大本営広報部、中国指導部の初動体制のまずさを非難しているが、日本政府のクルーズ船対応はどうなのだろう。検疫の語源、カランティンの四十日間になりそうな勢いで感染者が増えつづけているが。
雑誌『世界』3月号にある吉田敏浩氏の記事、「砂川裁判最高裁判決」の呪縛は解けるか─日米安保体制を根本から問う国賠訴訟 によれば、第三回口頭弁論は、まもなく二月一二日に開かれる。
櫻井ジャーナルも、カーク・ダグラスと映画界について、書いておられる。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2020/02/post-a3c463.html
カーク・ダグラスの死を偽善的に悼む左翼風新マッカーシー魔女狩り運動
マシュー・エレット
2020年2月9日
Strategic Culture Foundation
2月5日に、ハリウッド映画の伝説的人物カーク・ダグラスが103歳で亡くなると、左翼風主流放送局が胸が悪くなるような偽善を見せた。CNNが2月6日に報道したように、これらマスコミは「1950年代後期に、ハリウッドのブラックリストを無くすのを支援するため、人を引きつける彼のスターとしての力と影響力を駆使した」と彼の人生に対する無数の賛辞や追悼を書いた。多くのハリウッド有名人や、MSNBC、NYタイムズ、ワシントンポストが類似の称賛で、この言説に続いた。
これで胸がひどく悪くなるのは、この追悼がウソだからではなく、まさにこのMSM /ハリウッド連中が、カーク・ダグラスと、彼の親密な協力者たちが、人生で勇敢に戦った、ファシスト・マッカーシー運動機構の継承者だからだ。
ハリウッドと現在のCIA
ここ数十年、少数の例外を除き、ハリウッドは(主流メディアの多くと全く同様)CIAや、より広範に、軍産複合体の支店になっている。CNNのようなエセ通信社が、ボーッとしたアメリカ知識人に、エセ事実を紡ぎだす一方、ハリウッドは、話を語る重要な催眠術の威力を通して、被害者の心や想像力に影響を与え、そうしたニセの種が育つ肥沃土を用意するのだ。トム・クランシーの『エージェント:ライアン』、スピルバーグの『ブリッジ・オブ・スパイ』や、『レッド・スパロー』や『Bitter Harvest』は、ロシアを極悪非道な悪党として描き、CIAを勇ましく愛国的な高みに引き上げる最も人気が高いプロパガンダ映画の一部に過ぎない。
アメリカ内の中国人学者に対する攻撃に至った、蘇った冷戦の脅威や、現役米国大統領対するクーデター未遂のさ中、オバマ政権がハリウッド幹部に「ロシア言説に反撃する」映画を推進するよう要求していたことが、不法侵入で得られ、ウィキリークスが公表したソニー・ピクチャー電子メールが動かぬ証拠を提供となり、全てが明らかにされた。
ハリウッドが、大きな悪の勢力を演じることができるのと全く同様、カーク・ダグラスと協力者たちの小さなネットワークが、大きな善の勢力を、簡単に演じることができるのを示したのだ。これは正直と勇気の精神を示す映画は、知性の門番を回避して、特定状況下では、より良い愛国者、世界市民たり得る聴衆の内面的本質を撃つことができるのだ。
そこで「このような冷戦ピークの世界史の暗い時期、カーク・ダグラスと彼の協力者の小さいながらも影響力を持った人々のネットワークが、一体なぜそれほど重要だったのか?」という重要な疑問がおきる。
ブラックリストを終わらせる:ダグラスとトランボ
CNN追悼からの上記引用は、ハリウッドのブラックリストを終わらせるダグラスの取り組みをあげている。知らない方々のために言っておくと、ブラックリストというのは、ハリウッドの「不可触民」に与えられた名前だった。ジョセフ・マッカーシー上院議員とJ・エドガー・フーバーFBI長官の独裁的な指導の下で行われる、下院のファシスト非米活動聴聞会に協力するのを勇敢に拒否した作家や監督やプロデューサーたちだ。聴聞が終わるまでに、何百人もの人生が破壊され、アメリカ合衆国憲法を擁護したかどで実刑判決を受けただけでなく、釈放後も、何年にもわたり、雇用不能にされた、偉大なドルトン・トランボを先頭に、10人の主要メンバー、ハリウッド・テンが見せしめにされた。それだけでなく、彼らを雇用しているのが見つかった人々は誰であれ、類似の罰で脅された。
厳しい現実にもかかわらず、1950年代、トランボはクレジットを入れず、二本、アカデミー賞を獲得し(『ローマの休日』と『黒い牡牛』)彼らの多くが偽名で働き続けた。
この暗い期間中、勇敢な映画製作者たちは、トランボを中心に構成された、カーク・ダグラス、デイビッド・ミラー、ジョン・フランケンハイマー、スタンレー・クレイマー、バート・ランカスターや、プロデューサーのエドワード・ルイスのネットワークは、20年間、非常に親密に働いた。彼らが制作した作品は、新たに形成された「闇の国家」の土台を揺さ振る話題であるだけでなく、その自己満足が、国外での新しいパックス・アメリカーナ支配と、国内での、人種差別警察国家の形成を可能にしたアメリカ人の道義的感受性を目覚めさせようと努力していた。
カーク・ダグラスは反戦名画『突撃』(1957)と『スパルタカス』(1960)を制作したブリナ・プロダクションズという彼自身の映画会社を設立し、これに素早く対応した。
『突撃』は、第一次世界大戦中に、自爆作戦に従うのを拒否した数人のフランス兵士の不当な処刑の実話で、非合理的な戦争と、恣意的な政治的権力が手に負えなくなることに反対する強い声明になっていた。
紀元前72年を舞台にした『スパルタカス』は、ローマに対し、2年間、自由の闘いを率いたトラキア奴隷の実話で、直接、アメリカの公民権運動、より広範には、反帝国主義の戦い語っていた。
『スパルタカス』に、ブラックリストを終わらせる戦略上の潜在力があったのは、それがアメリカ最高の不可触民「共産主義支持者」ドルトン・トランボに書かれた事実にあった。トランボの実名を使うカーク・ダグラスのぎりぎり最後の決断は、大半の人々が理解しているより遥かに危険なもので、後年、ダグラスはこの時期について語っている。
「選択は難しかった。結果は苦痛を伴い、まさに本物だった。ブラックリスト時代、誰も雇ってくれないので、亡命した友人や、絶望で自殺した俳優がいた。『スパルタカス』に、ブラックリストに載せられた脚本家、友人ドルトン・トランボを起用すれば、私は「共産党支持者」というレッテルを貼られ、俳優としての私の人生は終わると脅された。人は信条を守るため立ち上がらなければならない時がある。不正に対して反対意見を述べるため、公的な影響力を使う同僚の俳優たちを私は誇りに思う。98歳で、私は歴史から一つの教訓を学んだ。歴史は、しばしば繰り返すのだ。私はトランボ、素晴らしい映画が、我々全員に、ブラックリスト時代は、アメリカの酷い時期だったのを想起させるよう願うが、我々がそれから学んで、決して再び起きないようにしなくてはならない。」
新たに選出されたジョン・ケネディ大統領と弟のロバートが、映画を見るために反共産主義のピケラインを最初に越えて、更に、はっきりと映画を支持した時、ブラックリストの基盤は破壊され、15年間の恐怖の体系は轟音とともに崩壊した。
ケネディ暗殺とトランボの復讐
1963年のケネディの死は、アメリカを絶望、薬と狂気のらせんに陥れた。フランケンハイマーの『影なき狙撃者』(1962)や『五月の七日間』のような映画(1964)が、闇の国家によるアメリカ乗っ取りに光をあてようと試みたが遅すぎた。1960年代、ダグラス、エド・ルイス、トランボやフランケンハイマーは、『脱獄』『非情の町』『フィクサー』『ガン・ファイター』『セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転身』『大列車作戦』『悪魔の弟子』『ジョニーは戦場へ行った』『ホースメン』などの映画で、しっかり協力し続けた。悲しいことに、文化的退廃はあまりにも深く根付いていて、1957-1964年という時期の密度が濃い創造的抵抗の芸術性に比肩するものは皆無だった。
だが、一本のほとんど無名の映画は大いに傑出しているのに、ほとんど何も知られていないので、今、これに言及しなければならない。
ケネディ暗殺10年後、トランボ、エドワード・ルイス、デイビッド・ミラー、マーク・レインとゲイリー・ホロウィッツは「トランボ最後の戦い」とも呼べる映画を制作した。この映画は『ダラスの熱い日』(1973)と呼ばれ、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺陰謀の主要なまとめ役として、カーク・ダグラス長年の協力者バート・ランカスターが主演した。以前ダグラスと『スパルタカス』を制作したエドワード・ルイスは、(ピッグズ湾攻撃の大失敗後に解雇された元CIA職員)プロ傭兵チームを三つ使い、ジョン・ケネディ暗殺を手配する寡頭体制支配者の陰謀団の話を語るこの映画の先頭に立った。信じられないほど良く調査された筋書きは、虚構を説得力ある事実で満たしており、ケネディ家と親しく、ニューヨーク州法律顧問で、公民権運動家(人種差別に対して戦うフリーダム・ライダーとして逮捕された唯一の議員)マーク・レインの著書に基づいていた。
ジェームズ・ファリントン(ランカスター)と(ロバート・ライアンが演じる)徒党の指導者ロバート・フォスターの説得力ある対話の中で、ケネディ暗殺が必要な本当の理由、世界的人口減少が身も凍るような詳細で語られて、戦いが始まる。
ここでフォスターは、ファリントンに、こう言う。
「ジェームズ、本物の問題はこれだ。20年で、この惑星の人口は70億人になるだろう。連中の大半は、茶色か、黄色か、黒人だ。彼ら全員飢えている。彼ら全員が愛すると決めている。彼らは、その温床から、ヨーロッパと北米に押し寄せるだろう。だから、ベトナムだ。そこで我々が徹底的に取り組むことで、我々が今後何十年も南アジアを支配できるようになる。適切な計画で、世紀の終わりまでに人口を5億5000万人に減らすことができる。私はデータを見て、知っているんだ。」
ジェームズ:「我々は、まるで「最後の審判」台帳を読み上げる神々のようだな?」
フォスター:「ああ、誰かがそれをしなければならない。この影響を受けた国々が良くなるだけではない。そこで開発されたテクニックは超過人口を減らすのに使える。黒人、プエルトリコ人、メキシコ系アメリカ人、困窮しがちな白人」。
この映画は、大半のアメリカ映画館から排除されているが、いまだに、単独武装犯という言説に対する、最も直接的な、実に身も凍るような反論の一つで、私が古い記事「実現すべきだったJFKの未来構想を忘れない」で述べたように、ケネディ暗殺の根底にある楽天的な理念への恐れ、根深い新マルサス学派の狙いを、この制作者が知っていることを示す唯一の映画なのだ。
現代世界で、巨大な政治力を持ったひと握りの集団が神の役を演じようとしている中、JFK暗殺を監督した連中の前任者が渇望していたのと全く同様、戦争と病気は、人類の自然状態ではなく、人口増加を抑制する手段なのだ。
ダグラスの逝去を悼んでいる、そのマスコミとハリウッドこそ、人類に、寡頭政治の戦争、病気と飢えの世界的大流行を永久に終わらせる最後で最良の機会を提供するロシアと中国間の協調関係の確立や、月や火星に人間の永住植民地を建設する宇宙計画復活で、JFKの遺産が再生するのを、ひどく恐れているマルサス学派遺産の犯罪者だということを肝に銘じる価値がある。
マシュー・J.L・エレットはジャーナリスト、講師、Canadian Patriot Review創設者。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
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