二時間分の強行軍の後、ぼくらは一休みすることにした。
草むらで隠れて横たわると、ナノコーティングが周囲の色相をスキャンして
リアルタイムイで変化するパターンを生成する。環境追随迷彩。
ところが、なじみすぎるのがまずかった。
アンブッシュしている草むらのすぐ近くに、一台のピックアップトラックが
停車した。どやどやと降りてきたのは三人のAKを持った連中で、当然ながら
ぼくらのことなどまったく目に入っていない様子で焚き火を始めた。
銃弾のことなどまるで考えていないのだろう。彼らは弾倉がたたきこまれ
おそらく薬室に弾が入ったままのAKを焚き火の近くに放り出した。
「素人め」
ぼくらはなんの倫理的躊躇もなく、このパトロール兵を殺すことにした。
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素早く倒れた男たちの衣服を探る。
予想通り、肩の筋肉には、小さな盛り上がりがある。
IDタグだ。
僕はナイフでその部分の肉を削り取った。肉の中に小さな楕円形の板がある。
ウィリアムズが眉を吊り上げてぼくのほうをみやる。いつもの手でいくかと
提案しているはすぐにわかった。
バックパックからとりだした保護ジェルで血まみれのタグを小さく包み込むと
それを手のひらに載せてアスピリンのように飲み下す。
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