて行くから、爪を噛んで見送るしかなかったんだよね。

そしたら、さすが父ちゃん。近くの人と話がまとまったのか、自分で山の木を伐って 手に入れたのよ。それで、伐り旬とか葉枯らしとか新月伐採とか 良い木材になると言われていることは、やってみてるの。

なーんで、こんな長い話をしたかっていうと、林業と建築はとっても密接な関係なのに そのつながりが切れてしまっていた事が問題で、

実は、その建築は金融と密接な関係があって もちろん消費者ニーズやマスコミの影響、クローパルな世界で車や電化製品を売る為に撮られてきた政策にも とても影響を受けてるのよね。

うちが地元の木や伝統工法で家を建てなくなったのは、住宅金融公庫がきっかけだもの。

国産材が高くて とか 輸入木材が安いから とかじゃなかったのよね。


>「森林と日本」のこと、もっと世の中に幅広く知れ渡ればいいのに(もちろん正しく)。そしたら、例えば興味をもった異業種の人が新しいビジネスとか何らかの形でドンドン関与してきて、産業が良い方向に発展したり、拡がっていったりするのかも・・・。

その「正しい」ことが何なのかをジャッジするのが難しい。
企業努力でコストダウンしました! って、あるじゃない。企業のあるべき姿だよね。だけど、そのしわ寄せが 林業に行ってたんだよね。私も、山での木の価格聞いて驚いたよ。
ほんと 人間の労働を無視したような価格で 育ててきた人の人間としての尊厳すら踏みにじっているのではないかと思ったよ。

今さ、フェアトレードとかってあるじゃない。かっこよくさ 貧しい国のちゃんとつくった製品をちゃんとした価格で買いましょう みたいな感じかな?
日本の中にも あるぜ フェアトレードしないといけないとこ! って思ったもん。

ちゃんとした木を使いましょうって FSC森林認証材 というものがあるんだけど
この認証とるのに すんごいお金の手間暇がかかるのね。

木が売れても、山にお金は還らないのよね。
「あー また コンサルさんや申請機関に持っていかれるのねぇー」って感じかな。

そんなお金があったら 直接 山主さんに還してあげたい というのが本音かな。
私のね。


異業種とまでは行かないけど、地域で森林にかかわる各業種が集まって
前のブログに書いた kikito っていう協議会が出来たの。

あーーーーー。
ここに書いているのは、ほんと個人の想いとか考え方だから
kikito も会社も関係ないですからねぇ。
よく 調べもしないで 感 で書くこともあるから注意してね(ハハハッ) 


そうそう 異業種というと
この間、『森林吸収源、カーボン・オフセットへの取り組み』という本が出たのだけど
そこに kikitoの取組みと一緒に 坂本龍一さんたちが発起人になって活動されてる
「moreTrees」の取組みも紹介されていた事もあって 事務局の水谷さんとお会いしたのね。

とても真摯に取り組んでいらっしゃって、森林のこと林業の事を理解しようという姿勢がすごくわかるし、その上で 自分たちが何ができるのかって 考えていてくれているのが とてもうれしかったの。

山を川上 エンドユーザーを川下とすると 
私の場合は「川上 に近い川中」で、
水谷さんは「川下に近い川中」って思えたの。

「自分たちに何ができる?」って、聞かれると一番は「高く、日本の木製品を買って下さい」という事になるのだけど 川上に近い方では出来ない事がいっぱいあるので 異業種の方からの新しいビジネスのご提案は とてもありがたく思います。

でも きっと 間に通訳がもう一人位いるかもしれない。。。。

個人的な思いだけど、他の地域にも山があるわけで人の陣地まで責めていくのは、いかがかと思うんだよね。そういう事をすると 長く続かないんだよね。

 出来れば近くのものを近くの人が使う仕組みにして成り立たないとね。
ガソリンがちょっと値上げになっただけで事業が立ちいかなくなるしね。

機械を入れると、それを回収する為に 遠くにいっぱい売らないといけなくなる。



と いうことでkikitoでは、少しずつ 木を買って頂くだけではないメニューも揃えつつあるの。
 

しかし、林業って戦後の植林からまだ一巡もしてないなんて・・・それを知っただけでも衝撃!!うけました。

全部がぜんぶ そうじゃないけどね。



平成十四年のだから 少し古いけど うちの町の木の年齢別の生えている面積のグラフ。たぶん 有名な産地で昔から林業されていたところは もう少し違うかもしれないけど 日本の普通の山は どこも こんな感じではと・・・。

つまり、昔、植林して 育てて 伐採して 木を売って 植林して で 一巡でしょ。

(間伐って 木と木の隙間をあける事だから 面積には関係ないの)

左側の 10年までとかほとんどないでしょ。植えてないって ことなのよね。


結構、衝撃的な事はいっぱいあると思うよ。


大学の建築科では、木のこととか 木造の事とか教わらないの。
私、建築士の資格 持ってるけど、ほんとに木を扱うのに必要なスキル
試験に出てこないとかさ。

あやふやな間伐材という名前の使われ方とかね。

寸法の測り方、数え方、単位が コロコロ変わるとか。。。

あー長くなっちゃった。
そうそう、これは 私個人の考えだから 

最後に 今日の朝日新聞の全国版の二面に少しkikitoの記事を載せてもらってるの。

一面は、極悪人になれば載る可能性は高いけど
なかなか 二面に載せてもらうのは大変よねぇ。

こうやって 少しずつ広がっていくとうれしい。

朝日新聞を取られている方は、見て下さいね。

エコウォーズ


滋賀・多賀町「過疎防ぐ」とタイトルにあるんだけど
これは 森林のCO2吸収認証の話です。

なんじゃい そりゃーって感じでしょ。
前述の本を読んで下さい。

一番 今 ホットな本です。

が とても難しい・・・。半分は、目が宙に浮きながら読んでる気がする。


RIOちゃん
 
聞きたい事があれば なーんでも質問してね。
カメレスになるかもしれないけど ちょこっと落ち着いたから。


どっぷり入りすぎて 普通の人や都市部の人が
どこまで 知っていて どう思っていてとか わからなくなってる。

質問してくれると とーっても助かるわん。

( 一度 UPしたんだけど 少し直しました)

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3 コメント

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Unknown (RIO)
2010-04-14 16:17:15
またまたご無沙汰してしまい、カメレスですm(_ _)m

田原氏はあんましいい評判は聞かない気もします(笑)

森林簿ってあるんですね。
よく分からないけど弁護士的な人を通しても見れないのでしょうか?

にしても、ほんと、大きい、重い、細かい問題がたくさんあるんだなあ。。。

じゃあ、ジャーナリストと同時に直接政治家に働きかけたりも?!そういう時、樹子さまの環境大臣賞受賞の経歴も役立ったりして!
返信する
すばらしい ! (樹子)
2010-04-02 21:47:26
秘書に欲しい・・・

お給料 払えないけど(笑)

私のぐちゃぐちゃの頭を スコンとまとめていただいて

次のアクションまで提示してもらえるなんて さすが RIOちゃん!

江川さんかぁ。思いもつかなかったなぁ。

田原総一郎氏は、彦根出身なんだけどね(笑)
うちらの山から流れてる水で育っていらっしゃるのではと思うのだけど。。。怖いもんね 突っ込まれると


また、ボチボチ 書きますね。

今ね 一番 急がなくちゃいけないのは 森林の持ち主の確定なの。

自分の森林の場所がわかってる人が、既に70才を超えている。。。
グラフ見ると50年前に 父親にくっついて植林しに行ったとして 70才だもんね。

もう 山に登るのも大変。
人数も減ってきている。。。

私たちの年代は ほとんど山には行ってないし
私の年ですら すでに、道なき道を行く山登りはつらいし 怖い。

隣の敷地が誰のかも 境界線もわからない。
確定するには、隣地の人の立会もいる。

しかも 大抵 ちょこちょこ持ってて
うちでさえ 登記簿上は 20か所以上あるの。
プール位の大きさのとか・・・(笑)

でも すごい山持ちとかじゃないんだよ。

8人が相続している土地とかもあったりして。

見に行ったんだけど、一度行った位ては覚えられないよねぇ。ハハハッ

税金は取ってるんだから、持ち主はわかっているんだから 森林税をドカッと投入してやってほしいのだけど 
個人情報保護法だとか 個人には 使えませんとかって事になってて
県民に「やってまーす」ってわかやすい事( イベントとか 冊子とか チラシとか ボランティア支援だとか 子供への教育とか) に 使われているの。

みんな大切な事だけど 優先順位をつけて行動できる機関が ないんだよね…。

山主に なーんの音沙汰もない森林税の使い方なんて どう考えても効率悪い。

まず、持ち主と その山がほんとにどうなっているのかわからないのに 
計画なんて 建てられるわけがないよね。

すごく 当たり前の事が 出来てないのよね。

森林のCO2吸収 以前の問題なんだけど 何かきっかけになればと思ってる。
だけど、これは民間では出来ないのよね。
森林簿を握ってるとこしか。

と また マニアな話になってしまった かな(笑) 
返信する
なるほど~ (RIO)
2010-03-31 18:51:34
なっ、名指しかーーーーーーい!!(爆)
すごくご無沙汰してしまって久々にお邪魔したらビックリしました~。こちらこそ超々、超カメレスですみません。

それと、反省などしないで。このブログが万人向けでないことは承知しています。だけど、今回、とても分かりやすい言葉で丁寧に説明してくださってありがとう。

消費者ニーズ、マスコミ、金融、森林組合、政策、フェアでないトレード、高額費用と手間を要する認証、ここ数十年は殆ど植えられていない木などなど・・・様々な大きな問題が複雑に絡み合ってるのですね。とてもとても一筋縄ではいかないということはイメージできました(全然不十分なレベルのイメージだとは思いますが、それでも以前よりも。)

これらを解決して最終的に目指すゴールは、「元気な森」「生産者の収入向上」「消費者の健康的な家」がうまく稼動するのトライアングルなのでしょうか?そして、地域を越えないことを配慮しているkikitoはそのモデルケースを目指している?(違ったらすみません)

安易かもしれませんが、あるいはもしかしたら既に実行されているかもしれませんが、ひとつ思いつきの案があります。

「元気な森」「生産者の収入向上」「消費者の健康的な家」の実現を妨げている様々な問題が世の中に殆ど伝わっていない、それどころか、(間伐材すら)木を使わないこと=エコのような認識が蔓延しているので、メディアに影響力のあるジャーナリストを1人捕まえて、(多少時間はかかるかもしれないですけど)じっくりと現状や問題、そしてkikitoの活動を吹き込んだらどうでしょう?世に知らしめてもらうために。

それが世論として取り沙汰されると政治や経済への影響ももたらしやすくなりますもんね。

ジャーナリストにとっても、「世の中にとっては目からウロコの現実」「広範囲に影響を及ぼす大きな問題」「ネタはいっぱい」のやりがいのあるテーマだと思うのです。

実現するかどうかは分かりませんが、「いいかも」と思うジャーナリストは江川紹子さん。分かりやすくハッキリとモノを言うし、基本的にはメディアや政治家に迎合しないジャーナリストらしいジャーナリストだし。樹子様の記事を読んでそんな思いつきが浮かびました。

ちなみに江川さんはツイッターでコンタクト可能です。フォロワーがとても多いので、印象深くとか、何回か繰り返してなど、それなりにアプローチを工夫する必要があると思いますが。江川さんのツイッターのIDは「amneris84」です。(このコメ欄にURLが投稿できなかったのでご興味があればツイッターサイトで検索を)

でも、いずれも思いつきだし、私の理解も間違ってるかもしれないので、「そういう話じゃないよ」という場合は軽くスルーしてくださいね。
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