(み)生活

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ep第26話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2015-07-22 16:29:03 | ガラスの・・・Fiction
ep第25話←                  →ep第27話
********************
"来ないとは分かってはいたものの・・・・"
やっぱりさびしいな・・・
一人土手で見上げる夜空は、ちょうど去年の今日見た星と同じだった。

去年の今日、ここで告白されたんだ
あの日この地で、真澄はマヤを大きな腕とそして深い愛で包んでくれた
この輝く星に見守られ、私たちは真正面から己の魂の片割れと
向き合った
その優しさも厳しさも全部私の為に向けてくれた、速水さん
私のために、あえて困難な道を選んでくれた人
速水さん、あなたの32歳としての一年間はどうでしたか?
私は少しでも、あなたのために何かできましたか?
大人になると言ったのに、相変わらず子供っぽい私に
あきれてませんか?

初めてこの星を見た時は、自分の中の速水さんへの思いがまだ不安定で
どうしていいか分からなかった
そこへ唐突に現れたあなたに戸惑った
流れ星に込めた願いは、その次に見た星空に叶えてもらった
私に出来ること、それは演じること
それしか取柄がない、だけどだれよりもその取柄を喜んでくれる人、
速水さん、そして、紫のバラの人
あなたの為に大人になりたい、だけど本当は
あなたの為だけに演じたい気持ちも・・・・
プロ失格って、怒られそうだけど
そう思ったらふと、速水の冷徹な睨み顔が浮かんでひやりとした。
「分かってます!」
一人でいたって一人じゃないってこと、この一年でしっかり分かったから、
会えない時間の方が長いけど、だけどそんなこと気にならないくらい
自分のまわりには真澄の愛情であふれている
自分が相手の事を思うとき、相手も自分の事を思っている
その言葉が当たり前のように自分の心に浸透して、満たしてくれているから、
今年は一人でも大丈夫、だけど・・・

「ほんとにきれいな星だね。」

寝転ぶマヤの頭上からきこえてきた声に、マヤは思わず体を起こした。
「!?」
ふりむいたマヤの目が映した人物は・・・・しかし真澄ではなかった。
「・・・・桜小路君・・?」
正直にも落胆しそうになったマヤは気付かれないように強引に語尾を上げてごまかした。
"そうよ、くるわけないじゃない"
そもそも当初は真澄も出席する予定だったのだ。
それがどうしてものっぴきならない仕事が入ってしまい、断念せざるを得なくなってしまった。
「・・・こんなにたくさんの星見るの、僕初めてだよ。」
マヤの気持ちを知ってか知らずか、桜小路は空を見上げて話しかけてくる。
きっと一人で外に出たマヤを心配して追ってきてくれたのだろう。
その優しさが十分に理解できるだけに、マヤは一瞬でも
真澄と間違えて浮かれ、勝手に落胆したことを申し訳なく思う。
「・・・・マヤちゃん・・・」
座るマヤのそばに桜小路が近づいてきたとき、マヤは思わずとっさに
立ちあがってしまった。
「か、帰ろっか?」
まるで言い訳のように風邪ひいちゃいそうと言いながらマヤは土手を後に、
山寺へと帰途についた。
"ごめんね桜小路君。あの場所は、あの席だけは私たちだけの特等席なの・・・・"
言えない思いを心の中に秘めながら。

なんとなく桜小路に申し訳ないような、そんな思いを引きずりながら
戻ってきたマヤだったが、
寺の前に停まる車を見つけた瞬間、駆け出していた。
「速水さん!!」
来るはずないと思っていた人が目の前にいる不思議
しかし間違いなく速水真澄、その人だ。
「どうして?欠席って聞いて・・・ましたけど。」
ギリギリの所で背後にいる桜小路の存在を思い出したマヤは
かろうじて真澄に飛びつく事をこらえていた。
「1件アポイントがキャンセルになってな。急きょ来ることができた。」
そう言ってにっこり笑う真澄の向こう側に、
"なったんじゃなくて、したんでしょ!"
と呆れる水城の顔が浮かんだ気がして、マヤはプっとふきだした。

「ちょっと寄っただけなんだ。理事長たちと同じ所に宿もとってある。」
一目でいいから会いたかった、という気持ちを、視線だけでマヤに伝える真澄。
「ですけどっ、せっかくだからお茶だけでも!!」
そういって真澄の腕をとるマヤの目は少しうるんでいる。
ここには今マヤと桜小路、そして黒沼しかいない。
黒沼はともかく、桜小路が自分とマヤとの関係を知っているのかどうかは
定かではないが、いずれにしてもマヤがこうして外で露骨に
自分に感情を見せる事はめずらしい、というよりほぼない。
"何かあったのか?”
そんなマヤに引きずられるように真澄は山寺の中に入って行った。
部屋の中で、既に出来上がっている黒沼、そして桜小路と共に
マヤのいれたお茶を飲む。
先ほどのマヤの表情は既に消え、いつもの落ち着いた北島マヤが
にこやかに笑う姿を見て、真澄は少し安心した気持ちで足をくずした。
その時視界の端に、何ごとか口に出そうかどうか迷っている様子の
桜小路の姿が入る。
しかしその声が外に出る寸前、黒沼が桜小路を連れ立って席を離れていった。
"やはり黒沼さん、酔っ払っているようで全部お見通しだな"

「さっきね、星を見てきたの」
二人きりになった安心感からか、マヤがいつもの二人だけの時に
見せる雰囲気を身にまとう。
「さっき?ああ、桜小路と一緒に戻ってきた時か」
真澄に特に他意はなかったが、マヤはその言葉を別の意味に
とらえたようで、
「ちがうよっ!一人で見てたの!そしたら桜小路君が、
 多分心配して探しに来てくれたみたいで・・・」
顔を真っ赤にしながらかけられてもいない嫌疑を必死に釈明しようとする
マヤがとても愛おしくて、真澄は少しいじわるが言いたくなった。
「・・・・座らせてないだろうな」
俺達の特等席・・・・そうマヤの耳元でささやかれたマヤは
「もちろんです!!!」
となぜか得意げに胸を張って答えた。
「ハハハハハハハハ!そうか」
ポンポンとマヤの頭をたたきながら、その手をマヤの髪におろしていく。
「ていうか、とっさにダメって思って帰ってきたんです。
 でも、なんだか関係ないのに桜小路君に悪いことしたようで・・・」
真澄が思っている以上に、マヤがあの星空の思い出を大切にしてくれている
気持ちが痛いほど伝わり、思わず抱きしめたくなる。
しかし、いつ桜小路が帰ってくるか分からない。
衝動を抑えるため、真澄は話題を変えた。
「・・・・ここで君は紅天女の稽古を積んでいたんだよな」
どんな稽古をしたんだ?と問う真澄。
部下から随時報告を受けてはいたが、結局紅天女の一節を
演じる最終エチュード以外、真澄は直接目にすることはなかった。
「風火水土、それぞれの演技を・・・・」
風では演技をしろと言われていたのに風になりきってしまって先生に
指導されたことや、水の演技の亜弓の美しさについてなどを話しながら、
マヤは当時を思い出していた。
真澄の事を思いながら過ごした日々。
演技に集中しようとしても、浮かんでくるのは速水の事ばかり。
そんな中、今となってはではあるが真澄の義父、英介に
教えてもらった千草の火のエチュード・・・・
マヤはその当時の精一杯で燃える恋心を演じた。

「・・・見てくれますか?私の演技。」
いいえ、見てほしいです、速水さん
「見て下さい、私の"火"・・・」

**
しんと静まり返った本堂
数本のローソクの明かりだけが暗い室内にゆらめいている。
広々とした本堂にひとり座る真澄はどこか緊張していた。
その時、おもむろに扉の開く音がする。
"マヤ、いったい君はどんな演技をしようというのだ
一体何を俺に見せようというのだ・・・・"

ささやかな衣擦れの音をさせながらふらふらと
入ってきたマヤは
どこか宙をさまよう視線のまま
明日の祈祷で使用する、紅天女の打掛を
乱雑に身にまとうと、ゆったりと帯を締めた。
そしてーーー

"火つけは死罪・・・・もしみつかれば殺される・・・・"
"火にあぶられて 殺される・・・・"
"ああ・・江戸の町が燃えている"
"赤いよ 吉三さん 江戸の空が赤いよ・・・" 
"吉三さん 会いたい おまえに会いたい"
"この鐘が鳴ればまたおまえの寺へゆける!"
"火事をのがれてまたお前の寺へ・・・"
"以前のようにあの寺でおまえとすごせる"
"吉三さんおまえと・・・"
"たとえ火つけの罪で死罪になろうとも・・・"
"燃える・・・江戸の町が燃える・・・"
"吉さん もうすぐだよ おまえと会えるのももうすぐ・・・"
"ほれ・・あんなに火が・・・"
"ああ・・・熱い、熱いよ吉さん"
"燃える・・・なにもかも燃えていくよ"
"おまえとわたしのなにもかも・・・"


恋しい人に会いたいために江戸市中に火を放った八百屋お七
その狂おしいまでの恋の炎、身を焦がすほどの火の熱が
しんと静まり返った冷たい空気の中に確かに存在し、
真澄の視線は1ミリもマヤから外せない。
"マヤ、いつの間にこんな演技が・・・・こんな狂おしいまでの恋の表情が・・・"
マヤの瞳の中には確かに愛の炎が燃えていて、
止められない思いが狂気の沙汰へと導いていくように
マヤの体を破滅の火の中へ引きずり込む。
そして吉三への恋心と共に業火にまかれたマヤのお七は
床に突っ伏したまま最後のくすぶりを残し終わった


「マヤ、大丈夫か!」
気付けば真澄はその体をきつく抱きしめていた。
冷え切ったはずの室内で、真澄は全身に汗をかいている事に気付く。
意識は少しずつ、現実世界へを戻っていく。

「・・・・言われたんです、先生に・・・」
真澄に体を預けていたマヤが少しけだるげに体を起こしながら、
語り始めた。お七の余韻を残したまま・・・
「私の演技、”恋する女の狂気が感じられない"って」
私が本気で恋をした時、もう一度私の演技が見てみたいって
「速水さん、どうでした?私は恋をしてましたか?
 私の火は、本物の恋を表現できていましたか」
そういうマヤの瞳は、今もしっかりと炎のように揺れていた。
そしてその視線はしっかりと真澄を捕らえ離さない。
真澄は再度優しくしかししっかりとマヤを胸に抱く。
「君に、このような思いはさせない。恋の狂気なんて知らなくていいから」
この手の中にある小さな存在が見せた危ういまでの恋の炎
それはまさに本物の恋を経験した演技だった。

俺はいつでも君の側にいる。もう君を手放さない。
君が燃えつくされる時は、俺も一緒だ。
「君は一体、どんな思いでこんな演技を・・・・2年前にしていたんだ」
「全部速水さんが教えてくれました。」
真澄の胸に顔を預けたまま、マヤがゆっくりと言葉を紡ぐ。
私の心に燃える思いも、戸惑いも、嫉妬も、そして
会いたくてたまらなくなる、切なさも
「全部速水さんです。私は全部、速水さんです。」
たとえ演技だとはいえ、マヤの心の中にこのようなつらい思いを
させたくない。
「すまないマヤ・・・っ。
 これまで君にどれほど辛い思いをさせてきたか・・・」
しばらく無言で抱き合っていた二人には、互いの鼓動だけが
共鳴し響いていた。

「・・・・あんなに大きなこといったのに・・・・」
それほど経っていないはずなのに、久々にマヤの声を聞く気がする
「女優の私も、普段の私も、どっちも愛してほしいなんて・・・・」
随分と自信満々な事をいいまして・・・・と恐縮する姿は
いつものチビちゃんの姿に戻っていた。
「私の存在は、普段の速水さんも大都芸能の速水さんも
 どっちの速水さんにとっても・・・その・・・・」
支えになってますか?と濡れた目を真澄に向けた。
「32歳の速水さんに、私はなにかできましたか?」
その言葉を聞いて真澄は、明日が自身の33回目の誕生日であることに
気付いた。
「君がいてくれるだけで、
 君にこうして言葉でこの気持ちを伝えられるだけで、
 俺がどれほど救われているか、君は分かるか?」
しばらく真澄を見ていたマヤはゆっくりとそのやわらかな唇を
真澄のものと重ねあわせた。
「・・・・最初から最後まで、私です。」
速水さんの32歳のはじまりと、32歳のおわりはどっちも私がもらいました。
「それならば・・・・」
おれの33歳の始まりまでもう少し、このままで・・・・・

重なり合う二人の影は、薄明りの中で静かに熱く燃え上がっていた。


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~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
マヤの隣の特等席は渡しません!!(笑)
桜小路君、本当に不憫なヤツ・・・

本堂のシーン、途中から桜小路君覗き見してます
いったいどこからどこまでを見ていたのでしょう・・・

交際一周年を無事に迎えたマヤと真澄ですが、
次の一年は一体どんな年になるのでしょうか。
もう少しのんびりとお話を進めてから、
マヤには華やかなザ・女優人生を歩むべく
ステップアップして頂きましょうか。
それともこのまま舞台を降りれば普通の子の
スタンスで行ったほうがいいのか・・・

まだ焦点定まりません。
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