日本共産党いわき市議団

日本共産党いわき市議団に所属する伊藤浩之・溝口民子・渡辺博之・坂本康一各議員の日々の活動や市政情報などをお知らせします。

震災から8年ーハードからソフトへ・暮らし再建へ支援厚く

2019-03-13 13:37:40 | 議員だより
 2019年3月11日、東日本大震災から9年目を迎えました。ハード的な復興はほぼ完了した今、これから何が必要か。考えてみます。


いわき市東日本大震災追悼式=アリオスで

 3月10日、スマートフォンの防災メールが届きました。
「明日3月11日(月)午後2時46分から1分間、東北地方太平洋沖地震の発生時刻に合わせ、各消防署等にてサイレンの吹鳴を行います」
 震災の犠牲者に哀悼の意を示し、震災の被害と教訓を風化させないために啓発を図る意味のサイレンなのでしょう。震災から8年が過ぎました。

■響かなかった式辞

 3月11日午後、いわきアリオスには、東日本大震災追悼式に出席する遺族をはじめ関係者が集まりました。
 午後2時35分、会場のスクリーンに、国主催追悼式の中継が映し出され、犠牲者への黙とうに続き、安倍首相が式辞、秋篠宮がお言葉をのべました。
 中継から会場にもどり、本市式典の主催者を代表して清水敏男市長が式辞、遺族と市議会議長が追悼の辞をささげ、遺族をはじめ出席者が献花で犠牲者を悼みました。
 この中で気にかかったことがありました。首相の言葉でも、市長の言葉でも、復興の今後への印象が薄かったのです。
 首相は、被災者が「長期にわたって不自由な生活を送られています」との現状認識を披歴し、一人ひとりの置かれた状況に寄り添い「生活再建のステージに応じた切れ目のない支援を行い、復興を加速」としました。
 清水市長は、ハード面の復興の取り組みを紹介しながら、「復興基盤の整備・拡充をはじめ、被災者のみな様の生活再建への支援や長期的視点に立った原子力災害への対応に、引き続き万全を期す」とし、「魅力あふれるいわきの創生に全力で邁進することを誓う」と、今後への決意を語りました。

■心にふれたお言葉

 それが心に残らないのです。一方、秋篠宮のお言葉は残りました。
 「今なお多くの被災者が、被災地で、また避難先で、以前として不自由な暮らしを続けている厳しい現実がある」とした秋篠宮(※)は、「いまだに放射線量が高い」などで自宅に帰ることができない人々が多かったり、被災地の児童・生徒数の減少や、風評被害による農林水産業への影響に懸念を示し、長期化する避難生活による心身の健康が「深く心にかかります」と、被災者に「末永く寄り添っていくことが大切」と語りかけたのです。
 被災者の困難に具体的にふれた言葉への共感が、印象を強くしたと言えるでしょう。
 ひるがえって、首相や市長の言葉では、被災者の現状に具体的に言及しませんでした。その結果、今後の対応策に、現実から切り離されたよそよそしさを覚え、心に響かなかったのでしょう。

■被災者個々に即した支援へ

 それだけに、ハード面での復興が完了した今、生活再建途上にある被災者に寄り添ったきめ細かい対応が求められています。
 2月定例会の政策総務常任委員会で、原子力災害避難者向けの「市内情報発信事業」について質疑しました。
 事業は、放射線の現状や広報いわき、議会報告、公営住宅の入居関係の情報など14種類を定期的に発送するもの。対象は、住民票移動を伴わない自主避難者662人、住民票を移動しながら市の情報を希望する特定避難者2249人で、前提はあくまで帰還です。
 現在も避難生活を解除できない最大の理由は、放射性物質に対する懸念と考えられます。その中、住宅の無償貸与が1県を除き終了するという現実を考えれば、帰還以外の生活再建にも、個々人の事情に即し丁寧な対応が求められると思われます。
 津波被災者の場合も、ハード面の整備完了は道半ばの復興にすぎません。被災者が避難生活の次の暮らしをスタートできた時、本当の意味での復興ができたと言えるでしょう。
 「震災を風化させない」、「原発事故を風化させない」と言います。それは、単に次の災害への備えという意味ばかりでなく、流れる月日とともに現実の生活の陰に隠れて見えにくくなる「復興」の課題を、常に明らかにしておくためにも必要なのだと思います。
 基盤整備というハード面から、今後は暮らしの再建というソフト面に復興の重点が移っていきます。
 被災者をはじめ市民の暮らしの現実に目を向けて、暮らしの再建の展望を明らかにする仕組みが大切になります。8年目の追悼式にあたって、その取り組みに、市議団として心新たに臨んでいきたいと思います。

※宮=皇后、皇子など皇族の尊称という意味があり、新聞等でつける「さま」も敬称であるため、本紙では「さま」はつけないことにします。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿