後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。
その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポール。
いままで幾度も取り逃がしてきた男。
クラヴィス・シェパードはジョン・ポールを追って
チェコへと向かう。
彼の恋人とおぼしきルツィアに取り入り、張り込む。
そして、ついに・・・・
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ジョン・ポールとまみえることになるのだが
囚われの身となってしまうのだった。
そこで語られる「虐殺の文法」
要約できない。
何度読み返してみても、読み返すたびに発見と、読解が深まる。
第一部~二部はSF的なシチュエーションとプロットだけでも十分に面白かったが
第三部からは、、、、、、
深い。
再読して初めて理解が深まった。
それでも、、、
プロットだけは、
☆☆☆。。。
・・・・・
扉が閉まり、足音が聞こえなくなってからもずっと、ルーシャスたちは奈落の画像の上に
這いつくばるぼくを、虫けらをみるような目で見下ろしている。
誰も口をきこうとはしない。これからせねばならない仕事の重さを、全員がかみ締めているのだ。
自由を守るため。管理しようとする人々の欲望に抵抗するため。そうした理由でぼくはこれから殺されるのだ。
「人殺しは嫌いなんじゃなかったのか」
「ああ、確かに」
ルーシャスは本当に哀しそうな表情をした。
たぶん、ヒトラーも、スターリンも、あのソマリアの某だって、、、同じだろう。
そのとき、ぼくの目の前を一匹の蛾が飛んでいった。死を前にしたこんな状況で
それは奇妙に幻想的な光景に思える。羽をばたつかせながら、それはぼくの開かれた中指に停まった。
フェロモンを滴らせていた中指に。
ルーシャスが蛾に気づいた。
「追跡犬・・(トレース・ドッグ)------この」
ぼくは縛られた手で、かろうじて右耳を塞ぐ。左耳は肩を使って蓋をする、。口を大きく開け、
その瞬間に備えた。
轟音が響き、南側の壁が吹き飛んだ。
「大丈夫か、クラヴィス」
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