いわき市議会2月定例会では、28日に溝口民子議員、4日に坂本康一議員が一般質問を行いました。今号ではその内容をお知らせします。
◎溝口民子議員
本気で子どもの貧困対策を
さらなる特別養護老人ホームの整備を
■子どもの貧困対策に本気で取り組むべき
本市の「いわき市子ども・子育て支援事業計画(いわき市こども未来プラン)」は平成27年度から31年度の5ヵ年間を計画期間として、教育・保育にかかわる地域の子ども・子育て支援の需給計画と子育て支援策全般を総合的に盛り込んだ計画を策定しています。
現在次期計画を策定するため、昨年12月にアンケート等実施しました。
問 このアンケート調査の他に、次期計画策定に向けて課題をどの様に把握するのか。
答 現計画に位置づけた施策について評価・検証し課題を抽出すると共に、外部の学識経験者等で構成する市社会福祉審議会児童福祉専門分科会における審議を通して、課題の把握、精査に努め策定計画を進めます。
問 国は、子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的に、2013年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を成立させ、翌年8月に「子どもの貧困対策に関する大綱」が制定された。大綱のサブタイトルは「全ての子どもたちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指して」となっています。
国の大綱を受けて、本市の貧困対策の取組みはどうか。
答 2015年12月に「子どもの貧困対策庁内連絡会議」を設置。国・県、他市の取り組みに係る情報共有を図り、貧困対策の施策について協議検討し現行計画に位置付けました。また、本年2月に開催し、2019年度の新規事業の位置付けなどを協議・検討したところです。
問 会派で秋田市の貧困対策について研修をしてきました。2016年秋田市は、「秋田市子どもの未来応援計画(子どもの貧困対策)」を策定。18歳以下の子どもの保護者3000人を対象にアンケートを実施し、さらに児童相談所や、生活に困難を抱えている子どもや家庭を支援している13の団体から面接によるヒアリングも実施。時間のかかるヒアリングに取り組んだことに秋田市の本気度が感じられた。その結果、国の貧困線である122万円を下回る水準の世帯で生活する子どもの割合は全体で6.4%。さらに、ひとり親世帯では32.4%で3人に1人が貧困という状況が明らかになった。
これ等を受けて秋田市は、新規事業として「子ども食堂」や制服のお下がりを紹介する事業、子どもの居場所となるサロンスペース開設事業等を行っている。
秋田市の担当課長は「実態把握無くして計画なし」と語った。本市の来年度新規のアンケート事業に貧困の判断基準になるような設問を入れ調査をすることが必要だが、貧困についての調査をする考えはあるか。
答 近年児童虐待やいじめなど社会問題になっており、子どもの権利の観点から独自に調査をする必要があると考え、貧困も含めた実態調査を予定しています。
問 貧困の連鎖を断つためにもっと力を入れるべき。市長の見解は。
市長 貧困対策は経済的のみならず、土台である家庭環境などの幅広い視点を持ち庁内連絡会議を通して貧困対策に取り組みます。
■計画に沿った特別養護老人ホーム整備と人財確保に市独自の支援を
問 第8次高齢者保健福祉計画策定時点の施設入所希望者数は何人か。
答 794人で1年以内入所必要と判断した方は231人です。
問 特別養護老人ホームの整備目標ほどうか。
答 入所定員30人以上が60床、29人以下の地域密着型が58床です。
問 入所希望者と比べ施設整備目標が足りず、その原因の一つとして建設費用等の高騰がある。本市独自の建設補助の考えは。
答 平成31年度から労務費等高騰を踏まえ補助単価の引き上げや、併設するショートステイ床が新たな補助対象に含まれる予定であり、在宅サービスの充実と併せて取り組む必要があると認識しています。
問 人材確保のための本市独自の支援の必要があると考えるがどうか。
答 全国的な問題であり、東北市長会などを介して国へ対策を要望しており、国・県及び事業者と連携を図りながら、介護人材確保に務めます。
◎坂本康一議員
無料低額診療事業の認知度を高め調剤費も無料に
高齢者が安心して運転免許証を返還できる環境づくりを
○無料低額診療事業について
■認知度をより高める周知の徹底を
無料低額診療事業は、生計困難な方が経済的な理由によって、必要な医療を受ける機会が制限されることのないよう、無料または低額な料金で治療を受けることができる制度です。
本市では2019年1月から、1法人が無料低額診療事業の提供を始めました。
市民の健康を守る観点からも、この事業を利用できるようにしていくことが必要です。
そこで大切なのは、無料低額診療を必要としている人に、情報が届くよう十分周知することだと思います。
問 市民への無料低額診療事業の周知をどのように行っているか。
答 市ホームページへの掲載と、保健福祉センター、生活・就労支援センター、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどの市民相談窓口に情報提供したほか、実施医療機関自らも、周知を行うよう指導しています。
問 チラシやポスターなどの広報を行うべきでは。
答 実施法人によって、無料低額あるいは半額とする基準がさまざまですので、こちらで誰に案内してよいかという課題があり、個別の周知は慎重に考えたいと思います。
■調剤費も無料低額に
無料低額診療事業は、院外処方の調剤薬局では実施できないため、薬代が払えない患者さんが受診を中断してしまうケースもあり、制度として不十分な状況です。
先進的な自治体では、薬代の窓口負担分を助成する事業を実施し、服薬と治療を一体的に受けられるようにしている事例があります。
問 本市も、無料低額診療の薬代の補助をすべきでは。
答 院外処方の調剤薬局の場合、無料低額診療事業の対象ではないため、一部の自治体では調剤処方費用の助成を行っていますが、本市では、実施医療機関が院内処方で事業開始から間もないため、今後の利用実績や需要を見極めていく考えです。
問 改めて、市として薬代の補助の必要性について、どのような認識を持っているか。
答 費用の心配なく受診していただくことが無料低額診療事業の目的ですが、薬代を負担できない方については、ケースワーカー等が公的支援につなげるという相談を充実させるという中から、支援できる方々を増やしていければと考えています。
○高齢者運転免許自主返納促進事業について
逆走や操作の誤りなど、高齢者による危険運転が問題になってきました。
全国的に見ますと、免許人口10万人当たりの死亡事故件数は、75歳未満の3.7件にたいして、75歳以上は7.7件と2倍以上になっています。
問 高齢者の事故率は。
答 本市の、交通死亡事故発生件数に占める高齢者の事故割合は、2016(平成28)年は20.2%、2017年は21.5%、2018年は23.9%と、年々増加しています。
運転免許証の自主返納とは「運転に不安を感じている」「もう運転しないので運転免許証を返納したい」という方が自主的に返納できる制度です。
本市も、今年度から高齢者運転免許証の自主返納事業を創設し、免許を自主的に返納した高齢者に5000円相当の公共交通の回数券や公共施設等の利用券等を交付しています。
問 今年度の事業の見込み人数は。
答 2016(平成28)年の運転免許証自主返納者数と、過去3年間の平均伸び率から980人と見込みました。
問 実績は何人か。
答 2019(平成31)年1月末現在で453人に利用券の交付を決定しています。
公共交通が弱い本市では、車を利用しなければ移動手段の確保が困難だということや、比較的高齢な市民が農業を営むためには、車が不可欠で免許を手放せないという事情があります。
問 事業に対する良い点・悪い点を含めた市民の声は。
答 申請者を対象としたアンケートによると「事故の心配がなくなった」「家族が安心している」と約6割の方が満足している一方、「移動手段がなくなることへの不安」「利用したいものがない」といった声も寄せられています。
返還を希望する方が安心して返還できるよう、自主返納を促進する環境づくりを進めていく必要があるのではないでしょうか。
他の自治体では、自主返納促進のために、65歳以上で免許証のない方や返納者を対象に、タクシー料金の一部助成を行う事業を実施している例もあります。
本市においても、高齢者の運転免許の自主返納者や免許証を持っていない方に対して、支援を充実していくことで、交通への不安を払拭し、安心して暮らしていけるまちへと前進していくことが期待されます。
◎溝口民子議員
本気で子どもの貧困対策を
さらなる特別養護老人ホームの整備を
■子どもの貧困対策に本気で取り組むべき
本市の「いわき市子ども・子育て支援事業計画(いわき市こども未来プラン)」は平成27年度から31年度の5ヵ年間を計画期間として、教育・保育にかかわる地域の子ども・子育て支援の需給計画と子育て支援策全般を総合的に盛り込んだ計画を策定しています。
現在次期計画を策定するため、昨年12月にアンケート等実施しました。
問 このアンケート調査の他に、次期計画策定に向けて課題をどの様に把握するのか。
答 現計画に位置づけた施策について評価・検証し課題を抽出すると共に、外部の学識経験者等で構成する市社会福祉審議会児童福祉専門分科会における審議を通して、課題の把握、精査に努め策定計画を進めます。
問 国は、子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的に、2013年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を成立させ、翌年8月に「子どもの貧困対策に関する大綱」が制定された。大綱のサブタイトルは「全ての子どもたちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指して」となっています。
国の大綱を受けて、本市の貧困対策の取組みはどうか。
答 2015年12月に「子どもの貧困対策庁内連絡会議」を設置。国・県、他市の取り組みに係る情報共有を図り、貧困対策の施策について協議検討し現行計画に位置付けました。また、本年2月に開催し、2019年度の新規事業の位置付けなどを協議・検討したところです。
問 会派で秋田市の貧困対策について研修をしてきました。2016年秋田市は、「秋田市子どもの未来応援計画(子どもの貧困対策)」を策定。18歳以下の子どもの保護者3000人を対象にアンケートを実施し、さらに児童相談所や、生活に困難を抱えている子どもや家庭を支援している13の団体から面接によるヒアリングも実施。時間のかかるヒアリングに取り組んだことに秋田市の本気度が感じられた。その結果、国の貧困線である122万円を下回る水準の世帯で生活する子どもの割合は全体で6.4%。さらに、ひとり親世帯では32.4%で3人に1人が貧困という状況が明らかになった。
これ等を受けて秋田市は、新規事業として「子ども食堂」や制服のお下がりを紹介する事業、子どもの居場所となるサロンスペース開設事業等を行っている。
秋田市の担当課長は「実態把握無くして計画なし」と語った。本市の来年度新規のアンケート事業に貧困の判断基準になるような設問を入れ調査をすることが必要だが、貧困についての調査をする考えはあるか。
答 近年児童虐待やいじめなど社会問題になっており、子どもの権利の観点から独自に調査をする必要があると考え、貧困も含めた実態調査を予定しています。
問 貧困の連鎖を断つためにもっと力を入れるべき。市長の見解は。
市長 貧困対策は経済的のみならず、土台である家庭環境などの幅広い視点を持ち庁内連絡会議を通して貧困対策に取り組みます。
■計画に沿った特別養護老人ホーム整備と人財確保に市独自の支援を
問 第8次高齢者保健福祉計画策定時点の施設入所希望者数は何人か。
答 794人で1年以内入所必要と判断した方は231人です。
問 特別養護老人ホームの整備目標ほどうか。
答 入所定員30人以上が60床、29人以下の地域密着型が58床です。
問 入所希望者と比べ施設整備目標が足りず、その原因の一つとして建設費用等の高騰がある。本市独自の建設補助の考えは。
答 平成31年度から労務費等高騰を踏まえ補助単価の引き上げや、併設するショートステイ床が新たな補助対象に含まれる予定であり、在宅サービスの充実と併せて取り組む必要があると認識しています。
問 人材確保のための本市独自の支援の必要があると考えるがどうか。
答 全国的な問題であり、東北市長会などを介して国へ対策を要望しており、国・県及び事業者と連携を図りながら、介護人材確保に務めます。
◎坂本康一議員
無料低額診療事業の認知度を高め調剤費も無料に
高齢者が安心して運転免許証を返還できる環境づくりを
○無料低額診療事業について
■認知度をより高める周知の徹底を
無料低額診療事業は、生計困難な方が経済的な理由によって、必要な医療を受ける機会が制限されることのないよう、無料または低額な料金で治療を受けることができる制度です。
本市では2019年1月から、1法人が無料低額診療事業の提供を始めました。
市民の健康を守る観点からも、この事業を利用できるようにしていくことが必要です。
そこで大切なのは、無料低額診療を必要としている人に、情報が届くよう十分周知することだと思います。
問 市民への無料低額診療事業の周知をどのように行っているか。
答 市ホームページへの掲載と、保健福祉センター、生活・就労支援センター、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどの市民相談窓口に情報提供したほか、実施医療機関自らも、周知を行うよう指導しています。
問 チラシやポスターなどの広報を行うべきでは。
答 実施法人によって、無料低額あるいは半額とする基準がさまざまですので、こちらで誰に案内してよいかという課題があり、個別の周知は慎重に考えたいと思います。
■調剤費も無料低額に
無料低額診療事業は、院外処方の調剤薬局では実施できないため、薬代が払えない患者さんが受診を中断してしまうケースもあり、制度として不十分な状況です。
先進的な自治体では、薬代の窓口負担分を助成する事業を実施し、服薬と治療を一体的に受けられるようにしている事例があります。
問 本市も、無料低額診療の薬代の補助をすべきでは。
答 院外処方の調剤薬局の場合、無料低額診療事業の対象ではないため、一部の自治体では調剤処方費用の助成を行っていますが、本市では、実施医療機関が院内処方で事業開始から間もないため、今後の利用実績や需要を見極めていく考えです。
問 改めて、市として薬代の補助の必要性について、どのような認識を持っているか。
答 費用の心配なく受診していただくことが無料低額診療事業の目的ですが、薬代を負担できない方については、ケースワーカー等が公的支援につなげるという相談を充実させるという中から、支援できる方々を増やしていければと考えています。
○高齢者運転免許自主返納促進事業について
逆走や操作の誤りなど、高齢者による危険運転が問題になってきました。
全国的に見ますと、免許人口10万人当たりの死亡事故件数は、75歳未満の3.7件にたいして、75歳以上は7.7件と2倍以上になっています。
問 高齢者の事故率は。
答 本市の、交通死亡事故発生件数に占める高齢者の事故割合は、2016(平成28)年は20.2%、2017年は21.5%、2018年は23.9%と、年々増加しています。
運転免許証の自主返納とは「運転に不安を感じている」「もう運転しないので運転免許証を返納したい」という方が自主的に返納できる制度です。
本市も、今年度から高齢者運転免許証の自主返納事業を創設し、免許を自主的に返納した高齢者に5000円相当の公共交通の回数券や公共施設等の利用券等を交付しています。
問 今年度の事業の見込み人数は。
答 2016(平成28)年の運転免許証自主返納者数と、過去3年間の平均伸び率から980人と見込みました。
問 実績は何人か。
答 2019(平成31)年1月末現在で453人に利用券の交付を決定しています。
公共交通が弱い本市では、車を利用しなければ移動手段の確保が困難だということや、比較的高齢な市民が農業を営むためには、車が不可欠で免許を手放せないという事情があります。
問 事業に対する良い点・悪い点を含めた市民の声は。
答 申請者を対象としたアンケートによると「事故の心配がなくなった」「家族が安心している」と約6割の方が満足している一方、「移動手段がなくなることへの不安」「利用したいものがない」といった声も寄せられています。
返還を希望する方が安心して返還できるよう、自主返納を促進する環境づくりを進めていく必要があるのではないでしょうか。
他の自治体では、自主返納促進のために、65歳以上で免許証のない方や返納者を対象に、タクシー料金の一部助成を行う事業を実施している例もあります。
本市においても、高齢者の運転免許の自主返納者や免許証を持っていない方に対して、支援を充実していくことで、交通への不安を払拭し、安心して暮らしていけるまちへと前進していくことが期待されます。