サンゴの白化現象についてちょっと書こうかな・・・
水温30度を超えてから2か月が過ぎようとしています。
各地の情報でご存知の方も多いし、心配しているダイバーも多いと思いますが、
サンゴの状態は、本当に厳しい状況が続いています。
※南岸リーフ上水深1mのサンゴ群落は真っ白になりほぼ壊滅。。。
1998年沖縄地方で大規模な白化現象が起こりました。
その当時、僕は内地にいてダイビングSHOPとしてツアーで沖縄を訪れていましたが、
現地で起こっていたことはなかなか分からず、後に激減したサンゴを見て、それまで気にもしなかった光景に愕然としたことを覚えています。
今思えば、当時現地の最前線で海を見せるために頑張っていた人の心情は計り知れないものだったのだと思います。
あれから月日が流れ、僕は小さな島で現地ガイドとして開業することとなりました。
素晴らしい透明度と沖縄でもトップクラスのサンゴ礁に心を打たれ、生涯をここでとチャレンジし今に至ります。
しかしながら、開業して3年目、2006年大規模なオニヒトデの大量発生でそれまでの概念を覆されるような変化を目の当たりにしました。
必死で食い止めるも、シーズン中ということもあり出足が遅れ、本当に守れたのにと後悔した場所も少なくありません。
それからというもの、周囲23km、外リーフで周囲40kmの小さな多良間島と水納島の2つの島ですが、
常に全域の調査をしていなければ守ることはできないと、必死に取り組み保全活動に励んできましたが、今年度の白化現象はその中でも圧倒的にピンチな状況です。
※南岸リーフ際水深-3~5mのサンゴ群落も褐虫藻を失いもう猶予はありません。。。
ここ数日、風が北に回り、ダイビングも島をぐるっと回りながら行わなければならない状況になり、僕的には懸念していた南岸~東岸の調査を実施することができました。
そう・・この場所はトップシーズン中にほとんど忙しくて見ることができない場所で、当時まさにオニヒトデの時に出足が遅れた場所。
今回の状況は、水温上昇が要因で実際調査したところで僕らの力の及ばないことなのは十分に分かってはいるが、
そこを調べ、目に映る光景を焼き付け、そこの変化を記録していくことは今後長い月日が流れた時にとても貴重なデータになっていくことは身をもって感じているから、
ダイビング後に、複雑な心境を押えながら、永遠に泳ぎ、唇をかみしめて観察・調査してきました。
おおよその想像はできていたものの、
その光景は・・・
心をえぐるような光景でした。
※南東岸リーフ上-1mのサンゴ大群落もここからの復活は厳しい状況です。。。
僕の中で、ダイビングで魅せるということは、その島の状況を網羅して、そこの中で来られる人の意向を察し、合わせ、考えぬき、
その日の3本のダイビング~最終日までのダイビングをしっかりとしたストーリーの中で完結していくこと。
オニヒトデの大量発生で大きくPOINTが打撃を受けた時には、もうダメだとシーズン前に心が折れそうになったが、
そこのサンゴ保全対処をしながら、メインとして利用していたPOINTを大幅に変更し、
それまであまり利用しなかった場所をストーリーに入れられるような状況を作って、死に物狂いで対処してきました。
今思えば、その当時からダイビングPOINTは大幅に変わってきたと思います。
毎年ながら、素晴らしい海を全力で見てもらうためには、ただあるPOINTを案内しているようでは無理なことで、
やはり日々全域を網羅してPOINTを開発・調査・保全し、その日の海洋状況で瞬時に判断して、最適なPOINTへ誘導していかなければ成り立たない。
今期の白化現象で、おそらく沖縄のサンゴは2/3くらいの死滅が予想されるだろう。
その中で大切なのは、
まずはリーフのサンゴが激減することで発生する翌年度のオニヒトデの大量発生をこの冬からどのように対処していくか。
これは冬季に徹底して、オニヒトデの幼体の動向を追いながら行わなければならない。
長い時間と精神力、体力がかかる作業になるだろう。
そして、次に来季に喜んでもらえるPOINTをどのように構成していくか。
これはそのシーズン日々海に出る中で即座に判断していかなければならないことではあるが、今からの状況を嘆いているばかりでなく、
冷静に判断して素晴らしい海の光景を残せる場所、楽しめる場所、生物が感銘を与えてくれる場所、そうしたことをしっかりと描いていかなければならない。
※真っ白から少しづつ苔が生え茶色に変色していきます。つまり、死滅です。。。
来季、大幅にPOINT構成は変わるかもしれない。
それでも、この海の素晴らしさは変わらないと信じ、また残りのシーズンを駆け巡りながら考えていきたいと思います。
今、海はとても苦しんでいるように見えます・・
それは、この先に環境変化で順応していくかもしれないけど、今までの環境に準じて生きてきた生物たちはきっと苦しい局面に立たされているのだと思います。
おそらく年月をかけてそこから今の環境に合った海に変化していくのだろう。
※オニヒトデの食害からようやく復活し、小さなサンゴが群生しだした場所も厳しい状況で、比較的強いハナヤサイ系も白化が始まっています。。
そうした海でプロとして生きていく僕たちも、その苦しみの中で順応し、この海の魅力を最大限に伝えていけるように頑張らなくてはならない。
今年の冬も休みなく動き回ることになるだろう。
※南港内 一見きれいではあるが、白化前の青化の状態です。つまり瀕死の状況です。。
トップシーズン中・・・
皮肉にも嘆いている海とは裏腹に、台風がなく笑顔で遊びに来るお客さんが一日も絶えない日々。
かかるプレッシャーも大きいけども、僕の仕事はこの海を守り、伝え、感銘を与える責任あるものだから、精一杯走っていこうと思います。
※南港内 ソフトコーラルの白化現象前、黄化の状況です。これまた瀕死の状況です。。
まだ完全に死滅したわけではないサンゴ群。
何とか小さな望みをかけて、精一杯生きてほしいと願います。
今現在はちょっと痛々しい海かもしれませんが、当たり前の光景なんてない、変化することの自然の厳しさを少しでも理解して、華やかで笑顔あふれるダイビングを一緒にできたら光栄です。
そのためには、僕がこの海でできることを全力で取り組み、残りのシーズンもこれからのシーズンも変わらず感銘を与えてくれる多良間島の海を愛し生きていこうと思います。
毎年ながら一生懸命やっていれば、必ず何か大きな壁がやってくる。
そこに自分の人生を注いだのだからやるしかないです。
海が好き、ダイビングが好き、離島が好き。
根底はそれだけで良いのですが、それだけで好きなことを仕事として全うしていくプロフェッショナルにはなれないってことかな。
連続潜水が数か月続き、ちょっと疲れているけれども・・・
まだまだトップシーズンは続きます。
気合いを入れなおして、この海に心から感謝し、今までの絶景の恩返しに、
僕の力でこの海が華やかに輝き笑顔を生むガイディングをしていきたいと思います。
水温30度を超えてから2か月が過ぎようとしています。
各地の情報でご存知の方も多いし、心配しているダイバーも多いと思いますが、
サンゴの状態は、本当に厳しい状況が続いています。
※南岸リーフ上水深1mのサンゴ群落は真っ白になりほぼ壊滅。。。
1998年沖縄地方で大規模な白化現象が起こりました。
その当時、僕は内地にいてダイビングSHOPとしてツアーで沖縄を訪れていましたが、
現地で起こっていたことはなかなか分からず、後に激減したサンゴを見て、それまで気にもしなかった光景に愕然としたことを覚えています。
今思えば、当時現地の最前線で海を見せるために頑張っていた人の心情は計り知れないものだったのだと思います。
あれから月日が流れ、僕は小さな島で現地ガイドとして開業することとなりました。
素晴らしい透明度と沖縄でもトップクラスのサンゴ礁に心を打たれ、生涯をここでとチャレンジし今に至ります。
しかしながら、開業して3年目、2006年大規模なオニヒトデの大量発生でそれまでの概念を覆されるような変化を目の当たりにしました。
必死で食い止めるも、シーズン中ということもあり出足が遅れ、本当に守れたのにと後悔した場所も少なくありません。
それからというもの、周囲23km、外リーフで周囲40kmの小さな多良間島と水納島の2つの島ですが、
常に全域の調査をしていなければ守ることはできないと、必死に取り組み保全活動に励んできましたが、今年度の白化現象はその中でも圧倒的にピンチな状況です。
※南岸リーフ際水深-3~5mのサンゴ群落も褐虫藻を失いもう猶予はありません。。。
ここ数日、風が北に回り、ダイビングも島をぐるっと回りながら行わなければならない状況になり、僕的には懸念していた南岸~東岸の調査を実施することができました。
そう・・この場所はトップシーズン中にほとんど忙しくて見ることができない場所で、当時まさにオニヒトデの時に出足が遅れた場所。
今回の状況は、水温上昇が要因で実際調査したところで僕らの力の及ばないことなのは十分に分かってはいるが、
そこを調べ、目に映る光景を焼き付け、そこの変化を記録していくことは今後長い月日が流れた時にとても貴重なデータになっていくことは身をもって感じているから、
ダイビング後に、複雑な心境を押えながら、永遠に泳ぎ、唇をかみしめて観察・調査してきました。
おおよその想像はできていたものの、
その光景は・・・
心をえぐるような光景でした。
※南東岸リーフ上-1mのサンゴ大群落もここからの復活は厳しい状況です。。。
僕の中で、ダイビングで魅せるということは、その島の状況を網羅して、そこの中で来られる人の意向を察し、合わせ、考えぬき、
その日の3本のダイビング~最終日までのダイビングをしっかりとしたストーリーの中で完結していくこと。
オニヒトデの大量発生で大きくPOINTが打撃を受けた時には、もうダメだとシーズン前に心が折れそうになったが、
そこのサンゴ保全対処をしながら、メインとして利用していたPOINTを大幅に変更し、
それまであまり利用しなかった場所をストーリーに入れられるような状況を作って、死に物狂いで対処してきました。
今思えば、その当時からダイビングPOINTは大幅に変わってきたと思います。
毎年ながら、素晴らしい海を全力で見てもらうためには、ただあるPOINTを案内しているようでは無理なことで、
やはり日々全域を網羅してPOINTを開発・調査・保全し、その日の海洋状況で瞬時に判断して、最適なPOINTへ誘導していかなければ成り立たない。
今期の白化現象で、おそらく沖縄のサンゴは2/3くらいの死滅が予想されるだろう。
その中で大切なのは、
まずはリーフのサンゴが激減することで発生する翌年度のオニヒトデの大量発生をこの冬からどのように対処していくか。
これは冬季に徹底して、オニヒトデの幼体の動向を追いながら行わなければならない。
長い時間と精神力、体力がかかる作業になるだろう。
そして、次に来季に喜んでもらえるPOINTをどのように構成していくか。
これはそのシーズン日々海に出る中で即座に判断していかなければならないことではあるが、今からの状況を嘆いているばかりでなく、
冷静に判断して素晴らしい海の光景を残せる場所、楽しめる場所、生物が感銘を与えてくれる場所、そうしたことをしっかりと描いていかなければならない。
※真っ白から少しづつ苔が生え茶色に変色していきます。つまり、死滅です。。。
来季、大幅にPOINT構成は変わるかもしれない。
それでも、この海の素晴らしさは変わらないと信じ、また残りのシーズンを駆け巡りながら考えていきたいと思います。
今、海はとても苦しんでいるように見えます・・
それは、この先に環境変化で順応していくかもしれないけど、今までの環境に準じて生きてきた生物たちはきっと苦しい局面に立たされているのだと思います。
おそらく年月をかけてそこから今の環境に合った海に変化していくのだろう。
※オニヒトデの食害からようやく復活し、小さなサンゴが群生しだした場所も厳しい状況で、比較的強いハナヤサイ系も白化が始まっています。。
そうした海でプロとして生きていく僕たちも、その苦しみの中で順応し、この海の魅力を最大限に伝えていけるように頑張らなくてはならない。
今年の冬も休みなく動き回ることになるだろう。
※南港内 一見きれいではあるが、白化前の青化の状態です。つまり瀕死の状況です。。
トップシーズン中・・・
皮肉にも嘆いている海とは裏腹に、台風がなく笑顔で遊びに来るお客さんが一日も絶えない日々。
かかるプレッシャーも大きいけども、僕の仕事はこの海を守り、伝え、感銘を与える責任あるものだから、精一杯走っていこうと思います。
※南港内 ソフトコーラルの白化現象前、黄化の状況です。これまた瀕死の状況です。。
まだ完全に死滅したわけではないサンゴ群。
何とか小さな望みをかけて、精一杯生きてほしいと願います。
今現在はちょっと痛々しい海かもしれませんが、当たり前の光景なんてない、変化することの自然の厳しさを少しでも理解して、華やかで笑顔あふれるダイビングを一緒にできたら光栄です。
そのためには、僕がこの海でできることを全力で取り組み、残りのシーズンもこれからのシーズンも変わらず感銘を与えてくれる多良間島の海を愛し生きていこうと思います。
毎年ながら一生懸命やっていれば、必ず何か大きな壁がやってくる。
そこに自分の人生を注いだのだからやるしかないです。
海が好き、ダイビングが好き、離島が好き。
根底はそれだけで良いのですが、それだけで好きなことを仕事として全うしていくプロフェッショナルにはなれないってことかな。
連続潜水が数か月続き、ちょっと疲れているけれども・・・
まだまだトップシーズンは続きます。
気合いを入れなおして、この海に心から感謝し、今までの絶景の恩返しに、
僕の力でこの海が華やかに輝き笑顔を生むガイディングをしていきたいと思います。