「海」と「ダイビング」を熱く本気に考える男のブログ ~JAWS SHU~

「海」を本気に考えます。「海」を本気に案内します。抜群の多良間の海で本気に海を感じてみませんか。

多良間島&水納島の海 ダイビング ~サンゴのピンチに歯を食いしばり・・・~

2016-08-31 15:34:32 | Weblog
サンゴの白化現象についてちょっと書こうかな・・・

水温30度を超えてから2か月が過ぎようとしています。
各地の情報でご存知の方も多いし、心配しているダイバーも多いと思いますが、
サンゴの状態は、本当に厳しい状況が続いています。


※南岸リーフ上水深1mのサンゴ群落は真っ白になりほぼ壊滅。。。

1998年沖縄地方で大規模な白化現象が起こりました。
その当時、僕は内地にいてダイビングSHOPとしてツアーで沖縄を訪れていましたが、
現地で起こっていたことはなかなか分からず、後に激減したサンゴを見て、それまで気にもしなかった光景に愕然としたことを覚えています。

今思えば、当時現地の最前線で海を見せるために頑張っていた人の心情は計り知れないものだったのだと思います。

あれから月日が流れ、僕は小さな島で現地ガイドとして開業することとなりました。
素晴らしい透明度と沖縄でもトップクラスのサンゴ礁に心を打たれ、生涯をここでとチャレンジし今に至ります。

しかしながら、開業して3年目、2006年大規模なオニヒトデの大量発生でそれまでの概念を覆されるような変化を目の当たりにしました。
必死で食い止めるも、シーズン中ということもあり出足が遅れ、本当に守れたのにと後悔した場所も少なくありません。
それからというもの、周囲23km、外リーフで周囲40kmの小さな多良間島と水納島の2つの島ですが、
常に全域の調査をしていなければ守ることはできないと、必死に取り組み保全活動に励んできましたが、今年度の白化現象はその中でも圧倒的にピンチな状況です。


※南岸リーフ際水深-3~5mのサンゴ群落も褐虫藻を失いもう猶予はありません。。。

ここ数日、風が北に回り、ダイビングも島をぐるっと回りながら行わなければならない状況になり、僕的には懸念していた南岸~東岸の調査を実施することができました。

そう・・この場所はトップシーズン中にほとんど忙しくて見ることができない場所で、当時まさにオニヒトデの時に出足が遅れた場所。

今回の状況は、水温上昇が要因で実際調査したところで僕らの力の及ばないことなのは十分に分かってはいるが、
そこを調べ、目に映る光景を焼き付け、そこの変化を記録していくことは今後長い月日が流れた時にとても貴重なデータになっていくことは身をもって感じているから、
ダイビング後に、複雑な心境を押えながら、永遠に泳ぎ、唇をかみしめて観察・調査してきました。
おおよその想像はできていたものの、
その光景は・・・
心をえぐるような光景でした。


※南東岸リーフ上-1mのサンゴ大群落もここからの復活は厳しい状況です。。。

僕の中で、ダイビングで魅せるということは、その島の状況を網羅して、そこの中で来られる人の意向を察し、合わせ、考えぬき、
その日の3本のダイビング~最終日までのダイビングをしっかりとしたストーリーの中で完結していくこと。

オニヒトデの大量発生で大きくPOINTが打撃を受けた時には、もうダメだとシーズン前に心が折れそうになったが、
そこのサンゴ保全対処をしながら、メインとして利用していたPOINTを大幅に変更し、
それまであまり利用しなかった場所をストーリーに入れられるような状況を作って、死に物狂いで対処してきました。

今思えば、その当時からダイビングPOINTは大幅に変わってきたと思います。
毎年ながら、素晴らしい海を全力で見てもらうためには、ただあるPOINTを案内しているようでは無理なことで、
やはり日々全域を網羅してPOINTを開発・調査・保全し、その日の海洋状況で瞬時に判断して、最適なPOINTへ誘導していかなければ成り立たない。

今期の白化現象で、おそらく沖縄のサンゴは2/3くらいの死滅が予想されるだろう。
その中で大切なのは、
まずはリーフのサンゴが激減することで発生する翌年度のオニヒトデの大量発生をこの冬からどのように対処していくか。
これは冬季に徹底して、オニヒトデの幼体の動向を追いながら行わなければならない。
長い時間と精神力、体力がかかる作業になるだろう。

そして、次に来季に喜んでもらえるPOINTをどのように構成していくか。
これはそのシーズン日々海に出る中で即座に判断していかなければならないことではあるが、今からの状況を嘆いているばかりでなく、
冷静に判断して素晴らしい海の光景を残せる場所、楽しめる場所、生物が感銘を与えてくれる場所、そうしたことをしっかりと描いていかなければならない。


※真っ白から少しづつ苔が生え茶色に変色していきます。つまり、死滅です。。。

来季、大幅にPOINT構成は変わるかもしれない。
それでも、この海の素晴らしさは変わらないと信じ、また残りのシーズンを駆け巡りながら考えていきたいと思います。

今、海はとても苦しんでいるように見えます・・
それは、この先に環境変化で順応していくかもしれないけど、今までの環境に準じて生きてきた生物たちはきっと苦しい局面に立たされているのだと思います。
おそらく年月をかけてそこから今の環境に合った海に変化していくのだろう。


※オニヒトデの食害からようやく復活し、小さなサンゴが群生しだした場所も厳しい状況で、比較的強いハナヤサイ系も白化が始まっています。。

そうした海でプロとして生きていく僕たちも、その苦しみの中で順応し、この海の魅力を最大限に伝えていけるように頑張らなくてはならない。
今年の冬も休みなく動き回ることになるだろう。


※南港内 一見きれいではあるが、白化前の青化の状態です。つまり瀕死の状況です。。

トップシーズン中・・・
皮肉にも嘆いている海とは裏腹に、台風がなく笑顔で遊びに来るお客さんが一日も絶えない日々。
かかるプレッシャーも大きいけども、僕の仕事はこの海を守り、伝え、感銘を与える責任あるものだから、精一杯走っていこうと思います。


※南港内 ソフトコーラルの白化現象前、黄化の状況です。これまた瀕死の状況です。。

まだ完全に死滅したわけではないサンゴ群。
何とか小さな望みをかけて、精一杯生きてほしいと願います。

今現在はちょっと痛々しい海かもしれませんが、当たり前の光景なんてない、変化することの自然の厳しさを少しでも理解して、華やかで笑顔あふれるダイビングを一緒にできたら光栄です。

そのためには、僕がこの海でできることを全力で取り組み、残りのシーズンもこれからのシーズンも変わらず感銘を与えてくれる多良間島の海を愛し生きていこうと思います。

毎年ながら一生懸命やっていれば、必ず何か大きな壁がやってくる。
そこに自分の人生を注いだのだからやるしかないです。

海が好き、ダイビングが好き、離島が好き。
根底はそれだけで良いのですが、それだけで好きなことを仕事として全うしていくプロフェッショナルにはなれないってことかな。

連続潜水が数か月続き、ちょっと疲れているけれども・・・
まだまだトップシーズンは続きます。
気合いを入れなおして、この海に心から感謝し、今までの絶景の恩返しに、
僕の力でこの海が華やかに輝き笑顔を生むガイディングをしていきたいと思います。


多良間島&水納島の海 ダイビング ~息子に伝えたいこと~

2016-08-17 23:14:54 | Weblog
70歳になる父と母から僕が初めてダイビングをしたのは7歳の時だと聞いていた。


今日、長男の7歳の誕生日。


夕方からどうしても一緒に潜りたくて、子供を連れて外洋に出航し、
僕がこの島に来て初めて開発したPOINTに一緒に潜りに行った。


まだ何も分からなくていいのだけど・・

パパからの強い想いをこめた誕生日プレゼント・・・


ダイビングを生涯するかどうかなんてわからないし、強制もしないけど、
僕はこの島でのダイビングシーンを息子には少しでも目に焼き付けてほしいと思って。。。



今季は台風もなく、快晴・凪でGOODコンディションが続く日々。

日々笑顔に包まれるダイビングの中で、異常水温によるサンゴの白化現象に胸を痛めるダイビングガイドが続いている。


数年前オニヒトデの大量発生で必死に保全活動を繰り返し、
どうにか守ってきたあのサンゴたちも今は何することもできず日に日に白くなり・・・

自然の驚異を目の当たりにしながらのダイビング。
想うとこはたくさんあるものだ。


昔の話になるが、
僕がこの島に来て、基盤を作り上げようと踏ん張ってきて2年が経とうとするときに、
同業者が来て、同じようにお店を作ろうとしたことがあった。

僕が潜るPOINTを見ては、後ろからつけてその横にブイを打ち・・・
やっていることはほんとめちゃくちゃで・・・
ある時、話し合わなければならなく、その方と面して話す機会を作り、実直に話をしたことを覚えている。

恐らく僕よりも20歳くらい上の本島でダイビングSHOPを営む人だったと覚えている。
20代の僕にその方はこう言った。

「あなたにとってダイビングってなんですか?」

僕はこう答えた。

「生涯をかけて追及しても飽き足りない大好きなレジャーであり、僕がプロフェッショナルとして導ける誇りある仕事です」と。

僕はこう返した。

「あなたにとってダイビングってなんでしょうか?」

彼はこういった。

「ビジネス以外の何物でもありません。」と。

当時夢にかけ突っ走っていた僕だから分からなかったのかとも思ったが、
今となってはっきりと思うとこがある。

それは違う。

と。

好きなことを商売にすることはとてもとても難しいと言われるが、
そんなことはない。

確かに夢を追いかけるだけじゃだめだし、ロマンを追いかけているだけてもだめだ。
でも・・・
そこを追いかけなければ、この仕事は完成しないと思う。

この人の目は完全に死んでいて、そこには海に対するロマンも夢もないように感じた。


40台になった今、不思議と僕の中でその当時とあまり気持ちの変化はない。

この海にかける想いや情熱、ここに遊びに来られる人への気持ち、
日々の変化の中で大きなプレッシャーから逃げたいときなんてたくさんあるけど、
僕は小さな離島でのダイビングシーンは、心からあるこうした想いを貫けなければできないと痛感している。


そして、それを貫くと同時にその気持ちを胸に
しっかりと家族やSTAFFを支えるビジネスシーンもできなければこれまた夢物語で何の意味もない。

小さな島に想いを寄せて、そこから始まった僕の新しい人生。

そこに生まれてきた長男には、少しでも感じてほしいと思いながら・・・
たくさんの想いを込めて潜ってきた。

この子がもしも海の世界に羽ばたくとき、あと20年後くらいだろう。
その時の海はどうになっているのだろうか・・・

各地で開発が重ねられ、外国人観光客の受け入れがキャパを超えている現状の中、
一人でもこの海を真剣に考える奴がいなくなったらあっという間に飲み込まれてしまう気がしてならない。

所詮、1店舗だけでいきまいているだけかもしれないけど、
そんな情熱を消さない力ある1店舗を貫きたいと、いばらの道を歩むしかないのだろうと。

来月にはもしかしたらサンゴ礁は半減してしまい。
20年後には僕がここに来た時と同じように素晴らしい景色が残るのかもしれない。

たくさんの想いはあるが、
好きだけでやっていくだけならやらない方がいい
夢だと言って現状がみれないのであればやらない方がいい
仕事として生計を立てられないのであればやらない方がいい

日々、その海を愛し、そこを追及し、
そこに耐えきれる体力と精神力を鍛え、
来る人に幸せな時間を過ごしてもらい、
その中で支えるべき人たちを支える力をつけて、
初めて好きなことが仕事になるのだろう。


息子よ・・・
日々の生活の中で、夢や希望、
自然に対する大切な気持ちを少しでも心に刻みながら、健康に育っていって下さい。

誕生日おめでとう。

パパより☆