Dr. Jason's blog

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Desktop Audio: BOSEの底力と小さなスーパーツィーター

2010-03-16 | Audio
 久しぶりの blog なので,いつもとは趣向を変えてオーディオの話を少し.

 私は高校生のころから,オーディオ (Audio) を趣味としている,いわゆるオーディオファイル (Audiophile) である.大学生時代は,オーディオの専門店で,販売員のアルバイトをしていたこともある.


 都内に研究室として共同で借りている部屋には,予算やスペースの制限から,いわゆる,専用のオーディオシステムをおいていない.ちなみに,テレビもおいていない.

 研究室では,これまで,中古の首振りタイプの iMac4G Flat Panel(CPU: MPC7450 800MHz, RAM: SDRAM PC133-333 768MB,サンドコントローラ: TUMBLER [TI 32bit TAS3001 ベース,TI TLC320AD77 24bitコーデック],デジタルアンプ: TI TA2024)と,付属の球形のスピーカーで音楽を聞いていた.古いPCとしては,まあまあの音だったと思う.
 音源は,Apple Lossless Audio Codec で,CDから直接 iTunes でクリッピングしたもを,BUFFALO の NAS に入れていた.昨年の年末にNASが壊れたので,1月にIODATAの1TBの外付けHDDにとりかえて,データは,すこしづつ,CDから入れ直している.


 つい先日,ヨドバシのポイントが,有る程度たまっていて使わずにおくと期限切れになるという趣旨のハガキが届いた.
 色々思案して,たまっていたポイントに少し現金を足して,以前から目をつけていた, BOSE のPC用のスピーカーを購入した.BOSE では,iPodやPC用のスピーカーをマルチメディアスピーカーというカテゴリーで呼んでいる.

 BOSE Companion3 II は,中高域を受け持つ,小さなサイコロ状のサテライトスピーカー(2インチユニット)と,低域を受け持つスーパーウーファ(5.25インチユニット)とアンプが内蔵されたベースユニットという構成のシステムである.

BOSE Companion3 II マルチメディアスピーカー

BOSE

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 BOSE では,詳しい周波数特性等は,公開していないが,様々なテスト信号を発生する発信器ソフト Tone Generator X や,オーデォテスト用のCDの信号などと,スペクトラムアナライザーのソフト FFT Analyzer をつかって,簡単な計測と試聴をしたところ,概ね 35 - 20KHz (+-10db) ぐらいの感じである.信号の種類によっては,下は,32Hz もレスポンスがある.


 総合的な再生音は,販売店等での試聴の印象から考えていたものよりも,ずっと良好である.
 キャラクター的には,やや「BOSEくさい」音ではあるが,バランスは悪くない.ベースユニットとのつながりも思った以上によく,ベースラインなどでの音階,立ち上がり,立ち下がりもはっきりしている.マーカス,ネイサン,アンソニー,エブラハムの違いがちゃんとわかる.
 低域が有る程度ちゃんと再生されると,それだけで,音に厚み,躍動感がでる.高域は,紙コーンのフルレンジの5cmユニットとしては,良い方だと思うが,25年以上のリボンツィータの愛用者としては,やはりやや,伸び,切れ味が鈍い感じがする.

 一番の驚きは, TELARC のロリン・マゼール指揮,クリーブランド・オーケストラ演奏「春の祭典」(Stravinsky, La sacre due printemps) を,結構まともに鳴らしたことである.20万円ぐらいのコンポのセットでもなかななこんな音はしない.3万円台のスピーカーでこれだけの音を出すというのは,BOSE の底力を感じさせる.

 キャラクター的な部分は,iTunes のイコライザと,サウンドエンハンサーの調整で,色々とチューニングできる.音の出口:スピーカーの再生周波数が広がったので,イコライザの効果もこれまで以上にはっきりと現れる.
 一つ注意点としては,BOSEのシステムへの入力信号が大すぎる場合,BOSEのアンプに内蔵された保護回路が働く場合があるので,Macからの出力を70-75%程度にしておくのが良さそうだ.

 PC用の,Desktop Audio のスピーカーとして,BOSE Companion3 II は,おすすめできる一品である.


 数日聞いていて,低域の伸びに比べて,高域の切れ,伸びがやや不足ぎみなのが気になって,なにか安いスーパーツィーターを追加できないかと考えてみた.
 インターネットで,少し調べると, 秋葉原のコイズミ無線のサイト で,電圧で動作するエピゾフィルム方式の低価格のスーパーツィーターを発見した.さらに調べると,昨年から,あちこちで話題になっているようだ.エピゾ素子のツィーターは昔からある方式であるが,独自の技術改良が加えられている.

  TAKET-BATPURE という製品である.やや能率が低いが,20KHz - 100KHz をカバーして,能率の差が有る程度あるシステムと組み合わせても効果があるという.
 開発元は, テイクティ有限会社 という,技術開発ベンチャーで,いくつか特許も申請中である.資料には 20HKz - とあるが,筆者の簡単なテストでは,少なくとも18KHzぐらいからレスポンスがあるようだ.

 ペアで,5800円(コイズミ無線での店頭価格)という低価格だったので,早速購入した.40mmの黒檀ウッドキューブに取り付け済の製品もあったが12000円(ペア)だったので,山本音響の34mm角の黒檀のスピーカーベースと0.5mmのゴム足を,ヨドバシ アキバ で購入して自作した.(冒頭の写真は,出来上がりを携帯のカメラで撮影したもの.)

 空間情報の分解能,高域の切れ,伸び等が,予想以上に改善した.

  proprius の 「カンターテ・ドミノ」(CANTATE DOMINO) で,空間情報が増えて,音場感が広がった.「春の祭典」の金管も艶が出てきた感じ.これは凄い.
 
 CDをクリッピングしたものを,古いiMacの iTunes で聞いて,スーパーツィーターのご利益があるのかと思う方も多いかもしないが,「百聞は一聴に如かず」.
 16KHz以上の高音域,特に18KHz - 21KHz の近辺の微細な差が重要ということだろうか.あるいは,20KHz以上の超高音域のランダム信号による, ハイパーソニック・エフェクト による効果なのかもしれない.
 いずれにしても, TAKET-BATPURE は,手軽なスーパーツィーターとして特にオススメの一品.まさに「山椒は小粒でピリリと辛い」という感じ.


販売店などについては,以下を参照されたい.
[TAKET 製品取扱店]


[定評のあるDENONのオーディオチェックCD]
デンオン・オーディオ・チェックCD〈スペシャル・リファレンス・エディション〉
円光寺雅彦,ノイマン(ヴァーツラフ),インバル(エリアフ),野尻修平,イタリア合奏団,クイケン(シギスヴァルト),カルミナ四重奏団,広瀬悦子,中野振一郎,有田正広
コロムビアミュージックエンタテインメント

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[春の祭典]
Stravinsky: The Rite of Spring; Tchaikovsky: Symphony No. 4 [Hybrid SACD]
Igor Stravinsky,Pyotr Il'yich Tchaikovsky,Lorin Maazel,Cleveland Orchestra
Telarc

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[カンターテ・ドミノ]
Cantate Domino [Hybrid SACD]
Marco Enrico Bossi,Johann Gottfried Walther,Otto Olsson,George Frederick Handel,Georg Joseph Vogler,Christmas Traditional,Korean Traditional,Adolphe Adam,Franz Xaver Gruber,Max Reger,Irving Berlin,Torsten Nilsson,Alfred Linder,Marianne Mellnas
Proprius

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 TAKET-BATPURE を片チャンネル2枚づけにして,スーパーツィーターの音圧を倍にあげたら,どうなるか検討中.


 続編の記事:
   2010/3/30
   2010/4/3

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5 コメント

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Unknown (Dr.Jason)
2010-03-30 14:23:41
> やまむろ さん
建て替えなくても、現在のご自宅やオフィスのオーディオについて、ご相談があればうけたまわります。
オーディオは、主要な装置を変更しなくても、セッティングや調整、配線などのグレードアップでだいぶ音がかわります。

> ひきち さん
環境についての記述が詳しいのは、まぁ、職業的なものでしょうね。

MacBook は結構レンジの広いマイクを内蔵しているし、フリーのFFTソフトでも色々見られるので、音源のCDや発信器ソフトと組み合わせて、おおざっぱな計測は簡単にできるようになったのでとても便利です。

BOSE Companion3 II も、スーパーツィーターもエージングされて、だいぶ堅さがとれてきて細かい音が出るようになってきました。
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Unknown (ひきち)
2010-03-30 12:15:21
いいですね、オーディオ、書店で雑誌をめくってみました。隔世の感が、
ジェイソンさんの blog で、すばらしいと思ったのは、ちゃんと評価環境を提示して、
再現できるようにしている点です。
なんとはなしに bug report とか test report に通じる、と思ったのは、職業病かしら、

もとい、ヘッドフォンとか usb アンプを
見ていますが、前者では 220k というのが
あるんですね、
audio pc と銘打って 200k ぐらいのも、
雑誌で見かけました。
一方オンキョウがいろいろ pc/note pc を
出していますし、マークレビンソンの
カーオーディオがあるのもびっくりです。
脈絡がなくて、すみませんでした。
返信する
Unknown (やまむろ)
2010-03-25 13:49:54
なるほど。定年になって家立て替える機会があったらご指導お願いします!
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Unknown (Dr.Jason)
2010-03-18 22:19:00
ごぶさたです.

もちろん,部屋の影響,特に床の影響は大きいですね.1に床,2に床,3-4がなくて,5は部屋の容積(広さだけでなく,天井の高さも含めて)ですね.
そのつぎは,部屋の縦横(さらに天地)の比率も,問題になりますね.
# 特定の周波数で,周波数特性にピークとディップが出ます.

壁は,一般の民家だと,なかなか良い環境にはできません.
原則は,スピーカーの両サイドの壁の条件があまり変わらないようにすることです.

しかし,分譲でも建て売りやマンションの場合,賃貸のマンション,アパート,借家の場合には,部屋は「あてがい」ですね.
その制限の中で,色々ソリューションを考えるのが,オーディオを長くやっている人の「腕のみせどころ」です.

郊外や地方にお住まいで,お金もちのオーディオマニアは,もちろん,専用のリスニングルームを立てます.
四角ではなく,五角形の部屋にすれば音質的には有利ですが,実際には,長方形で色々対策することが多い.

松下電機の元オーディオ事業部技術長の石井伸一郎先生が引退して,リスニングルームの研究とコンサルをされています.CiNii にも論文多数.
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Unknown (やまむろ)
2010-03-17 01:08:20
ほんと、ひさびさのアップですね。
音にこだわる場合、スピーカーとかは何とかなっても、部屋の音響効果とかの影響はどうなのかなぁと、いつも思っています。建てる時にそれなりに工夫するのでしょうか(私が建てた時は、そういう壁材って、カタログになかったような。。。)
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