日本共産党いわき市議団

日本共産党いわき市議団に所属する伊藤浩之・溝口民子・渡辺博之・坂本康一各議員の日々の活動や市政情報などをお知らせします。

初めての原子力災害図上訓練―防災訓練の成果が生かされた防災計画の策定を

2013-09-04 19:01:27 | 議員だより
9月1日。震災から3回目の「防災の日」を迎えました。いわき市は8月31日、平成25年度市総合防災訓練を実施し、市内全域で避難訓練をはじめとした防災訓練を展開しました。今年の防災訓練は「実践的訓練による災害対応力の強化」がテーマでした。これまで行われてきた市内の1カ所で行う防災訓練を改め、市内各所で実践的な訓練を行いました。
 市内沿岸部5地区の津波避難訓練、内陸部8地区では自主防災会などが参加した地区防災訓練が行われ、久之浜地区では、市内で初めての原子力災害図上訓練が行われました。
 久之浜中学校で行われた訓練は、停止状態の東京電力福島第二原子力発電所にトラブルが発生、久之浜・大久地区に屋内退避準備指示が出されたという想定でした。訓練進行役は㈱社会安全研究所代表取締役の首藤由紀所長がつとめました。
 首藤所長は冒頭、「東日本大震災の教訓を生かし、災害時の対応、特に災害時要援護者の避難対応をより具体的に考え、どのような課題があるか、その解決のため地域はどう備えるべきか、市民の目線で検討して欲しい。これをきっかけに今後の地域における対応の検討・具体化を促進して欲しい」とあいさつし、テーマごとに図上訓練をすすめました。訓練には自主防災組織、民生・児童委員、消防団、社会福祉関係の住民、市職員が参加。地区を単位にして8班に分かれ、「屋内退避準備指示が出た際の地域活動」と「地域における課題と今後の取り組み」をテーマに話し合いました。時間は65分です。
 「屋内退避準備指示が出た際の地域の活動」で出された意見は、消防団の行う広報ルートの改善の指摘や、避難所に行くまでの間に一時集合場所を設けた方が良いという意見、また災害時要援護者の確認などでした。ある班では、広報ルートについて「そのルートで行ったら誰々の家には声がかからない」、「一時集合場所はちょっと遠いので2ヶ所ぐらいあったほうがいい」など、実践的に話し合われていました。地区の要援護者の把握については、要援護者の人数を言い当てたのは10数人のうち2人だけで、住民に把握されていないことが明らかになりました。他の班では、「高齢者施設に勤務しているが、災害時移動すべきかどうか判断に苦しんだ」「高齢者の方に『避難してください』と言っても『大丈夫だ』の一点張りで、避難してくれずに困った」と体験が話されました。また、「情報が入らなかったので避難の理由がわからないままバスに乗った」などの声もありました。
 これらの声を紙に記入し、課題や取り組みごとに模造紙に貼りつけ、最も重要な課題と取り組みを選択して花丸で囲みます。その模造紙を1班から8班まで展示しました。花丸が付いたのは、要援護者を見守る仕事、隣組の役割、隣組や町内会の再編成、誰が誰をサポートするのかあらかじめ決めておく、個人情報秘匿にとらわれずお互いを知り合うコミュニケーションが日常的に必要ではないか、などの声でした。
 最後に首藤所長は、「情報連絡網の作成、危機管理意識の醸成、また一時集合場所の確保など、災害の対応を充実していくことが必要です。しかしこれは、公助・自助という考えだけでは進みません。これに加えて共助の考えが必要です。そのためにも日頃の隣近所のつきあいが防災対策には大事です」と訓練を締めくくりました。
 久之浜の訓練の様子を視察すると、こうした訓練を通して課題・問題点、そして対応策を地域住民が共有することの大切さが浮き彫りになりました。また、こうした地域の声を防災計画に活かしていくことも大切な視点として浮かび上がりました。
 現在、市が策定作業中の地域防災計画に加え、地区ごとに地区防災計画を策定することができるようになりました。市民の命と財産を守るためには、住民参加のもとでこうした計画をつくり、共有化することが大切な視点になる。今回の防災訓練はそのことを私たちに教えています。