日本共産党いわき市議団

日本共産党いわき市議団に所属する伊藤浩之・溝口民子・渡辺博之・坂本康一各議員の日々の活動や市政情報などをお知らせします。

・清水市政を考える6『優先』 ・政活費 あいつぐ不祥事 適正運用のため本市議会の情報公開をさらにひろく

2017-08-30 14:39:52 | 議員だより
◎清水市政を考える6『優先』

 4年前、震災直後の復旧・復興事業に取り組んだ渡辺敬夫市長(当時)から市政を引き継いだ清水敏男市長。この4年間に多くの事業が完了期を迎えました。
 市内最大の津波被災地・薄磯地区では、宅地造成事業が完了、今年7月15日の海開きに合わせて被災者に最後の宅地引渡しが行われました。隣の豊間地区も来年3月に宅地の引き渡しが完了する予定です。
 一方、この4年間、いわき市では様々なイベント的性格を持つ事業が展開されました。
 2015(平成27)年度の環太平洋首脳会議(太平洋・島サミット)、16年度にはWBC(ワールドベースボールクラシック)アンダー15ベースボールワールドカップ(U15)、また同年の市政50周年を記念した各種事業では、いわきサンシャイン博をはじめ50の事業が展開されました。
 こうした事業の展開には懸念もありました。
 例えば、U15の開催基準を満たすための改修で、南部スタジアムに約3億円が投じられました。また、いわきサンシャイン博は約1億円が投じられ、小名浜花火大会の例年900万円の補助金は3000万円に引き上げられました。
 「ふるさと・いわき21プラン実施計画(3年間)」に、位置付けられていない事業も含まれていました。
 実施計画は、当面3年間にすすめる具体的事業内容を定め、行財政運営の指針にするために策定されます。
 計画のおおもとは2020年度までの20年間を実施期間とする総合計画(本市では「ふるさと・いわき21プラン」)で、総合計画の10年ごとの計画である基本計画をより具体的にする計画です。
 先に書いたように、実施計画は行税制運営の指針です。計画外の事業実施は、財政に悪影響を与える恐れもあります。ですから、実行しようとする事業は実施計画に位置付け、財政の影響を検討しながら、計画的にすすめようとするわけです。
 今年の2月定例会には、仮称・磐城平城城跡公園の用地取得や公園の基本設計にかかわる予算が計上されました。予算化される直前に実施計画に入った事業でした。同地区のまちづくり関係者の長年の要望事項であった公園整備はやむをえない側面があります。



 7月31日に平地区のまちづくり懇談会が開かれました。清水市長は、いわき市にはこれはというシンボルがないとしながら、「磐城平城をシンボルにしていきたい」という趣旨で発言をしました。
 いま、この整備構想に櫓(やぐら)の建設も盛り込むなど、より大きな事業費になりかねない内容になろうとしているのです。
 ある市民は次のようにいいます。
「そのような計画があるということを全く知らなかった・・。私個人としては、目の前で日々重機が行き来している沿岸部の工事を見ているので、え?お城って何のこと!? と、狐につままれちゃってる状態です・・」
 本市のシンボルにしようとするのに、市民が計画自体を知らない。そんなことで、本市のシンボルとして育て上げることができるのでしょうか。
 また、14市町村が合併して誕生した広域の本市は、それぞれの地域が背負ってきた歴史的条件も、地理的条件も異なっています。
 こうしたことを考えると、広範な市民の合意が得られるシンボル事業となるのか。その点も疑問です。
 「ふるさと・いわき21プラン」は、めざすべき本市の姿を作り上げていく上での「まちづくりの姿勢」にこう書きました。「生活者起点」「将来世代への責任」の2点は、「私たち自身が共有すべき約束事」というのです。
 こうしたまちづくりの基本姿勢を踏まえた時に、今後の市政で何が優先されるべきなのか。それは本市を支える未来の担い手を育てていくことです。
 日本共産党市議団は、その一つの政策として、学校給食無償化の実現を市に迫ってきました。
 また、生活が困窮する世帯の児童・生徒の学習の機会確保のための市の支援策の実現を求めてきました。
 一部は、今年度から、生活困窮世帯の中学生を対象にした「子供の学習支援事業」として実現をしてきました。
 しかし、全体をみれば、まだまだ十分な対応がとられているとはいいがたい状況があります。
 「磐城平城」づくりという箱モノを優先するのか。それとも子どもたちが安心して学び、生活できる環境を充実して本市の担い手育成・人づくりを優先するのか。いま鋭く問われています。
                 (本連載は伊藤浩之が担当しました)


◎政活費 あいつぐ不祥事 適正運用のため本市議会の情報公開をさらにひろく

 「せいかつひ」。政務活動費の略称で「政活費」と記述します。決して「生活費」ではないので、誤解のないようお願いします。本来、政活費は「議員の調査研究その他の活動に資するため」に支給される費用ですが、最近の神戸市議会での不正流用のように、不正使用の例が後を絶ちません。いわき市議会は大丈夫なのか。疑問の声もいただきます。本市議会の政活費はどのように運用されているのか、お知らせしたいと思います。
                         伊藤浩之  


 自民党の今井絵理子参院議員との不適切な交際が報じられた、神戸市議会自民党の橋本市議。市政報告チラシの架空発注による政活費の不正流用疑惑も持ち上がり8月29日に辞職しましたが、同市議会の政活費不正流用はこれにとどまりませんでした。
 解散した会派「神戸自民党」の3議員も、合計約2310万円の不正流用による詐欺罪で在宅起訴され辞職しているのです。
 ご記憶のことと思いますが、昨年夏には富山市議会で政活費の不正受給が発覚し12人が辞職、補欠選挙が行われる事態になりました。
 しかも12人の辞職を受けて補欠選挙が執行された後に不正請求が発覚したケースもあり、結果的に38人の議員中14人が辞職する事態になっていました。
 「号泣議員」で有名になった元兵庫県議は、約913万円の政活費をだまし取ったとして詐欺罪などで起訴され、懲役3年、執行猶予4年の判決が確定しています。
 政活費の不正受給は、立派な犯罪行為なのです。
 このお金の問題が政治の信頼を揺るがしてきました。
 安倍内閣でも、3年間で計260枚520万円分の領収書を偽造して政治資金報告をしていたという稲田朋美衆院議員や甘利明衆院議員の現金を受け取っての口利き疑惑など、疑惑が発覚するたびに、政治に対する信頼が揺らいできました。
 7月に日刊ゲンダイが、吉野正芳復興大臣の不適正使用疑惑を報道しました。



 2014(平成26)年の政治資金収支報告書に、いわき市内の同じスナックでの1日2回の食事や、福島市のキャバクラで別々の日に2回の食事の記載があったというのです。
 スナック等での食事は、通常は考えられません。疑問が残りますが、記者からの問い合わせに吉野事務所から回答がなかったとされ、真相はやぶの中です。
 住民の代表である議員が“カネ”にまつわる犯罪行為に手を染める、あるいは“カネ”に対して不明朗な扱いをする。こんなことが続けば、政治と議会に対する信頼がさらに失墜してしまいます。
 これを他山の石として、本市議会の運営に生かしていくことが重要だと思います。

■マニュアルによって厳格に処理



 本市議会の政活費は、市議会で策定した「運用マニュアル」に従って運用されています。
 マニュアルでは、視察等に活用する調査研究費、会場費等に活用する研修費、会派広報紙等に活用する広報費、
資料の印刷やパソコンのリース等に活用する資料作成費(資料印刷や事務消耗品費やパソコン等リース代等)等9つの費目を設け、それぞれに支出ができる場合、支出ができない場合の考え方を明確にしています。
 例えば消耗品については次のような記述があります。
「私費で購入した自宅設置の事務用機器(プリンター、ファクシミリ等)に係る消耗品」の支出は、「政務活動目的の使用分と私的な使用分を証明することは困難であることからできない」
 私的な支出と政務活動の支出を厳密に区別しているのです。
 また、全ての支出に領収書をはじめ必要書類を添付した上で、それぞれの支出をマニュアルに従って厳格にチェックし、適正に執行するようにしています。
 しかし、課題も残っていると考えています。
 2016年度分の政活費から、議会のホームページ上で、それぞれの会派の費目毎の支出状況を公開しています。しかし、個別の支出内容が含まれていません。知るためにはお金と時間をかけて情報公開制度を活用するしかないのです。
 政務活動費を、市民の監視と理解のもとに効果的に活用するために、領収書も含めてより詳細に公開することが必要です。
 日本共産党市議団は、議会改革の一環としても、政務活動費のより詳細な公開の実現に力を尽くしていきたいと思います。

◎清水市政を考える5『非核平和都市宣言』  ◎平和の尊さと命の大切さをあらためて感じる

2017-08-23 13:34:27 | 議員だより
◎清水市政を考える5『非核平和都市宣言』

 8月15日午前11時50分、NHKで全国戦没者追悼式の中継放送が始まりました。ややあっていわき市役所には庁内放送が流れました。12時を期して、黙とうの実施を呼びかけています。
 時刻が来て、響いた「黙とう」の声。しばしの静寂が訪れました。
 黙とう後も式典中継は続きました。
「戦後、わが国は、一貫して、戦争を憎み、平和を重んずる国として、ただひたすらに、歩んでまいりました」。安倍首相は式辞でこう述べました。しかし、日本が引き起こした戦争に「反省」がのべられることはありませんでした。
 現政権のもとすすめられた、秘密保護法、安保法制(戦争法)と共謀罪の強行制定。戦争の準備とも言える法律の整備を着々と進めるのは、この反省の欠如が原因でしょう。
 一方、天皇(※)は「お言葉」で、過去の戦争への「深い反省」と、「今後戦争の惨禍が繰り返されないことを切に願い」と述べました。
 日本国憲法は、日本が犯した侵略戦争を反省し、前文で「恒久の平和を念願」し、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」するとし、九条に戦争放棄と武力の不保持及び交戦権の否認を明記しました。
 天皇の「お言葉」には、この日本国憲法の願いが息づいているように思えます。
 本市の施策にも、憲法と同じ平和への願いが息づいています。
 1986(昭和61)年、田畑金光市長(当時)のもと市民運動を受けて採択された「非核平和都市宣言」は、「核兵器の廃絶を強く訴え、世界の恒久平和を実現」することをめざすものでした。


(今年も市役所市民ロビーなど3ヶ所で原爆パネルが展示された。結構立ち寄りが多いという=8月8日)

 これを受け、本市では、非核平和都市宣言の周年事業としての被曝者講演会の開催や、毎年8月の市役所ロビー等への原爆パネルの展示、震災後には被爆地長崎への中学生派遣事業などが取り組まれてきました。
 また、2001(平成13)年に、四家啓助市長(同)のもと日本非核宣言自治体協議会に参加。2012(平成24)年には、渡辺敬夫市長(同)のもと平和市長会議に加盟しました。本市は、核兵器廃絶と恒久平和の実現に向けた都市間の連携も広げてきたのです。
 本市だからこそ、恒久平和の実現に逆行する事態に、積極的発言が求められます。
 市長は、憲法に対しては肯定的な評価を明確にしています。
 2015(平成27)年3月定例会では、「憲法のもとですべての国民が個人として尊重され、自由及び幸福を追求した結果として、日本は戦後の復興を成し遂げることができた」と評価し、過去の戦争は「戦争の悲惨さ、平和の尊さを教えてくれています。この教訓を後世に伝えていくことが私たちの責務」だというのです。
 「教訓を後世に伝える」のが「責務」ならば、攻撃されたら防衛するという個別的自衛権から、海外で他国と一緒に武力行使が可能な集団的自衛権行使に道を開こうとする動きに、過去の戦争の教訓の角度から評価を加え、意見を発信していくことが求められます。
 ところが、この4年間、明確な意見の発信はありませんでした。
 同年6月定例会で、安全保障法制(戦争法)について「違憲の問題も含めて、徹底審議するよう求めるべき」とただされました。清水市長は、「地方行政を預かる立場の市長として、論評は差し控える」と答えるだけでした。
 安保法制の廃止を国に求めよという質問にも、「国の安全保障に関することなので、論評は差し控える」としか答えないのです。


(核兵器廃絶を求める「ヒバクシャ国際署名」を呼びかける市民団体=8月8日)

 これでいいのでしょうか。
 8月6日に広島市で、8月9日に長崎市で、平和記念式典が開かれました。
 広島市長は平和宣言で、「核兵器禁止条約の締結促進をめざして核保有国と非核保有国との橋渡しに本気で取り組んで」と政府に求めました。
 同じく長崎市長は、「核兵器禁止条約への一日も早い参加を目指し、核の傘に依存する政策の見直し」を求めました。
 アメリカの核の傘に依存する政府の防衛政策の立場からみれば、『国の安全保障に関すること』に踏み込んで発言しているのです。
 どうでしょうか。本市の市長にも、恒久平和に寄せる非核平和都市宣言の立場から、国政に意見を発信していくことが求められるのではないでしょうか。

※天皇はその地位に対する尊称です。陛下も天皇等に対する尊称であるため天皇陛下という用法は尊称を二つ重ねることになります。したがってマスコミが一般的に呼称する「天皇陛下」は使わず、「天皇」と呼称しました


◎平和の尊さと命の大切さをあらためて感じる

 8月7日~9日に長崎市で原水爆禁止2017年世界大会が開催されました。「核兵器のない世界」に向けて国連で核兵器禁止条約が採択された記念すべき年に、福島県代表団の一員として参加いたしましたのでご報告します。                                                         【坂本康一】

■碑・遺構めぐり
①爆心地公園


(爆心地公園の原爆落下中心地碑)

 初日は午後の開会総会の前に碑めぐりを行いました。爆心地公園を出発し、原爆資料館までを被爆の実相に触れながら歩くコースでした。
 案内をしてくれたのは、長崎市でボランティアガイドをしている田中安次郎さん(75才)。田中さんは3歳の時に爆心地から3・4㎞の自宅近くで被爆しましたが、現役時代その体験を語ることはなかったといいます。定年退職後、原爆資料館で駐車場係のアルバイトをしていた時に中学生から「どうして日本は戦争をしたのですか」と質問されたことがきっかけとなり、戦争の愚かさを伝えようと被爆を語り継ぐ平和案内人の活動をしています。
 資料を示しながら淡々と、時には力強く話す田中さんの語り口に徐々に引き込まれていきました。爆心地公園には被爆当時の地層が保存・展示されており、そこでは原爆で熱く焼けた土や瓦がそのまま残っているのを見ることができます。
 それだけでなく、未だに原爆による犠牲者の遺骨が数多く眠っているとのことでした。たった1発で7万4千人の命を奪った原爆の恐ろしさと非人道性に思いがめぐります。

②原爆資料館
 そこで最初に目にしたのが「永遠の11時2分」と呼ばれる爆心地から800mの民家にあった柱時計でした。原爆投下の直前まで長崎の街にも普通の暮らしがあったことが実感できました。
 また原爆が投下された時、食糧の買い出しで家から離れていたという女学生が母の遺体のそばで立ちすくんでいる写真が展示されていました。焼け焦げた遺体がどうして自分の母親だと分かったのか。ガイドの田中さんは「娘さんがお母さんに贈ったべっ甲の髪止めが残っていたのです」と、その理由を説明するのでした。
 碑めぐりの最後に田中さんは「たったひとつの命だから今を大切に、人に優しく自分に優しく、他人の痛みが分かる人に」と話してくれました。自身のつらい経験や悔しい思いを私たちに感じさせず、相手の気持ちを思いやり平和の尊さと命の大切さを語る言葉に、まねのできない重みと説得力があり、忘れ難い経験になりました。

■核兵器禁止条約
 現地を自分の目で見て長崎の被爆の実相を知ったことで、国連会議で採択された核兵器禁止条約がどれだけの意義を持っているのか、本当のところがようやく分かってきました。こんな恐ろしい兵器を二度と使わせてはいけないし、そのためには核兵器を廃絶するしかないという被爆者の願い。そしてテロと核拡散が世界中に広がる中、核兵器を持つことが安全保障として有効なのかという抑止力への批判。この二つの世界的な流れの中から、まず核兵器を非合法化することで核保有国を包囲し廃絶を迫っていく。この点に条約の大きな意味があると感じました。
 一方、日本政府は「核保有国と非保有国の分断を広げる」と、核兵器禁止条約に反対を表明しました。その日本はすでに約48トン、核兵器に換算すると6~7千発分のプルトニウムを保有しており、しかも優秀なロケット技術を持った潜在的核保有国だと世界から見られています。北朝鮮の核開発を口実に、核武装を検討すべきと公言する政治家もいます。そのような狙いを許さないためにも、日本が条約を批准することには大切な意味があると思います。

■開会総会
 長崎市民会館で行われた開会総会は、核兵器禁止条約が国連で採択された記念すべき年でもあり、6千人の参加で会場には立ち見の参加者も大勢いるほどの盛り上がりでした。 世界大会議長団の安斎育郎さんが主催者報告で「私たちは核兵器禁止条約というパワフルな条約を手にしました。核保有国や日本などを参加させてパーフェクトにしていこうではありませんか。一人ひとりは微力でも無力ではない。『ヒバクシャ国際署名』を通じて核兵器のない平和な未来をつくっていきましょう」と力を込めてメッセージをのべました。このメッセージに応えていくことが、今後の大きな課題です。
 福島県代表団が総会後半に、東北6県の代表団と共に登壇し「ヒバクシャ国際署名」の国民的発展を目指してリレー発言をしましたが、この中でも決意を語ってきました。 
 長崎市長の田上富久さんも登壇し、「条約の採択の源流は被爆者のみなさんにあったと思います。核兵器のない世界を1日も早く実現するため一緒に頑張りましょう」とあいさつしました。会場は大きな拍手でこれに応えました。
 長崎で過ごした4日間に、長崎市が平和を目指す取り組みや展示が充実しているのを実感しました。一方本市では戦争体験者が年々減少する中、平和と戦争に関する資料の散逸が懸念されています。資料を収集保管し、日常的に展示する「平和資料センター」の設置など、いわき市が非核平和宣言都市として、今まで以上に積極的な役割を果たすよう求める市民の声があります。 日本共産党市議団は幅広い市民と共同し、実現に向け取り組んでいかなければならない。そんな思いを強くしました。

清水市政を考える4『値上げ』

2017-08-18 10:24:34 | 議員だより
 前号では、「市民ファースト」という角度から、多額の繰越金を出しながら国民健康保険税の引き下げをしない問題点を書きました。
 市民負担をどう軽減していくのかは、様々な負担増が市民に押し寄せている中、市政にとって重要な課題です。
 ところがこの4年間、この課題と逆行する事態もありました。様々な公共料金が値上げされてきたのです。
 奇妙な値上げもありました。2014年2月定例会に提案され、賛成多数で可決された学校給食費の値上げです。
 提案された給食費の値上げ額は、月額で小学校110円、中学校130円。消費税の8%への増税などで、食材費が不足することなどが理由でした。これにより総額で約3800万円が、保護者の懐から消えることになったのです。
 ただでさえ、義務教育期間の保護者の負担は大きい。加えての給食費の値上げが、子育て支援の足をひっぱることは明らかです。
 子育て、教育は清水市長の重点施策の一つでした。この立場から本連載で紹介済みの赤ちゃん絵本プレゼント事業や放課後児童クラブの拡充など子育て支援策が次々と打ち出されました。そして同じ2月定例会には、予算額が約1億4200万円の出産祝い金(事業名を「出産支援金」に修正し可決)も提案されました。
 子どもを産む時の安心感は増しても、教育負担の心配の種を増やした。これでは、安心して子ども持つことができません。これでは、子育て支援に一貫して取り組んだとは言えないのです。
 日本共産党は学校給食費の無償化を求めています。この立場からは、学校給食費の値上げは論外です。しかし、無償化に踏み出さない市の立場であったとしても、子育て支援を重点とする市政がとるべき対応は、学校給食費の値上げ分も一般財源で負担することでした。こうしてこそ、出産から学校卒業まで、一貫したきめ細やかな子育て支援につながったものと思います。
 さて、清水市政のもとのでの値上げは、学校給食費にとどまりませんでした。
 下水道使用料も7年ぶりに値上げされました。2014(平成26)年4月のことです。平均9・6%、標準的使用量で3168円の値上げでした。理由は「使用者負担の適正化を確保する」でした。
 しかし、水環境の保全という公益的観点からみれば、値上げ以外の対応も可能だったと考えています。
 同じく4月から、市の公共料金の消費税が8%になりました。安倍政権が増税を決めたことを受けた措置でした。
 震災から3年が過ぎ、市民の暮らしと営業の立て直しが、これから本格化しようとする中での引き上げは、市民のくらしの復興の重荷になったに違いありません。
 特に、市の使用料にかかる消費税は国への納税義務がなく、市の財源に組み入れられるため、事実上の便乗値上げとなっていました。
「租税法定主義」と言って、公共料金の消費税の8%への引き上げが正当化されます。しかし、市長の判断で、市民負担の増加をとどめることは可能な状況でした。
 2014年2月定例会には、後期高齢者医療保険料の値上げが提案されました。均等割額で1700円、所得割額で0・43%値上げする内容です。
 2015(平成27)年2月定例会には、65歳以上の加入者の介護保険料の値上げも提案されました。標準額(第5段階)で、年間1万3400円の値上げです。
 介護保険料は、当初、月額2514円(標準額)でスタートしました。しかし改定のたび値上げされ、6回目の改定となるこの提案で、5789円に達してしまっています。「負担は限界を超えている」。市民から悲鳴が聞こえてきます。
 どんどん増やされる市民負担。一方では、安倍自公政権による年金制度の改悪で年金額が目減りする。派遣労働者など、不安定雇用・低賃金の労働者も多くいます。この中、負担のあり方に年金受給者から怨嗟の声も聞きました。
 市民のくらしを支えようと思った時、市民の負担を増やし続ける市政で良いのかが問われています。

清水市政を考える3『市民ファースト』

2017-08-09 15:42:33 | 議員だより
 2011(平成23)年3月11日午後14時46分18秒。突然の巨大な揺れが襲った東日本大震災。地震動は6分以上続き、沿岸部に押し寄せた津波は市内で300名を超える命を奪いました。本市から約30㎞離れた東京電力第一原子力発電所では、この時異変が起こっていました。
 地震動の影響で送電線が倒壊し外部電源を喪失、押し寄せた津波はディーゼル発電機を水没させ非常用発電も失いました。
 核燃料の分裂によって発生する崩壊熱を除去できなくなった原子炉では、核燃料が溶解し原子炉内部に落下。発生した水素ガスが爆発し、原子炉と建屋を破壊しました。1号機の爆発は、12日の15時36分でした。3号機、2号機、4号機と続いた破壊を食い止めることはできませんでした。
 原発事故が発生し、直後から多くの市民が避難行動をとりました。この時期、路上の車が消えました。



 本市では、3月15日午前4時に放射線の最大値を記録しました。毎時23・72マイクロシーベルトです。
 この日の午前9時、災害対策本部は、市民に不必要な外出を控え、家屋内にとどまることを呼びかけました。その後、放射性ヨウ素の取り込みを予防する効果があるヨウ素剤を、市独自の判断で配布する措置が取られました。
 誰も経験したことがない事態に、独自に、創造的に対応することが求められる。そんな課題を突き付けたのが、震災と原発事故でした。
 これらの体験から本市は、「復興ビジョン」に「原子力に依存しない社会」をめざすことを明記しました。こうした市の判断は、今の市政に生かされているのでしょうか。
 今年2月定例会での「原発と人類は共存できないことを国内外に発信すべき」との問いに、市はこう答えました。
 「原発の廃止や再稼働などの原子力政策については、国がさまざまな見地から総合的に判断し、責任を持って取り組むべきものであり、本市としては、県外の原発廃炉などについて直接協議する権限もないことから、原発と人類との共存について、その是非を評価する立場にない」
 原発依存の国のエネルギー政策を追認しかねない答弁です。ここには「原子力に依存しない社会」をめざす被災地ならではの立場は見えません。 
 原発事故を体験し、市民は「もう原発はいらない」という思いを強めました。この市民の声にどう応えていくのかが問われています。


 国民健康保険への対応はどうでしょう。
 「国民健康保険事業では、平成26(2014)年度に国民健康保険税の資産割りを廃止したほか、平成27(2015)年度には所得割額の税率を引き下げるなど、被保険者の負担軽減を図ってきた」
 「平成29(2017)年度は、平成28年度からの繰越金により事業運営は可能と見込まれることから、据え置くこととした」
 本年度の国保税を据え置く理由を、清水市長は、このように説明しました。
 日本共産党市議団は、前年度からの繰越金が約27億円となっていることから、国保税を引き下げる余地は十分にあると指摘し、据え置きに反対しました。
 たまたまこの年度の繰越金が大きかったわけではありません。いわき市の国保税は、震災以降、多額の繰越金を出し続けているのです。
 市長の発言のように2014年度の資産割りの廃止や15年度の所得割の引き下げがありました。
 しかし、引き下げても繰越金が目に見えて減ることはありませんでした。この状況は、国保税の引き下げが十分可能な財政状況にあることを示しています。
 ところが市は、来年度から国保制度が都道府県単位の運営に変更されることにともない、想定される赤字に備えるとして、24億円を基金に回すことにし、国保税を引き下げることはありませんでした。
 2012年度の値上げ以降、繰越金が増大していることを考えれば、国保税の引き下げをはかる。低所得世帯が多い国保制度を考えれば、こうした判断こそ市長には求められていました。
 市民の願い、市民の暮らしの現実に立って、はやりの言葉で言えば《市民ファースト》で市政を運営する。これが、何よりも市政に求められているのではないでしょうか。

清水市政を考える2 『子育て・教育』

2017-08-02 13:14:02 | 議員だより
 

 「子育てしやすい教育先進都市の実現を目指してまいります」。
 当選して初の議会となった2013(平成25)年10月定例会。提案理由説明に立った清水市長はこう宣言しました。言葉に押されるように、子育て支援策が次々と打ち出されました。
 2014(平成26)年2月定例会には、出産祝金支給事業や赤ちゃん絵本プレゼント事業、学校司書と放課後児童クラブの拡充が提案されました。
 出産祝金は、市長が選挙公約にかかげたものでした。
 選挙時には、第1子は10万円、第4子以降は100万円などの祝金支給と公言していました。実際の提案は、第1子は出生児1人につき5万円、以下第2子は6万5000円、第3子以降は8万円を支給するというもので、保険で給付される出産費と実際にかかる出産費用の差額を補てんする内容でした。
 出産を支援するという事業の実態に合わせるべきという議会側からの修正で、「祝金」の名称は「支援金」に改まりましたが、本市初の制度が動き出すことになったのです。
 学校司書では、渡辺前市長が4名配置したモデル事業を拡大し、23名の学校司書が配置されました。それぞれが複数校を担当する基幹校方式で、8割程度の学校図書館に司書が配置されることになりました。いまでは42名の学校司書が配置され、全小中学校の図書館を支援しています。
 また、体験型経済教育施設「エリム(Elem)」が完成し、この年から運用されることになりました。利用時の交通費はそれぞれの学校負担でした。
 日本共産党市議団は、徒歩で利用できる生徒と、交通手段の確保が必要な生徒で、負担の格差が生じることを指摘し、施設利用時の交通費を市が負担するよう求めていました。
 同様の声が他の会派からもあがりました。これを受け、不十分ながらも交通費を一部助成する改善がなされました。2017(平成29)年度のことです。
 2015(平成27)年度には、妊娠、出産から幼児期の教育・保育、学校教育期の学童保育に至るまで、一貫した施策展開のために「こどもみらい部」が設置されました。
 また本年度には、保育料の引き下げが実施され、生活が厳しい世帯の中学生に対する学習支援や、出産・子育ての総合支援事業「いわきネウボラ」も始まりました。
 2012(平成24)年度の厚生労働省の調査で6人に1人だった子どもの貧困率は、15(同27)年度には7人に1人に改善されました。とはいってもいまだに貧困状態にある子どもたちがこれだけいるわけです。その中で、将来、子どもたちが貧困に陥ることがないよう、生活面や学習面で支える施策が動き出したことは歓迎されます。
 しかし、まだまだ道半ば。子育て支援、学習支援をいっそう強化していくことは、これからも大きな課題です。
 日本共産党市議団は、その一貫として学校給食費の無償化等負担軽減を求めてきました。



 「義務教育は無償」と憲法に規定されています。しかし、実際には教材費や制服、給食費等を含めて小学校6年間でも、中学校3年間でも、約38万円のお金がかかっています(2013年度調べ)。
 そこで、日本共産党は、副教材などの費用への助成を求めました。しかし、市は、副教材費が「学校教育の円滑な実施に必要な経費」(今年の6月定例会一般質問答弁)との認識を持ちながら、「学校によって教材に差があり、一律には難しい。国が検討すべき」と、自ら助成する姿勢は示しませんでした。
 また、学校給食費の無償化には、「食材費のみご負担いただいて軽減をはかっている」と背を向けています。
 議会事務局を通じた調査で、中核市の大半が食材費だけの保護者負担となっていることが分かりました。本市がこの分野で、他の自治体に比べて特に優れた対応をしているわけではないのです。
 また、昨年の12月定例会では、「真に支援が必要な世帯への施策を他自治体の事例等を参考に調査研究する」としていました。調査研究の状況を尋ねると、「全面的に給食費を無償化している中核市はなく、本市独自での対応は困難」とするばかりです。
 昨年実施された市議会議員選挙では、「学校給食費の無料化」の訴えに、子育て世代の熱い期待が寄せられました。
 「子育てしやすい教育先進都市」。このスローガンに反対する人はいないでしょう。実現に本市の舵をどうきっていくのか。これからも問われ続けられることは間違いありません。