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Amature radio のたのしみ。古い無線機のレストアを中心にアマチュア無線やそのほかの話題も。

TS-780 #d レストア その3

2011-08-19 08:01:31 | TS-780

3.AVRユニット・CARユニット・PLLユニット調整

送受信と144/430とSSB/FMすべて共通でNGなので考えられる不良個所は1か所が故障していると考えればそう多くはありません。もちろん複合原因で複数の個所が故障していることも十分考えられますが。

とにかく初めにAVR(電源)ユニットの確認が最初でしょう。各出力電圧を確認調整して送受切り替え、144/430切り替えの確認をして問題なし。

次にCARユニットの各モードのキャリア出力と周波数の調整。これも大きなズレはなく調整して完了。

PLLユニットは怪しいと思っていましたが、意外に大きなズレもなく若干の調整はしたものの問題になるほどの異常はありません。

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すべての共通部で残るのはIFユニットの局発です。いつも周波数がズレていてなかなか合わせるのが難しいところですが、ココを確認すると2KHzくらい周波数がズレていました。しかし、2KHzのズレでは「送受信できない」ほどの問題になることはありません。

これは故障個所は1か所ではなさそうです。

 

4.送信部

故障個所を見つけやすい送信部から確認し始めました。一番壊れていると困るFINALユニットは144/430共にSSGから信号を入れることで10Wほどの出力が確認できたのでOK。ちょっと安心です。

IFユニットの出力(30.865MHz)を確認するとココから出ていません。出力のコイルを調整するもダメです。

Q51、Q52で構成される周波数混合部の入力信号は41.560MHzも10.695MHzも正常に入力されているにも関わらず出力がありません。Q51、Q52(2SK125)を2個とも交換しました。これで144も430も2Wくらいの出力が出てきましたがまだ正常ではありません。

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あちらこちらいじっていると急にパワーメーターが10W以上振れました。どこかがルーズコンタクトを起こしています。ルーズコンタクトのポイントを見つけるのはかなり大変でしたが、やっと見つけました。TXユニットのIF信号の入力コネクターの半田付け部でした。半田を付け直して完了。ゆすっても叩いても出力が変動することは無くなりました。

送信部はこれで概ねOKです。出力を13Wに調整しました。

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5.受信部

IFユニットの入力に30.865MHzの中間周波の信号を入力してレベルを確認するとQ1,Q2(2SK125)で周波数変換後の10.695MHzの信号が大変微弱です。

Q1,Q2を交換しました。受信部も送信部と同じ個所の周波数変換部の2SK125が不良です。偶然なのでしょうか?何かあったのか?

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交換後各IFTの調整をしましたが、L3,L4,L14,L16がコアが一番入ったところでもピークが取れません。L3,L4には並列に20PFのコンデンサーを追加してピークが取れるようになりました。おそらくLに内蔵のCが容量抜けしたのでしょう。L13,L16も同様にCを追加するつもりでしたが、こちらはジャンク機からIFTを拝借して交換しました。

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受信部も概ねOKになりました。受信感度は確認していませんが-10dBμVの信号も確認できるようになったのでほぼ正常に復活できたと思います。

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現在分かっている故障内容は

① バンドスイッチが2度押し状態になることがある。

② FLOCKがかからない時がある。

③ メーター照明が時々消える。

④ BEEP音がならない。


TS-780 #d レストア その2

2011-08-18 20:51:10 | TS-780

1.清掃と洗浄

フロントパネルを外して洗浄して、リアパネルも洗浄完了。ヒートシンクも外して洗浄しました。

リアパネルのネジはすべて新品交換。

 

2.周波数表示部交換

フロントパネルを外したついでに若干周波数表示が暗い(薄い)ので表示ユニットを交換しました。これは表示器デバイスのばらつきなのか経年劣化なのか?

これの交換は結構大変です。フラットケーブルを外すのも一苦労・・・そのあとうまく差し込んで半田付けするのも一苦労です。

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800_img_3822_2フラットケーブルの付け替えは結構手間がかかります。


TS-780 #d レストア その1

2011-08-18 20:12:17 | TS-780

TS-811D #3 のレストアをちょっと後回しにしてTS-780 #d を先にやろうかと思います。

友人から預かってきた不動品のTS-780ですが何とかしたいと思います。

初見確認から

【外観】

ツマミ類はオーナーがきれいに洗ってあったのできれいです。パネルは外さなかったとのことで汚れがあります。

リアパネルは錆が少々あり。ヒートシンクは黄色くなってます。埃も少々あり。

ケースは傷が少々ありますが再塗装するほどでもないかな?

内部は埃も少なくそれほど汚れていません。オーナーが清掃したのかもしれません。

【機能】

送信受信ともまったくNGです。受信時スピーカーからはSSB、FMともそれらしいノイズは出ています。

写真では分かりにくいですが、周波数表示が若干暗いです。BANDスイッチにチャタリングがあるのか時々2度押し状態になります。FLOCKスイッチも時々LOCKがかからないことがあります。

トーンユニット(TU-78)が実装されています。

EXTSP端子からMICジャックに改造線が1本追加されています。DATA通信用に使っていたのか?

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TS-780 #c レストア その5(完結編)

2011-08-04 17:55:24 | TS-780

6.受信部

受信部はIFユニットの入力、NB部のそれぞれコイルを調整しました。若干ズレは出ていたようですが、ほとんど問題なし。

受信感度を測定してみると145.000MHz 0.12μVでS/N10dB、433.000MHz 0.13μVでS/N10dBでした。SPECでは0.2μVで10dB以上ですから今でも仕様を満足していることになります。

Sメーターを+20dBμVでS=9に合わせて終了。

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7.送信部

バランスドモジュレータのバランスがいくらかずれてましたが、調整完了。

送信出力を433.000MHzで14Wに調整してバンド内12W~15Wくらい。145.000MHzで13Wに調整してこちらはf特なしでした。

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8.仕上げ

トップとボトムのケースを洗浄して新品ネジに交換して完了。カバーにシミが多少ありますが、再塗装するほどでもないのでこのままにします。

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TS-780 #c レストア その4

2011-08-04 11:21:00 | TS-780

3.ランプ交換

メーターの照明ランプが初め点灯せず、コンと叩いたら点灯しました。

フィラメントが切れかけていたものと思われますが、交換しました。

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4.PLLユニット調整

CARユニットとPLLユニット調整です。

CAR周波数はUSBが若干ズレが大きかったですが、すべてトリマー調整で規定値に合わせられました。

PLL部は周波数は概ね問題ありませんでしたが、制御電圧が結構ズレていました。確認はしませんでしたが、もしかするとバンドエッジでロックが外れる障害があったのかもしれません。

すべてトリマーとコイルのコアの調整で規定値に調整完了しました。

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5.430HETユニットとIFユニットのOSC

ハイバンド側(435~440MHz)の局発周波数がズレが大きめでした。ローバンド側(430~435MHz)はズレは若干ありました。すべて規定値に調整完了。

IFユニットの局発信号は調整がとてもクリチカルで、多くのTS-780は数KHzのズレはあります。ココのズレはそのまま表示とのズレとして現れますので、正確に合わせたいですがとても難しいです。このTS-780は珍しくズレが少なかったです。

800_img_3687 41.560MHz