松岡徹の「一生懸命」

日本共産党・熊本県議「松岡徹」の日々の体験・活動、「県政だより」などを発信します。

9月定例議会が終わりました。

2011-10-11 17:48:47 | 日記

 熊本県議会9月定例議会が7日閉会しました。今回は一般質問ができず(私は毎回したいのですが、一期6回と制約されています)、いろいろ工夫し本会議発言をやりました。一般質問後の質疑・10分間で「水俣病問題」をとりあげました。「大震災の復興対策と財源についての意見書」提出の説明をやりました。最終日には、消費税増税、路木ダム請願不採択に対する反対討論・10分間をやりました。それぞれについては下記に掲載しています。興味と時間のある方はお読みください(よろしく)。

 建設常任委員会では、住宅リフォーム、道路・橋の維持・修繕対策、熊本港、路木ダムなどについてとりあげました。道州制等調査特別委員会では、ハローワーク、九州地方整備局など国の出先機関の廃止、地方移管の問題点など、震災・防災特別委員会では、防災計画見直し検討委員会の審議と特別委員会のあり方、放射能汚染対策などについてとりあげました。

 

<水俣病問題での質疑>

 知事は議案説明、「最近の県政の動向」のなかでで水俣病問題について、「水俣病被害者の救済および水俣病問題の解決に関する特別措置法」にもとづく救済制度の周知徹底をはかるとともに、申請者の診断や判定の円滑な実施に精一杯努めてまいります」と述べられました。

 水俣病問題は、ノーモア水俣訴訟にける和解による約3000人の救済、さらに特措法にもとづく申請者は熊本県、鹿児島県合わせると約5万人近くに及んでいます。2004年の最高裁判決後、様々な困難を乗り越え、被害者救済の道が切り開かれ、多くの水俣病被害者が救済されることになりました。

 同時に、これで水俣病問題は終わるのか、全面解決になるのでしょうか。

 特措法にもとづく申請者は引き続き継続しており、8月も熊本、鹿児島両県で80名近くに及んでいます。和解合意後も検診を求める人は後を絶つどころか増え続けています。

 水俣病特措法は、前文で「関西訴訟最高裁判所判決を機に、新たに水俣病問題をめぐって多くの方々が救済を求めており、その解決には、長期間を要することが見込まれている。こうした事態をこのまま看過することはできず、公害健康被害の補償等に関する法律に基づく判断条件を満たさないものの救済をはかることとする」とし、第三条では、「救済を受けるべき人々があたう限りすべて救済されること及び関係事業者が救済に係る費用の負担について責任を果たすとともに地域経済に貢献することを確保することを旨として行われなければならない」と謳っています。

 知事は、こうした点もふまえて、水俣病問題の現状と見通しについてどのように認識され、役割を果たそうとしておられるでしょうか。

  特措法7条2項は、救済開始後3年を救済対象者確定の目途としていますが、状況からするならば、また公式確認から半世紀以上たっても潜在患者が多数の残されている事態からして、3年というのは実際上は不可能ではないかと思います。救済期限については柔軟に対処するよう国に働きかけるべき場面も生じてくるかと思いますがいかがでしょうか。

  特措法12条3項3号では、チッソ・事業会社の株式の譲渡に対する環境大臣の承認の条件として「株式の譲渡の後に債権者の一般の利益が害されることがないこと」としています。チッソの水俣病関連債務総額確定前の株式譲渡はこれにそわないもので、認められないものだと考えますがいかがでしょうか。

 

<「大震災の復興対策および財源についての意見書」についての提案理由の説明>  

  大震災から半年が過ぎましたが、政府の対応は相変わらず遅く不十分です。政府が急いでやるべきは、まず被災者の生活と生業(なりわい)の再建です。

 岩手、宮城、福島の沿岸部の市町村の中で、とくに被害の大きい地域に本社がある5004社のうち、2498社が営業不能状態という調査結果が出ています。多くの漁業者、農業者も事業再開にはほど遠い状況です。このままでは地域から人がいなくなり、地域社会を復興する土台そのものが崩壊してしまいます。復興のためには、事業再開のための従来の枠をこえた個々の事業者への直接支援が緊急に必要です。国の方針として、事業再開の意思がある被災事業者はすべて支援の対象にする、そのために必要な資金は国が責任をもって手当てすることを明確に示すべきです。

 つぎに被災した医療機関の再建対策です。

 被災3県で、104の病院・診療所が全壊、936の病院・診療所が一部損壊という大被害を受け、震災から半年たっても、復旧は大幅に遅れ、入院機能の喪失、勤務医の転出、診療所の廃業が大問題になっています。公立病院への支援の拡充をはかるとともに、民間病院・診療所への支援制度を新たに創設し、すべての医療機関の復旧に国が責任を負うという姿勢を明確にすべきです。「選択と集中」の名で、病院の統廃合をすすめ、医療提供体制を縮小する従来の政策は抜本的に転換すべきです。

 国は、大企業が自由勝手に沿岸漁業に参入できる「水産特区構想」を押し付けようとしています。

これに対して、漁業協同組合等から強い批判の声があがっています。 全国漁業協同組合連合会(全漁連)は7月6日、「水産特区構想」に異議を唱える緊急全国集会を東京都内で開き、熊本県漁連代表も含めて参加者全員の拍手で「水産特区構想によって浜の秩序を崩壊させないために~漁業者が一体となった復興を図るための決議」を採択しています。決議は、「国は、地域の実態と意向を十分に把握し、漁業者の絆を分断させることなく一体になって」「復興にとりくめるよう、関係者間の調整・仲介に最大限の努力をおこなう」ことを求めています。集会で、全漁連の服部会長は、「地域の意向を踏まえない強引な企業の参入は反対だ」と訴え、復興会議の提言が「法人が漁協と同じく漁業権を取得できる仕組み」をつくれることによって、「漁協が一元的に調整・管理している漁場で、二つの管理主体ができることになり、漁の操業の紛争は必至で、浜に混乱を招く」と批判しています。集会には、主、自民、公明、共産、社民の各党代表が参加しあいさつしています。

目先の利益第一の企業に漁協と同格の漁業権を与えたら、漁業資源の適切な管理が損なわれ、浜の荒廃を招きます。浜の復興の主人公は漁業者であり、漁協が一体になって反対している方針の押し付けはやめるべきです。いま、国がやるべきは、生産・加工・流通一体で水産業のインフラを復旧するための支援の抜本的強化です。

 日本経団連は「大震災を乗り越えるためにもTPP参加を急げ」と号令をかけています。しかし、TPP参加による関税撤廃は、日本の米の90%を破壊するなど農業に壊滅的な打撃を与えるだけではなく、ワカメ、コンブ、サケ・マスなど水産業にも壊滅的な被害が及びます。JA全中専務理事、全漁連代表理事専務、全森連専務をはじめ各界を代表する人たちの共同アピールは、「TPPへの参加には賛成できません」「被災地の多くは、農林漁業の復興なくして地域経済やくらしの復興はなく、TPPはその障害になります」と訴えています。被災地の地域経済を支える第1次産業を土台から破壊するTPP参加はきっぱり中止すべきです。

 政府がまとめた「復興増税」は、庶民には10年間で9兆円の増税を迫る一方で、大企業には同じ10年間に、少なく見積もっても10兆円、07年水準に業績が回復すれば18兆円もの減税となるものです。庶民への増税分は大企業への減税分にすっかりのみ込まれてしまう計算で、復興の財源対策とはいえないものです。

復興財源対策ではまず、大企業への減税と大資産家向けの証券優遇税制の延長を中止すべきです。それだけで少なくとも年間1・7兆円、10年間で17兆円の財源を生み出せます。「復興増税」の名による庶民増税の必要ありません。

 さらに原発建設・推進予算の削除、不要不急の公共事業の見直し、米軍への「思いやり予算」、グアム基地予算の削除、政党助成金の中止などの歳出見直しを行いうべきです。  

また257兆円という大企業の内部留保を復興に活かすために、通常の国債とは別建てで、市場に出さない「震災復興国債」を発行し、大企業に引き受けを求めることを政府として行うべきです。

こうした措置を行えば「復興増税」も消費税増税も必要ありません。

「東日本大震災の復興および財源についての意見書」について賛同いただくようお願いいたしまして、提案の説明を終わります。

 

 

<消費税増税反対、路木ダムの再検証を求める請願不採択に対する反対討論>

 

 請願7号は、消費税増税が、大震災復興、国民の生活、中小企業の経営、日本経済にいずれも深刻な打撃を与え、財政立て直しにも逆行するものであり、「消費税増税に反対する意見書」提出を求めるものであり、不採択には反対するものです。

1号議案・一般関係補正予算については、大震災復興や災害関係費用についてはもとより賛成でありますが、路木ダム関連予算が含まれております。請願8号、9号は、路木ダムについて、再検証を求めるものであります。以下1号議案について、および請願8号・9号不採択について反対する趣旨を述べます。

蒲島知事は、2009年9月11日、川辺川ダムについて中止表明をされました。その中で、国交省のそれまでの態度について「住民が提示した河床掘削による流下能力の向上や遊水地設置などの代替案については、人吉層の掘削は問題がある、貯水のために農地を利用することは社会的に困難、と言うにとどまるなど、『ダムによらない治水』のための検討を極限まで行っていないと思っています。そのために、住民の理解も得られてこなかった」と述べています。川辺川ダムについては、住民討論集会、収用委員会、利水訴訟、利水対策事前協議、「川づくり報告会」、有識者会議等々、多様で詳細な、開かれた論議と検証がなされました。そして、いま国交省が、球磨川水系の「ダムによらない治水を検討する場」において、かつて全面的に否定してきた河床掘削や遊水地を主要な内容とする「ダムによらない治水対策」を提案しているのは当時を知るものとして画期的であります。

一方路木ダムについては、県の公共事業再評価監視委員会で「継続」になりました。その後様々な疑問が投げかけられたということで「いったん立ち止まって」県として検証したが、「路木ダム建設は進めるべき」となったーということであります。川辺川ダム問題の経験、教訓をふまえない、かたくなな県の対応は、かつて知事自らが批判した国交省の態度に共通するものと言わなければなりません。

  県公共事業再評価監視委員会は、県営ダムについて、天草郡大矢野の七ッ割ダム、宇土市の赤木ダム、美里町の釈迦院ダム、天草郡天草の高浜ダム、姫戸の姫戸ダムについても審議をおこないました。いずれも治水、利水、正常な流水を目的にしたダム計画ですが、5つとも中止となっています。

 路木ダムだけが何故「継続」なのか。路木ダムについての再評価監視委員会の議事録はその審議が「ダム継続」を前提にした、きわめて不明朗かつ不当なな内容であったことを示しています。

 審議のまとめの段階で委員長は、「ダムそのものの、これは変な話ですが、是非論をここで議論するには、我々は学識が足りませんので、そのダム論等についての是非論というのは、もし問題があればそういったところでやっていただくというのが本筋であると考えております」と述べています。肝心要の、他の5つの県営ダムでは「中止」としたダムの是非についてはやらないで、外でやってくれということです。にもかかわらず、委員長は、「いろんな議論もやっていただいたということで、ここら辺で一応この委員会としての方向性を定めさせていただきたい」ということで「ダム継続」を確認しています。

 いろんな議論とはどういうものだったのか。以下のように議事録に正直に綴られています。

 路木川の過去の被害状況の写真については、「路木川と違うのではないかというご指摘がございまして、―    調査の結果、昭和57年の写真は路木川から約北に5㎞ほど離れております、旧河浦町を流れる白木河内川ではないかと思っているところでございます」「それから下の写真につきましては、―  平成10年の写真と伝え聞いて使用しておりましたけれど、資料確認を行いましたところ、路木川に該当する箇所というのは確認できたわけでございますが、撮影日時が特定できませんでした」

「266号線が9時間にわたって浸水した」ということについての委員の質問に対する河川課の答弁は「浸水した箇所につきましては、どこかというのがはっきりわからないということでございます。先ほどお話しいたしましたように、旧河浦町等からの要望の中で、そういうことで書いてあるということでございまして、それ以上のことは私どもでは、はっきりわかりません」というものです。

国交省の河川砂防技術基準・洪水防御施設計画に関する基本的な事項では、計画の規模の決定にあたって考慮すべき点として「既往洪水による被害の実態」をあげています。路木ダム計画は一番大事な「洪水被害の実態」が不正確、あいまいで根拠にとぼしい計画であります。

 

蒲島知事は、2009年9月11日の表明で、「有識者会議の議論で画期的だったのは、数値の正しさを争う基本高水の議論から脱却したことだ」と指摘し、「ダムによらない治水」の極限までの追求を提起しました。「ダムによらない治水を検討する場」で国交省は、「川辺川ダムによらない治水対策案を提案し、その効果や実現性の検証を繰り返し、現実的な治水対策での共通認識をはかるという立場をとっています。こうした立場、手法も含めて、路木川の治水について、賛否双方参加の再検証をすべきであります。

 

利水の課題は天草の住民にとっては大きな関心事であり、とりわけ丁寧な検証が必要です。中止になった天草の3つの県営ダムはそれぞれ利水を目的に含んでいましたが、3つのダムと路木ダムの共通点、相違点はどこにあるのかについても検証が必要です。水需要の見通し、財政と住民負担、1町田簡易水道の浄水場整備と給水域の拡大、八久保ダム貯水の活用、水道管改修等による有収率の改善、小規模水源の開発と活用などについての全面的な再検証を行うべきです。

 

環境問題であります。流域全体に占める割合は5%だから大丈夫とする安易な結論の出し方は厳しくたださるべきです。水俣病問題の深刻な教訓に背をむけるものです。諫早干拓問題では、有明海全体に占める割合は2%ですが、それでも漁業被害、環境汚染は否定できず、「長期開門調査をすべき」との福岡高裁判決が示され確定しています。

レッドデータブックくまもとのハビタット編では、羊角湾について「極めて多くの貴重種が豊富に存在しており、熊本県では最も貴重な干潟と位置づけられる。熊本県だけでなく、全国的にみても貴重な保全すべき生態系である」と記しています。

羊角湾の現地調査をした鹿児島大学理学部の佐藤正典教授は、「もしダムが予定どうりに建設されたら、河口部の干潟生態系は大きな影響を受ける。水がせき止められ、よどんだダム湖ができることにより下流の水質は著しく悪化する」と指摘しています。

以上の点で路木ダムについては、工事を中止し、予算の執行を停止し、治水、利水、環境について、県民参加で再検証すべきであり、請願の不採択には断固反対であります。また路木ダム建設予算を含む一般会計補正予算には同意できません。

 

              


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