ヨーロッパの限りない大地

ヨーロッパの色々な都市を訪問した思い出をつづっていきたいです。

霧に向かった迫力(ブルーデル美術館)

2006-03-19 00:19:20 | パリの思い出
1月の霧のパリ、この日は昼からブルーデル美術館に行く。
場所はモンパルナスの一角にある。小さな美術館だ。
中に入り、受付で入場料を払おうとしたら、この時は無料だった。一応Gratuitと書かれたチケットは発行してくれた。
最初の部屋に入る。
白い壁の、天井の高い部屋だ。
ここに、「弓を引くヘラクレス」や「瀕死のケンタウルス」のような作品があったように思う。
馬に乗った兵士の巨大な作品などもあり、それらの迫力に圧倒される。
続いて、庭を通り過ぎ、アトリエだった部屋に行く。
ブルーデルはここに23歳から死ぬまで住んでおり、一生懸命制作に励んでいたらしい。ちょうど田舎の木造の校舎という感じであった。
裏庭のようなところもあった。日当たりが悪そうな感じで、季節のせいもあり、「苔むす」という日本語を思い出してしまう。

美術館内には、何体もの「ベートーベン像」がある。ベートーベンの頭部の作品である。
スヌーピーのマンガを思い出す。
ベートーベンの頭像の前で一心不乱にピアノを弾いているシュレイダーに対し、かんしゃくをおこしたルーシーはそれを壊してしまった。その後彼は何事もなかったかのように、倉庫の中に山と詰まれた頭像を取ってきて、再び演奏に没頭していた。
もちろん、それに比べて髪型といい、顔つきといい、はるかにたくましい。
ベートーベンこそ、ブルーデルの作風に最も適した実在の人物かもしれない。

二階にも回った後、レンガに囲まれた庭園に出る。
植物の間に、ここにも彫像がある。
巨大な馬の後ろに回って空を見ると、ちょうどモンパルナスタワーがある。
しかしこの日は霧のため、その威容は見えなかった。
黒い馬は白い霧の中に吸い込まれていく建物の前で、一歩踏み出そうとしていた。
コメント
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