日本共産党いわき市議団

日本共産党いわき市議団に所属する伊藤浩之・溝口民子・渡辺博之・坂本康一各議員の日々の活動や市政情報などをお知らせします。

モニタリングポスト撤去めぐり住民説明会ー規制庁の説明に批判の声

2018-10-18 11:49:37 | 議員だより
 原子力規制委員会は、避難指示区域外の学校などに設置された放射線監視装置・リアルタイム線量測定システムを2020年度末までに撤去することを決めました。
 これについて10月12日、13日、14日に市内で原子力規制庁の説明会が開かれ、このうち文化センターでの住民説明会に出席し、市民からの発言もありましたのでお知らせします。
              渡辺博之

開催された住民説明会=10月14日、文化センター

撤去の目的は予算削減

 原子力規制委員会は3月20日、「線量は十分に低い値で安定しており、原発監視を目的としないリアルタイム線量測定システムによる測定の必要性は低い」という理由で、避難指示区域の12市町村以外の放射線監視装置を2020年度末までに撤去することを決定しました。
 いわき市内で撤去するとされているのは、学校や公園など子どもが活動する施設に設置されている419台で、市役所庁舎などの公共施設に設置されている装置55台は存続させるとしています。
 説明会で原子力規制庁は、線量が低くなっておりモニタリングポストを維持する予算も考えなければならないと述べ、その目的が予算削減であることを明らかにしました。

続く市民の不安
 
 規制庁の説明の後、参加した市民から「空間線量は事故前のレベルに戻っていない」「モニタリングポストを残すだけでなく、土壌検査や子どもの線量測定を定期的に行ってほしい」などの意見や、「規制庁は原発事故の原因を調べるという使命を果たしていない」などの批判も出されました。
 規制庁は、原発事故は継続中で今後周辺自治体が再汚染される可能性も残っていること、住民には不安があることを認めざるを得ませんでした。
 なお、いわき市が昨年2月に行った「いわき産農産物風評被害に関するアンケート調査」によると、放射性物質について「震災後からずっと気にしている」と回答した市民の割合は17・5%、「自分は気にしていないが子どもに対しては気になる」と回答した割合は19・0%で、合計36・5%の市民が気にしているという結果でした。また、いわき市産の食品の購入については、「購入しない」と回答した市民は6・5%、「同じ値段であれば他産地のものを購入する」の回答は19・5%で、合計25%の市民がいわき市産の食品を避けているという結果でした。
 空間線量が下がり、食品検査が徹底されても、多くの市民が不安を抱えているのは明らかです。

市民は存続を求めている
 
 原子力規制委員会は今年3月20日に「空間線量率が低いレベルで安定している地点では、リアルタイム線量システムによる測定を終了します」と発表していますが、説明会で規制庁は会場からの質問に対し、「撤去するか否かも検討します。規制委員会委員長は撤去を強行しないと言っています」と述べ存続することもありうることを示しました。また、来年3月までに方針を出す考えであることも示しました。
 いわき市議会は「リアルタイム線量測定システムの継続配置を求める請願書」及び意見書を全議員の賛成で可決し、市長も存続を求めています。
 市民の放射性物質への不安はまだ根強く残っていること、今後、除染土壌の搬出や原発事故収束作業でのトラブルで放射性物質が飛散する可能性がゼロでないことなどを考えた場合、放射線監視装置の撤去は時期尚早と言わざるを得ません。

※おわびと訂正
 10月7日付本紙(No.2204)の記事中「本来家賃」を「近傍同種家賃」に、おわびして訂正します。

高齢者が生きがいを持って暮らすいわきへー本市も国へ働きかけを

2018-10-10 13:16:32 | 議員だより
 9月17日の敬老の日が過ぎ、10月2日を皮切りに、市内13地区で敬老会が続いています。「安心して暮らすことができる高齢者福祉」の推進が市長あいさつで語られますが、そのためには何が必要か考えてみたいと思います。       【伊藤浩之】


表彰を受ける金婚のご夫婦


遠野保育所の園児のお遊戯

▽経験を活かし地域に貢献誓う金婚代表

 10月2日、上遠野公民館体育館で遠野地区敬老会が開かれました。
 会場には、金婚の表彰を受ける5組のご夫婦のうち3組が出席したのをはじめ、招待者(70才以上)が式典を見守り、表彰を受ける金婚のご夫婦を祝いました。
 また、式典後のアトラクションでは、遠野保育所の園児が遊戯の「獅子の舞」を披露したのをはじめ、上遠野婦人会と入遠野婦人会が、日頃練習を積み重ねた歌や踊り、寸劇を披露。出席者の大きな拍手をもらっていました。
 代読された式典のあいさつで市長は、戦後の日本の平和と繁栄の礎となってきた高齢者の長寿への祝意を伝え、高齢者が意欲をもって生活できる地域づくりをすすめることに力を注ぐことを誓いました。
 表彰された金婚者の代表は、「社会の一員としての役割を見つめなおし、経験を活かし地域に貢献したい」と謝辞をのべました。

▽社会保障の相次ぐ後退

 本市の65歳以上の市民は9月1日時点で9万6千人を超え、100歳以上の市民は162人になります。
 こうしたお年寄りたちが、意欲をもって生活していくことができるようにするためにも、市長のあいさつにあった「高齢者福祉」の増進は欠かせない課題です。
 ところが、国の取り組みは、これに反しています。
 この間で見ても、介護保険制度で、要支援1、2が介護給付から外され、要介護1、2は施設に入所できなくなるなど、介護サービスが削られています
 代わりに総合事業の提供で自立した生活の継続が図られます。しかし、介護保険がそもそも自立を目指すものであることを考えると、国の施策の後退を実感しない訳にはいきません。
 また、年金額もマクロ経済スライドの導入によって、賃金や物価の実際の上昇率よりも抑えられた支給額となり、年金者から「年金が減って大変」という声が聞かれます。
 また、安倍晋三首相は、原則65歳から受給する老齢年金の開始年齢を遅らせることを選択できる制度改革を「3年で断行する」と言っています。
 これで、高齢者に意欲をもって暮らしてくださいと言えるのでしょうか。
 「全世代型社会保障改革」も言いだしました。
「全ての世代が安心できる」改革といいがら、議論を先行させようとしているのが、高齢者の雇用拡大です。
 65歳以上を過ぎても働くことで社会保障の支え手を増やすことが狙いで、これを社会保障の改革と一体に進めようとしています。狙いは社会保障の削減です。
 「社会保障に頼るな」と、高齢者の生活に自己責任を強いるだけになり、「高齢者が意欲をもって生活できる地域」に反することは明らかです。
 また、来年10月には消費税を10%に引き上げることも予定しています。社会保障の削減と相まって、高齢者など国民の暮らしの打撃となることは間違いありません。

▽社会保障の削減やめよの市民の声を国に

 「高齢者が意欲をもって生活」できるいわき市になる。そのために、まず、暮らしをしっかり支えることが必要です。社会保障の削減やめよ、消費税を増税するなという市民の声を、国にしっかり届けることが課題となります。
 本市が市民の声を届ける役割を担う。そのことに大いに期待したい。敬老会に出席してそう考えました。

津波被災地の復興はこれからー災害公営住宅家賃軽減継続を

2018-10-04 14:43:50 | 議員だより
 東日本大震災の津波被害から7年半年が過ぎ、被災地で実施されていた震災復興区画整理事業が終わりました。8月以降、記念碑の除幕式など記念行事が相次いで実施されました。9月8日には、芸術文化交流館「アリオス」大ホールで合同竣工式が行われ、事業に尽力した地元団体の代表に感謝状が贈呈されました。

 会場には関係者が多数詰めかけました。清水市長の式辞に続く来賓祝辞、事業の経過報告の後、感謝状が贈呈されました(写真1)。



 また、記念アトラクションでは、記念映像の上映や小名浜第一中学校、泉中学校、植田中学校の合同で文部省唱歌「故郷」など3曲が披露されました。
 このうち、本市出身のシンガーソングライター富沢タク氏も参加し、合唱では「予定~いわき(沿岸6地区)に帰ったら~」が歌い上げられました(写真2)。



「いわきに帰ったらバー・クイ―ンに行く」「いわきに帰ったらら・ら・ミュウをのぞく」「いわきに帰ったら甥と姪に会いたい」などの希望を語り、「変わってないね。そう言われて。うれしいような、悲しいような」「変わっちゃったね。そう言われて。寂しいよ、寂しいよ」と、故郷への思いをつづってた歌。
 震災、・原発事故前と変わらぬ故郷によせる郷愁が、出席者の心を打ちました。
 また、小名浜第二中学校、久之浜中学校、植田東中学校の生徒がスピーチしました。
 それぞれが、「死ぬかもしれない」と思った震災の被害から立ち直り、まちが明るさを取り戻してきた喜びを語りながら、「私たちが復興を担う番」「震災の経験を伝えていくことが僕たちの大切な役割」と、よみがえった被災地の未来を拓く意思を語り感動を呼んでいました。
 1人の中学生は、「まちで祭りを開けるまでになり、笑顔が戻った。しかし、活気は失われてしまった気がする。もっと明るく、楽しい町にみんなでしていかなければ」と話しました。
 なるほど、復興区画整理事業の竣工で、ハード面での復興は完了したものの、地域に人が戻ってコミュニケーションが復活するまでには、これからも一定の期間がかかります。
 地域の復興のためにも、被災者の暮らしの復興を、本市が引き続き支えていくことが必要です。
 その一つの課題が、災害公営住宅の家賃の問題です。
 本市は災害公営住宅の家賃の軽減措置をとってきましたが、その実施期間が終了すること、また、そもそもの国の制度の問題から、収入が入居基準額を超える場合、建設費等から算出される高額な「本来家賃」が賦課される問題がありました。
 このため市は、収入超過世帯の家賃の上昇を緩和する措置を取りました。しかし、最終的に高額な家賃となることに変わりはなく、2月定例議会には、市独自の家賃減免制度の「さらなる充実」を求める請願が、災害公営住宅入居者などから提出され、2月、6月、9月定例会で継続審議となっています。
 日本共産党市議団は採択を求めてきましたが、継続審議を求めた議員はその理由を、「市は県の動向を見ながら減免制度の内容を検討しており、県が秋ごろ公表を目途に制度の創設を検討中である」としています。
 そもそも、市民の意思を市当局に届けることが請願を審議する議会の役割です。市当局や執行部の動向を見守るという姿勢には疑問が残りますが、一方、その県の動向も明らかになってきました。
 10月1日の報道によると、「県は収入超過世帯の(中略)軽減措置を決める方針で、割増幅を圧縮することが軸になるとみられる」(河北新報)とされています。



 本市も、早急に家賃軽減の方針を明確にして被災者が安心して暮らしの復興、ひいては被災地の復興に向き合うことができる状況を作り上げていくことが求められます。
 日本共産党市議団は、収入超過者の家賃の軽減を提案してきましたが、引き続きその実現を市当局に求めていきたいと思います。