日本共産党いわき市議団

日本共産党いわき市議団に所属する伊藤浩之・溝口民子・渡辺博之・坂本康一各議員の日々の活動や市政情報などをお知らせします。

「『ふるさと』にいながら『ふるさと』を失った」―原告が訴え

2013-09-25 17:54:57 | 議員だより
 いわき市民が、原発事故をおこした東京電力と国を相手取り、損害賠償請求を求める「元の生活をかえせ原発事故被害いわき訴訟」の第1回口頭弁論が19日、福島地裁いわき支部で行われました。原告は、この裁判を通じて原発事故の責任を問い、安心できる暮らしと安全な地域を取り戻すことを求めていきます。夕方には、いわき市文化センターで裁判の報告集会が行われ約150人が参加しました。

 午後2時からの口頭弁論に先立ち、飯野八幡宮広場で、原告や支援者ら約90名が集会を行った後、デモ行進をしながら地裁をめざしました。
 いわき市民と弁護団総勢約20名が原告席に、国と東電・被告弁護団約20名が被告席に着き、裁判長が開廷を宣言しました。原告側からは原告4人と弁護士2人が意見陳述を行いました。
 3人の子の母親という女性は、出産したばかりの子を抱きかかえ、親子5人で不安を覚えながら4時間かけて避難したこと、長男の中学校入学を控えて「人生最大の苦渋の決断」をしていわき市に戻ったことなどを語り、「子どもたちから豊かな環境を奪ったことの責任の重さを国と東電にわかってほしい」と訴えました。
 また小名浜で仕事をしている男性は、カツオやサンマが水揚げされず、野菜や山菜を安心して食べることができないなど、事故によって当たり前の日常が奪われてしまったことを語りながら、「お金では到底埋められない損害が誰の責任で生じたものなのか、訴訟を通じて明らかにしていただきたい」と裁判長に訴えました。
 アレルギー疾患を持つ子どもをもつ女性は、避難先での生活の苦労、避難のために仕事をやめざるをえなかったことで生きがいを失くした喪失感などを語り「『ふるさと』にいながら『ふるさと』を失った思いを国や東電に理解してほしい」と訴えました。
 原告団団長の伊東達也さんは、原発事故直後多くの市民が避難し、放射能被曝で健康と安全が脅かされ、いまなお精神的苦痛が続いている。日本の歴史上、最大・最悪の公害だと述べ、「歴史的問題に対して、公正で歴史に耐えられる裁判所の判断を強く求める」と訴えました。
 夕方開かれた報告集会で弁護団は、国・東電は全面的に争う姿勢でいることを説明しました。国側は、事故初期の情報伝達をしなかったという原告の申し立てを否定、継続的低線量被曝の健康への悪影響はない、原発の安全対策も十分とってきたなどと主張しているといいます。東電は、いわき全域の線量を事故前にもどせという請求は、方法がなく実効性がないと、裁判の門前払いである請求棄却を求め、事故に対する過失も否定、審議そのものが必要ないと主張しているといいます。
 2年半を経過しても事故やトラブルを繰りかえし、高濃度汚染水を海へ流出するなど、問題解決どころか事故収束の見通しさえも示せない原発事故の現実。東電は、未だ人災と認めず、市民への本当の謝罪も完全な賠償もないままです。
 訴訟では、賠償支払いを求めることを通じて、原発事故の責任を国と東電に求めています。この声を大きくし、東電と国に責任を認めさせ、市民への謝罪と完全賠償をさせるため、市議団はこれからも力を尽くします。
(写真は、裁判所近くの飯野八幡宮会館で、弁護士や原告団事務局が、傍聴席に入れなかった原告らに対して、口頭弁論の内容やこれからの裁判の進め方などを説明している様子)