ヨーロッパの限りない大地

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妖精の棲む島 アイルランド 自然・歴史・物語を旅する

2020-12-03 20:53:17 | ヨーロッパあれこれ
妖精の棲む島 アイルランド 自然・歴史・物語を旅する

渡辺祥子 著

三弥井書店 発行

2020(令和2)年4月13日 初版発行




この本は二部構成になっています。

第1部「アイルランドを旅する」ではアイルランドの南部マンスター地方とレンスター地方の一部の自然の風景を旅しながら、歴史の秘話や物語を探っています。

第2部では、アイルランドの民衆が長い間語り継いできた民間伝承の話の中から主に妖精伝説を取り上げています。




アイルランドの神話が提示するもの

・アイルランドという国が様々な民族の侵入により作られてきた

・ダナーン族がアイルランドを去らずに地下にとどまり不思議な世界を構築したこと

アイルランドの二重構造の世界観、現実の世界の隣に常に豊かな想像力の世界を持つ精神構造を理解するうえで重要 p4




アイルランドのキリスト教の教会にはカトリック教会とチャーチ・オブ・アイルランドがある。

5世紀にキリスト教が伝えられた時、土着の信仰を取り入れていた。それでもキリスト教を伝えた聖パトリックはローマ法王とのつながりを大切にした。

12世紀以後、アイルランドのキリスト教はヨーロッパ型のキリスト教に組み込まれ、カトリックの信仰を守りぬいた。

16世紀、イギリスのヘンリ8世がローマのカトリック教会から離脱し、自ら英国国教会を設立すると、イギリスの植民地だったアイルランドのカトリックの修道院、教会は解体されるか、歴史的に価値のある教会はカトリックからチャーチ・オブ・アイルランド(英国国教会のアイルランド自治支局)となった。

1892年カトリックの大政治家ダニエル・オコンネルが「カトリック解放」の法案をイギリス議会で通過させた後、カトリック教会が建てられることとなる。

ゴールウェイ大聖堂はその一例。

アイルランドの現在のカトリック人口は共和国が全人口の約87%、北アイルランドが44% p19-20




マーテロー・タワー

1804年から1806年にかけて、イギリス軍はアイルランドの主に東海岸沿岸にナポレオン軍の侵入に備えて、かなりの数の砲台のついた円筒形の要塞を築いた。この塔はコルシカ島のケープ・マーテローに最初にたてたため、マーテロ・タワーと呼ばれている。

結局ナポレオンのアイルランド侵入は無く塔は使われないまま時が経ち、あるものは廃墟に、あるものは物置になった。

ジェームス・ジョイスの記念館になった塔はもっとも有効に使われている例である。p174




この本では次の4つのテーマの話を紹介しています。

1 妖精による誘拐とチェンジリング(変え子)の話

2 妖精が人間に助言や援助を与える話

3 海に住む不思議なものたちの話

4 レプラコーン(赤い帽子に緑の上着を着た妖精)の話




アイルランドでは人魚の話が沢山伝えられている。

話のパターンはほぼ同じである。

北に行くほど人魚がアザラシに置き換えられ、アザラシ女房として語られることが多く、スコットランドではほとんどがアザラシの話である。p247


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