ヨーロッパの限りない大地

ヨーロッパの色々な都市を訪問した思い出をつづっていきたいです。

オルセー美術館展(シスレー)

2006-10-07 22:55:37 | フランス物語
続いてはアルフレッド・シスレーの「洪水と小舟」の絵を鑑賞する。
河はセーヌで、パリより下流になる、ポール・マルリーという町での出来事だ。

この建物及び並木は上記の写真のように現在でも残っており、右端には絵画紹介のパネルが見える。
たまたまパリで読んだ週刊ポストの連載で、伊集院静氏が紹介しておられたので、行ってみようという気になった。

日本で洪水といえば、台風などで急激に水かさが増えるという感じだが、フランスの場合は、ゆっくりと増水していき、水が引くときもやっぱりゆっくり、という調子だ。
この洪水の原因も、雪解け水の増水だったらしく、もちろんたいへんな災害だったとは思うが、まだのんびりとした雰囲気も見て取れる。

シスレーはこのときの洪水関連の絵を6枚残しているという。
少なくとも6枚もの絵を描ける余裕はあったわけだ。
また、普段とは違う、家屋とそれを反射する水面という、珍しいモチーフが画家の創作意欲を駆り立て、洪水という時にもかかわらず描きあげたんだろうなと思う。

オルセー美術館展(マネとモリゾ)

2006-10-07 10:49:56 | ヨーロッパあれこれ
講演会の整理券を胸ポケットに入れ、1階に戻り、展覧会場に入る。
まず右手に、ベルト・モリゾの「ゆりかご」が見える。
眠る子供を見つめる、優しい母親の姿である。
第1回印象派展で他の作品が散々けなされる中、この作品は割と高評価だったのもうなずける。

今回の展覧会、ポスターはマネの描いたモリゾの姿だった。
神戸市博物館に行く途中、駅などでも、チラシも含めて、あちらこちらに彼女の姿が見られた。
これを描いたマネの、モリゾに対する気持ちはどんなんだったんだろうなと詮索してしまう。
この他にも、マネはモリゾを描いていている。
自分が一番好きなのは「バルコニー」という、他の二人のモデルと一緒に描かれた作品だ。
他の二人(男女)が、ほんわかしている雰囲気なのに対し、モリゾは大きな瞳で、鋭く何処かを見つめている。
彼女が見ているものはなんだろうか。
画家としての野望か、それとも全く違ったものか。
一方マネから見た彼女の視線はどこに行っていたのか。
マネの思いはどうだったのか。
いろいろ複雑だったような気もする。

その後、モリゾはマネの弟と結婚する。
そのあいだに生れた娘は母のモデルとして、多くの絵に登場する。
今回の展覧会では、ルノワールが描いた娘の肖像が展示されていた。