写真は沼の内団地
不充分ですが住民の要求が市を動かしました
津波などで被災した市民が入居している市の災害公営住宅の家賃は、国や市の施策で減免されていましたが、その期間が終了し今後値上がりしていきます。
そのような中、、住民のみなさんが声をあげ市や議会に働きかけてきた結果、不十分な内容ですが、市は、1月22日に値上げ幅を縮小させる措置を発表しました。
高くなる家賃
家賃が高くなる理由は二つあります。
一つは、国や市の減免制度の期限が終わるためです。国は、政令月収8万円以下の世帯の家賃を10年間減額し、市は全世帯を3年~5年間減額していましたが、その期間が終了します。
もう一つは、収入が基準を超えている世帯は住居の明け渡しが求められ、高額な家賃になるためです。
一般の市営住宅や県営住宅では、政令月収が15万8000円以下の世帯だけが入居できます。しかし、災害公営住宅では、家を失った被災者などはそれ以上の収入があっても入居できます。しかし、3年経過すると公営住宅法に基づき、明け渡しが求められ、それに応じない場合には、高額な家賃になります。
住民の声と要求運動
災害公営住宅に入居している方の中には、持ち家だから少ない年金でも生活できた高齢者や、失った家のローンを払い続けている人もいます。
「共働きなので、収入が基準を超え、家賃が高額になってしまいます。これでは生活できないので、アパートに引っ越そうと思いますが、子どもを転校させなければならなくなってしまいます」
と話す方もいました。
そうした中で住民の方たちは市と議会に家賃減免の延長の要望をしました。また、志帥会と日本共産党市議団の10議員が有志として住民と意見交換会を開催しました。
それらを受けて、昨年1月に市は、収入が基準を超えている世帯の家賃の値上げを1、2年遅くする方針を出しました。
しかし、高額な家賃になることに変わりありません。住民は再び署名を集め市と議会に要望し、地区の議員を招いて集会を重ねてきました。
市が値上げ幅の縮小の方針
住民の声を受けて、市は今年1月22日に、政令月収が8万円以下の世帯の家賃減額期間を5年間延長し、15万8000円を超える世帯の家賃の上限を低くしました。
これによって、豊間団地3LDKの家賃の上限は11万6600円から9万6100円に、久之浜東団地戸建て住宅では17万7400円から9万8500円に下がります。
さらなる減免制度が必要
今回出された市の方針は一歩前進と言えますが、依然として収入が基準を超える世帯の家賃は極めて高額です。これでは被災者を追い出すことになりかねず、さらなる値下げが必要です。
また、中核市のほとんどでは、収入が少ない世帯の家賃を安くし、ゼロ円にしている自治体もあります。本市でも災害公営住宅に限らず全ての市営住宅での減免制度を作ることが必要です。