原子力規制委員会は、避難指示区域外の学校などに設置された放射線監視装置・リアルタイム線量測定システムを2020年度末までに撤去することを決めました。
これについて10月12日、13日、14日に市内で原子力規制庁の説明会が開かれ、このうち文化センターでの住民説明会に出席し、市民からの発言もありましたのでお知らせします。
渡辺博之
開催された住民説明会=10月14日、文化センター
撤去の目的は予算削減
原子力規制委員会は3月20日、「線量は十分に低い値で安定しており、原発監視を目的としないリアルタイム線量測定システムによる測定の必要性は低い」という理由で、避難指示区域の12市町村以外の放射線監視装置を2020年度末までに撤去することを決定しました。
いわき市内で撤去するとされているのは、学校や公園など子どもが活動する施設に設置されている419台で、市役所庁舎などの公共施設に設置されている装置55台は存続させるとしています。
説明会で原子力規制庁は、線量が低くなっておりモニタリングポストを維持する予算も考えなければならないと述べ、その目的が予算削減であることを明らかにしました。
続く市民の不安
規制庁の説明の後、参加した市民から「空間線量は事故前のレベルに戻っていない」「モニタリングポストを残すだけでなく、土壌検査や子どもの線量測定を定期的に行ってほしい」などの意見や、「規制庁は原発事故の原因を調べるという使命を果たしていない」などの批判も出されました。
規制庁は、原発事故は継続中で今後周辺自治体が再汚染される可能性も残っていること、住民には不安があることを認めざるを得ませんでした。
なお、いわき市が昨年2月に行った「いわき産農産物風評被害に関するアンケート調査」によると、放射性物質について「震災後からずっと気にしている」と回答した市民の割合は17・5%、「自分は気にしていないが子どもに対しては気になる」と回答した割合は19・0%で、合計36・5%の市民が気にしているという結果でした。また、いわき市産の食品の購入については、「購入しない」と回答した市民は6・5%、「同じ値段であれば他産地のものを購入する」の回答は19・5%で、合計25%の市民がいわき市産の食品を避けているという結果でした。
空間線量が下がり、食品検査が徹底されても、多くの市民が不安を抱えているのは明らかです。
市民は存続を求めている
原子力規制委員会は今年3月20日に「空間線量率が低いレベルで安定している地点では、リアルタイム線量システムによる測定を終了します」と発表していますが、説明会で規制庁は会場からの質問に対し、「撤去するか否かも検討します。規制委員会委員長は撤去を強行しないと言っています」と述べ存続することもありうることを示しました。また、来年3月までに方針を出す考えであることも示しました。
いわき市議会は「リアルタイム線量測定システムの継続配置を求める請願書」及び意見書を全議員の賛成で可決し、市長も存続を求めています。
市民の放射性物質への不安はまだ根強く残っていること、今後、除染土壌の搬出や原発事故収束作業でのトラブルで放射性物質が飛散する可能性がゼロでないことなどを考えた場合、放射線監視装置の撤去は時期尚早と言わざるを得ません。
※おわびと訂正
10月7日付本紙(No.2204)の記事中「本来家賃」を「近傍同種家賃」に、おわびして訂正します。
これについて10月12日、13日、14日に市内で原子力規制庁の説明会が開かれ、このうち文化センターでの住民説明会に出席し、市民からの発言もありましたのでお知らせします。
渡辺博之
開催された住民説明会=10月14日、文化センター
撤去の目的は予算削減
原子力規制委員会は3月20日、「線量は十分に低い値で安定しており、原発監視を目的としないリアルタイム線量測定システムによる測定の必要性は低い」という理由で、避難指示区域の12市町村以外の放射線監視装置を2020年度末までに撤去することを決定しました。
いわき市内で撤去するとされているのは、学校や公園など子どもが活動する施設に設置されている419台で、市役所庁舎などの公共施設に設置されている装置55台は存続させるとしています。
説明会で原子力規制庁は、線量が低くなっておりモニタリングポストを維持する予算も考えなければならないと述べ、その目的が予算削減であることを明らかにしました。
続く市民の不安
規制庁の説明の後、参加した市民から「空間線量は事故前のレベルに戻っていない」「モニタリングポストを残すだけでなく、土壌検査や子どもの線量測定を定期的に行ってほしい」などの意見や、「規制庁は原発事故の原因を調べるという使命を果たしていない」などの批判も出されました。
規制庁は、原発事故は継続中で今後周辺自治体が再汚染される可能性も残っていること、住民には不安があることを認めざるを得ませんでした。
なお、いわき市が昨年2月に行った「いわき産農産物風評被害に関するアンケート調査」によると、放射性物質について「震災後からずっと気にしている」と回答した市民の割合は17・5%、「自分は気にしていないが子どもに対しては気になる」と回答した割合は19・0%で、合計36・5%の市民が気にしているという結果でした。また、いわき市産の食品の購入については、「購入しない」と回答した市民は6・5%、「同じ値段であれば他産地のものを購入する」の回答は19・5%で、合計25%の市民がいわき市産の食品を避けているという結果でした。
空間線量が下がり、食品検査が徹底されても、多くの市民が不安を抱えているのは明らかです。
市民は存続を求めている
原子力規制委員会は今年3月20日に「空間線量率が低いレベルで安定している地点では、リアルタイム線量システムによる測定を終了します」と発表していますが、説明会で規制庁は会場からの質問に対し、「撤去するか否かも検討します。規制委員会委員長は撤去を強行しないと言っています」と述べ存続することもありうることを示しました。また、来年3月までに方針を出す考えであることも示しました。
いわき市議会は「リアルタイム線量測定システムの継続配置を求める請願書」及び意見書を全議員の賛成で可決し、市長も存続を求めています。
市民の放射性物質への不安はまだ根強く残っていること、今後、除染土壌の搬出や原発事故収束作業でのトラブルで放射性物質が飛散する可能性がゼロでないことなどを考えた場合、放射線監視装置の撤去は時期尚早と言わざるを得ません。
※おわびと訂正
10月7日付本紙(No.2204)の記事中「本来家賃」を「近傍同種家賃」に、おわびして訂正します。