(み)生活

ネットで調べてもいまいち自分にフィットしないあんなこと、こんなこと
浅く広く掘っていったらいろいろ出てきました

( ´艸`)☆更新履歴☆(´~`ヾ)

(ガラスの・Fiction)49巻以降の話、想像してみた*INDEX (2019.9.23)・・記事はこちら ※ep第50話更新※
(ガラスの・INDEX)文庫版『ガラスの仮面』あらすじ*INDEX (2015.03.04)・・記事はこちら ※文庫版27巻更新※
(美味しん)美味しんぼ全巻一気読み (2014.10.05)・・記事はこちら ※05巻更新※
(孤独の)孤独のグルメマップ (2019.01.18)・・記事はこちら ※2018年大晦日SP更新完了※

(・Θ・)★せめて一言だけでも毎日更新★ (´∩ω∩`*)

レディスアパレルセレクトショップ
始めました☆☆
公式HP:-オーレオリン- オンラインショップ

ep第40.01話(支線)【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2016-11-02 23:45:00 | ガラスの・・・Fiction
ep第40話←                  →ep第41話
********************

ep第40.01話 今年も・・・
--------------------------------------
"やっぱ無理だよね・・・・・"
カットがかかった後、時計を確認したマヤは
ほうっと小さくため息をついた。

『Letouch of Love』

10月に始まったマヤ初主演連続ドラマは
放送開始されるや、今秋一番泣けるドラマとして
視聴率もうなぎのぼりだ。
放送開始前は
"主役の割に地味"
"ユーレイの話なんて季節はずれ"
"記憶喪失なんてありきたり"
など散々の言われようだったが
フタを開ければマヤの可憐にも切ない
幽霊役が健気でかわいいと評価を高めている。
それに加え、これまであまり一般知名度が
高かったとは言えない俳優由比隼平の
評判も上々で、まさに二人の恋模様を
日本中が見守っている状態である。

"私は演じるだけ、とはいってもやっぱり視聴率が
 こんなに雰囲気を変えるなんて・・・"

主役として初めて臨むマヤは、ドラマの撮影現場が
想像以上に"数字"というものに敏感で
影響を受けやすいことに今更ながら驚いていた。
前評判を引きずってか、初回視聴率は決して
高いとは言えなかった。
正直放送週の撮影現場は心なしか落胆の
雰囲気があった。
それが放送3回目を終え、とうとう今週は
週間最高視聴率を獲得するまでに伸びてきた。

"正直、ミナトが死んでいるという事実を信じたくない"
"どうにかして二人のハッピーエンドが見たい!"

特に放送終了後はファンの叫びがタイムラインを駆け巡る。

今日の撮影は午前中のロケが天候の影響を受けたため
大幅にずれ込んでいた。
このままでは十中八九日付を越えることになるだろう。
「みんな遅くまでがんばってくれてるんだもんね・・・・」
だけど・・とマヤは恨めしそうにさっき確認したばかりの
時計を再度見た。

「はぁ。。。」
「お疲れ!大丈夫?北島さん」
ため息なんかついて・・・と温かいお茶を差し出してくれたのは
共演者の由比隼平だった。
ただでさえ薄着なんだから、気を付けないと・・・と
ウインドブレーカーをかけてくれる。
「ありがとうございます。。・・・あったかい!」
ため息一転笑顔のマヤに隼平も安心したようだ。
「本当だったら今日の撮影はもう終わっている予定だったもんね」
今日も深夜営業ですか~~~と、伸びをしながら隼平がおどける。
「・・・・何か予定でもあったの?」
なんとなくいつもと違ってそわそわしているマヤの様子が
分かったのか、隼平が尋ねてきた。
「い、いえ、予定ということは・・・・。撮影は何時までかかるか
 分からないのに予定なんて入れられないですから・・・・」
そもそも撮影中は演技以外のことは考えられないほど集中してしまい
日常生活に支障をきたすくらいだ。
「ただ・・・・」
「・・ただ?」
「・・・・い、いえ、なんでもありません。もしちょっと早めに終われたらと
 思っていただけなんです。」
ちょうど監督から声がかかり、二人は撮影現場へと戻っていった。


**
「順調のようだな」
真澄の机の上には、今秋スタートのドラマの報告書が多種多様に
並べられていた。
大都芸能所属俳優達の出演作品をひとつひとつ確認しながら
デスク上のPCで姫川亜弓の『紅天女』舞台に関する資料に
目を通していく。

「お疲れ様です」
水城がコーヒーの香りと共に社長室に現れた。
「水城君、まだいたのか。」
社長が休日出勤なさらなければ、明日は休日ですので・・・・と
表情を崩さず答える。
「ふ。この時期にカレンダ―通りに休めると思うか。」
さようでございます。とカップを置きながら水城が
机上の資料に目をやる。
「なかなか数字もいいようですわね。」
なにが?と聞くまでもなく、資料の一番上にはマヤのドラマの
速報が置かれていた。
「マネージャーによると、今日の撮影も恐らく日付を越えるかと」
「そうか。」
短く返事をする真澄を残し、部屋を後にした水城は
扉を出る直前でくるりと振り返った。
「現場は大変活気づいているようですが、今日の撮影は
 マヤちゃんにとってかなり重要なシーンです。」
もし、可能でしたら視察して頂いた方が宜しいかもしれません、と
事務的な口調をくずさない水城。
「数字がよくて、士気も高まっているかとは思いますが、
 疲れもたまってきているころでしょう。」
今夜は一段と冷え込みそうですから、何か温かい物でも差入れては・・・と
既に手配済の雰囲気を漂わせながら水城は進言した。
「幽霊役とはいえ、演じているのは生身の人間です」
「そうだな。確かにいつも心もとない衣裳ばかり来ていたな」
真澄の脳内が切り替わったのを確認して、水城は
差入れの手配へと向かった。



「速水社長から、差入れを頂きました~~~!」
有名レストランのケータリングと共にドラマの撮影現場に
現れた真澄の姿で、現場はにわかに活気立った。
ちょうど小腹がすく頃、スタッフや演者も嬉々と向かう。
「速水社長、ありがとうございます」
さわやかな笑顔で礼をする隼平にねぎらいの言葉をかけたあと
真澄は周辺にいるはずのマヤの姿がないことに気付いた。
「・・・・あ、北島さんならたぶん、屋上だと」
真澄の視線に気づいた隼平が、答えた。
「屋上?」
「はい。この後屋上でのシーンがあるんですけど、北島さん
 その準備してると思います。」
「なるほど。この寒空の下、凍えるのも忘れて
 役に没頭しているというわけだな・・・・」
うっすら浮かべた笑顔とはうらはらに、薄着で空を見上げるマヤの
様子が急に心配になってきた真澄は、自らケータリングの列に並んだ。


**
「あれかな~~~。でもよく見えないし・・・・」
屋上で一人、マヤが天に指を向けながらなにやらつぶやいている。
「やっぱり梅の里と違って、東京は明るすぎてよく見えないな」
いつか、速水さんが言っていた通りだ・・・とマヤは思う。
「落ちてきそうなあの星空・・・きれいだったな~」
撮影器具が乱雑に置かれた狭いスペースの一部で
毛布にくるまりながらマヤはごろんと横になった。
「今日とは比べ物にならないくらい寒かったけど・・・
 でも、あったかかった。」
真澄にすっぽりと包まれて見上げたあのひとときは
目を閉じれば今でも鮮明に思い出される。
「結局今年は直接会って言えなかったな・・・・」
もうすぐ日付が変わろうとする時計を抱え、白い息を吐いた。
「電話しても大丈夫かな~ぁ。」
自分が素晴らしい演技を見せることが、何よりのプレゼントになると
分かってはいる、いるのだが。
「お仕事の邪魔しちゃだめよね。うん。」
諦めたように一人でうなずくと、せめてもと
屋上のフェンスに寄りかかりながら精一杯背中を伸ばし
空で一番輝いて見える星に向かって語りかけた。
「33歳の速水さん、一年間私を見守ってくれてありがとう!
 34歳の速水さん、いろいろ迷惑かけちゃうかもしれないけど
 これからも宜しくお願いします!!」

お誕生日おめでとう!!!!

その時、マヤの背中になにか暖かいものか重なった。
「!?」
「・・・・間に合ったようだな。」
低くしかし柔らかなその声が背中越しに響いてくる。
「・・・・心地いい・・・」
「?なんだ?」
「速水さんの声が、直接体に届いてくるみたいで」
振り返らなくてもわかる、声の主。
こうして包まれるたびに、自分の居場所はやっぱりここなんだと
再確認できるそんな瞬間。
「速水さんの誕生日なのに、いつも私のほうにいいことが起こる気がする・・・」
ささやくようにはくマヤの言葉が白い息となって消えていく。
「いつも、何もできなくてごめんなさい」
「言っているだろう、君という存在以上のものなど必要ないと」
こうして自分の誕生日を気にかけてくれる人のいる喜び
ただ、こうして寄り添っているだけで得られる幸せ
「俺のほうこそ、つい忘れがちになってしまってすまんな」
来年の君の誕生日にはなにが・・・という真澄の言葉をさえぎるように
マヤが振り向いた。
「会えたら・・・・それだけでいいです。もし、もうひとつかなうなら・・・」
あなたに触れられたら、それだけで幸せです

透明な空気がより一層マヤを美しく見せる夜
真澄にとってなによりも離したくない宝物を
やさしく、そしてしっかりと胸に抱いた。

「この上もなく、幸せだ」

自分の人生に必要のない物だと思っていたこと
生きるために邪魔になるとさえ考えていたもの
それらの全てがこの小さな体一つにつめこまれ、とらわれてしまった

「正直怖いな」

自分が自分ではなくなるのではないかという不安
それ以上に、このかけがえのない存在がなくなることへの恐怖

「誕生日とは、こうも自分の心と向き合うものなのか・・・」

あきらめるという感情すら機械的に処理してきた人生において
これまで自分が得るために失ってきたすべてのことを思い出し
それでも自分の根幹が求めてやまなかった唯一の存在を
真澄は強く抱きしめた。

「このまま、ひとつになれたらいのに」

押しつぶされるようなマヤの声が、今度は真澄の胸にダイレクトに
伝わってくる。

その時・・・・・・
"ピピピピピピ"

「!?」
「あ・・・・!」
マヤの持っていた小さな時計からアラーム音が鳴り響いた。
「・・・・・」
慌ててアラームを止めたマヤはそのまま満面の笑顔で
真澄の顔を見上げた。
「速水さん、お誕生日おめでとうございます!」
その笑顔があまりにも美しく愛おしくて
真澄はゆっくりと顔を近づけた。

「今年も素敵な誕生日をありがとう、マヤ」


**
"きっと今夜は社長がプレゼントを受取りに行くから"

社長秘書の水城からそう連絡を受けていた大原は
マヤが今日に限ってやけに時間を気にしている理由を察した。

そもそも今日はマヤもやけに時間を気にしている風だったし
めずらしく水城からも撮影の進行状況を確認するメールが来ていた。

当初の予定がずれ込むことが確定し、そのことを伝えた直後に
届いたのが上記のメール、もっともその後本当に現れた本人の
様子から察するに、自覚は全くないとみえる。
「ほんとに優秀な秘書様でいらっしゃいますこと・・・」
あのメガネの向こうでいったいどんなことを考えているのやら・・・と
思った瞬間、大原の携帯に着信がかかる。

「はい大原です、あ水城さんお疲れ様です。
 ・・・はい、先ほど。いつもありがとうございます。
 ちょうどスタッフも集中力が切れかけていた所だったので
 今はみんな休憩中です。」
電話の向こうの水城に、大原は社長の到着報告と差入れのお礼を伝えた。

ーマヤちゃんは今どこに?
「マヤはさっき屋上に・・・・、ええひとりです。
 そういえば先ほど社長がスープを持って上に上がっていかれました。」
ーそう・・・・。撮影再開は何時から?
「あと30分もすれば・・・。はい。屋上のセットで撮影です。」
ー・・・・
電話の向こうで何か気をもむ様子の水城に
大原は明るい声で答えた。
「大丈夫です。鍵かけときましたから」
そういって大原は通話を終えた。

もうしばらくしたら、どうやって二人の邪魔しようかな・・・
ひとりこっそりと笑いをかみ殺しながら、ほんのひと時の逢瀬を
邪魔しないようにと、大原はゆっくりと階段を下りていった。

********************
ep第40話←                  →ep第41話


~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
正確にいうと、ep39話とep40話の間の支線エピなので
39.01になるのかもしれませんが、40話と並行して
書いていたので40話の支線としました。

38・39・40話と秋冬シーズンの書き物をしていると
どうしても避けては通れない(避けたいのか!)のが
真澄の誕生日です。
が、どうやりくりしてもこの時期がマヤちゃんにとって
超多忙でして!!仕事をほっぽらかしてお祝いしても
いいんですけど、現実やっぱりそんなことはできないよねとか
そもそもそんなに原作でも触れられてないよねとか
悩ましいのですが、なにより私自身が誕生日を祝うという
習慣を持っておらず、自分でも他人に対してでも
どうやれば喜ぶのか、なにがうれしいのかが全く分からない
のであります。

でも、全くなんにもしないのは不自然かもしれないな~と
40話を書きながらずっとくすぶっていて、それなら
とりあえず支線エピで発散しておこう!と思って書いたのがコレです。
で、しばらく更新を怠っていた功名(?)で
ちょうど現実時間のタイミングも近かったことから
慣れない誕生日企画風に時間を合わせてUPしようかなと
試みました。

ちょうど11月3日になる直前で、つかの間の幸せ
感じられたら幸いです。
ハッピーバースデー、いつの間にか年下の速水さん!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~