ここ数日、海況も安定していたこともあり、保全活動もしながらシーズンのシュミレーションを兼ねて、一人船を出している。
風と潮を読みながら、POINT水中ブイ上に船を浮かせ、操船席から降り、ウエイト・フィン・マスクを装着してロープを持って海に飛び込む。
その間に船が流され水中ブイの位置からずれれば、そのままロープをたどって船に戻り、ロープを回収し、操船席に戻ってもう一度やり直す。
風や流れが強ければ強いほど水中ブイへの係留は難航し、時には先にアンカーをもって飛び込み、サンゴを砕かないようにアンカーを打ち、
船を一度止めてから、そのまま船に上がり、今度はブイロープを持って再度飛び込みブイと係留してくる。
そんな一連の流れが一早くできなければエントリー前のお客さんが心配するし、船酔いしてしまう。
でも、係留を完璧にしなければ安心してダイビングなんてできない。
小さな船に切り替えればもっと楽かもしれないが、船上の快適さが低下してしまう。
係留して、船のエンジン止めて、ラダー下して、潜降ロープおろして、ブリーフィングに入る。
水中を全力でガイドして、エキジットのサポートをし、アンカーを外しやすくしてから船上にあがり、
すべてのロープを回収して、船上でのサポートを行い、次のPOINTへ繰り返す。
港に戻って岸壁に寄せて、ロープをしばり、タンクをおろし、積みかえる。
STAFFがいる時には、分担しスムーズに当たり前にしてきたこんな作業も、一人で行えば難航することは目に見えているので、
とにかくスムーズにできるように何度も何度も繰り返す。
自分一人で作業で海に出る時には今までも行ってきたことだが、それは海況も安定し、プレッシャーもない状況での事で、
これからシーズン中にお客さんを連れて行うとなると、時間的なことも抱えるものも全く別の作業になると思うと何度も行って身に着けるしかない。
そのために体力と筋力がなければと今シーズンはトレーニングもいつになく日々積み重ねている。
でも・・・・
それでもやっぱり・・・
人の力がなければ、人の力がある時と同じクオリティーは生み出せない。
2人、3人、4人とSTAFFがいる時と同じクオリティーになるべく近づけるためにはトレーニングするしかないと頑張るけど、
どうしても、一人の力には限界を感じてしまうこともある。
今は海から戻って考えることは、
今シーズン大丈夫なのかな・・・
期待に応えるダイビングを提供できるのかな・・・
もうあと1か月もすれば始まるのか・・・
何とかしなければ・・・
と、マイナスの事ばかり。
数年前、STAFFが辞めてしまい今と同じように一人になってしまった時に同じようなこともあったが、
今はその時よりもお客さんは増え、その後やってきたお店のクオリティーもあがり、期待も大きくなり、状況は全く変わっている。
この業界は人の入れ替えが激しかったり、今は新しく目指す人が少なかったり、将来を設計するのにとても難しい職種であったりと
多方面で人材確保に苦労している状況で、
育てたガイドもいつかは独立をさせていかなければ将来が築けなかったり、
独立を目指さない人はある年齢で見切りをつけて業界から去って行ったり・・・
オーナーとSTAFFのモチベーションが一致せず苦労しているお店も多い。
僕自身も長年ずっと見つめ直すことばかり。
俺の育成方法が悪いのかな・・・
もっと雇用を考えなければいけないんだろうな・・・
もっと同じ喜びを共有できるようなお店つくりをしないとな・・・
経営者としての力が俺に不足しているからだろうな・・・
俺がもっと魅力を伝え、指導して素晴らしい職場にしないとな・・・
STAFFの将来を明るくしてあげられるお店にしないとな・・・
そんなことばかり考えながら、嫁にも不安ばかりを話す日々。
そんな時・・・・
お店に行くといつも僕が作成しているフォトブックの会社から見たことないフォトブックが届いていた。
???????
俺注文してないけどな・・・・
開けてみると、
僕のフォトブックではない。
??????
中身を見てみると、温かな多良間の写真と多くの方々からのコメントが書かれている。
1ページ、1ページめくるたびに涙が出てきた。
「いつもありがとう」
「もう多良間に通って10年になります」
「記念ダイブの想い出が最高でした!」
「ドラフトあきらめて多良間の海で頑張ってください!」
「最高のガイドとおもてなしをいつもありがとう」
「多良間を通じてたくさんの素敵な仲間ができました」
「あの透明度が衝撃でした」
「また必ずいきます。よろしくお願いします」
「おかげでダイビングがもっともっと好きになりました」
「いつまでも美しい海を守ってください!」
「出会ったころの夫婦から子供が生まれ5人チームになって、これからもがんばって下さい」
「出会いに感謝しています」
「尊敬しています。熱い想いとガイドで多良間をこれからも魅せてください」
「多良間の海も陸も大好きです!」
「熱い情熱があるお店はみんなが癒しを求める最高のSHOPです」
「多良間の海の感動と夜の熱い話を聞きに通い続けます」
「多良間の海に一目ぼれでした」
「初めてこの海に潜った時の感動を今でも覚えています」
「また多良間に元気をもらいにいきます」
「一緒に過ごした期間が人生の宝物です」
「人見知りの私もすぐに溶け込み楽しむことができました」
「多良間の伝統や文化、海の素晴らしさすべてが宝物です」
「いつまでも素敵な海と島でありますように」
「多良間の海はみんなで守るよ」
「JAWS大好きです。熱いトークも海も大好きです」
「いつもありがとう。熱いガイド多良間でのダイビングはいつも楽しいです!」
「多良間に出会えて良かった、大好きだよ!」
「みんなが愛してやまない海。また会いに行くね!」
1ページ、1ページ綴られる数々の温かいコメントに、みんなと潜ってきた日々が目に浮かび、
感謝の気持ちでこみあげる想いでいっぱいになりました。
諦めそうになる時、いつもそこには大きな期待を寄せてくれる方々がいて、その方々の笑顔に会うために頑張って来れた気がします。
とても弱っている時に届いた温かなフォトブックは、僕の気持ちを落ち着かせ、また奮い立たせてくれる本当にうれしい贈物でした。
ありがとうの言葉しかありません。
多良間島で皆さんとお会いできる時間は、全ての方との貴重な時間で、僕にとって大切な時間だったのだと再認識できました。
また、新しいSTAFFとしっかりと築き上げて、皆さんの期待を胸に頑張らなければと努力していきたいと思います。
期待されるということは、大きなプレッシャーとの闘いもあるけど、決して嫌いじゃない。
応えるためには、地道な努力を続けて積み重ねるしかない。
悩ましい日々に一つの大きな兆しをくれたフォトブック。
「みんなのBLUE」
大きな宝物が増えました。
たくさんの方々に喜ばれるように、そこで働くみんなが幸せになれるように、
そして、大切な嫁と小さな子供たちに明るい道を与えられるように頑張ります!!!
「みんなのBLUE」
ありがとう!!!