(み)生活

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(孤独の)孤独のグルメマップ (2019.01.18)・・記事はこちら ※2018年大晦日SP更新完了※

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ep第24話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2015-07-09 14:59:22 | ガラスの・・・Fiction
ep第23話←                  →ep第25話
********************
「明日は映画の撮影お休み。今晩一旦東京に戻って、明日はCMの撮影よ。」
山小屋のロケ地に現れたチーフマネージャー大原の言葉に、マヤは
しばらく会っていない真澄の事を思った。
「CMって、この前言っていたシャンプーのですか?」
「そう。しばらくすっぴんメイクで泥だらけだったけど、
 明日は久々にきれいな恰好ができるわよ。」
そう言ってにっこりと笑った大原に、照れ笑いで答える。
「ちゃんとできるかな~、ていうか私なんかで大丈夫ですかね。」
相変わらず自分に自信が持てないマヤに、
明日一日のスケジュールの流れをざっくりと説明すると、
「今日東京に戻れるのは恐らく深夜になってしまうと思うから、
 撮影に備えて車の中でも仮眠をとってね。」
お肌ピチピチで臨まないとね!とマヤのほっぺたを両手で柔らかくつぶして笑った。
「あ、あの大原さん・・・あの・・・・」
「え?ああ・・・大丈夫!社長がこの機会を逃すはずがないわよ。」
マヤの気になる事はお見通しとばかりに大原が軽口を飛ばす。
「随分と久しぶりなんじゃない?社長と会うの。」
最後に会ったのは、二人で伊豆の別荘に行った8月末。
もうかれこれ半月ほど会っていない。
「久しぶりに会ったら社長、びっくりするかもね。」
「え、何でですか?」
マヤちゃんがワイルドになってて・・・という冗談にぷくーっとほほを膨らませるマヤ。
「ごめんごめん、うそうそ。・・・・そうね、せっかく久しぶりに会うんだし、
 ちょっとぐらいビックリさせたいわよね。」
そう言っていたずらっ子のように大原が笑った。
「社長は多分、直接撮影スタジオにいらっしゃると思うから、
 すっごく大人っぽくきれいになって社長を迎えてあげましょう!
 きっとびっくりして挙動不審になるわよ。」
見たい、見たすぎる・・・むしろ大原の方の熱意が強かったが、
マヤは自分がそんなにガラッと変身できるとは疑問だった。

"速水さんに会える、速水さんに会える"
大原の言葉はさておき、マヤは久しぶりに会えるかもしれない
真澄のことを考えて物思いにふけっていた。
現在ロケ場所は山奥のため携帯電話の電波が届きにくく、
電話で話すこともままならない日々だった。
メール一つ送るにも、電波を探して移動する必要があるため、
必然的に回数も少なくなる。
"大人っぽくてびっくり、とはいかないだろうけど、
やっぱり久しぶりだから、なんか緊張するな・・・”
百面相のようにくるくる表情が赤くなったり青くなったりしている
マヤに、是永監督が声をかける。
「マヤちゃん、なにかいいことあったの?」
「え?い、いえ別に・・・」
「今日夜東京に戻るんだったよね、あ~もしかして彼氏とデートとか?」
「ちちちち違います!!仕事です!」
顔を真っ赤に否定するマヤを見て笑いながら、是永はごめんごめんと
マヤの肩をポンポンと叩く。
「監督~、マヤちゃんいじめちゃだめでしょう~!」
そこへ境もやってきた。
「いじめてないよ~。マヤちゃんが、明日は彼氏と会うっていうから・・・・・」
「だだだから、違いますって!!」
「そっか、それでマヤちゃん今日はいつもと違ったんだ。」
ひょうひょうと境が言った言葉に、マヤは質問をする。
「え?私何か違いました?」
「う~ん、なんていうのかな、今日の演技はいつもより感情が出てたっていうか、
 ま、あかね役はほとんどセリフがないからそんな違いは分からないんだけど、
 何を考えているのか分からない少女の、中が少し見え隠れしたというか・・・。」
そんな境の言葉にマヤはどきりとした。
確かに今日は朝から明日の事を考えて浮かれていたように思う。
もちろん撮影の時は役に集中してあかねになりきって演じていたが、
心のどこかで素の北島マヤが出てしまっていたのではないか、
それを境は見抜いていたのではないか・・・。
「か、監督は?監督もそう思われましたか?」
「うん?そうだな・・・、今日撮ったシーンは雄哉メインの所ばかりだったから、
 僕はそんなに気にならなかったけど。」
「そう・・・ですか・・・。」
どちらかというと役者に合わせた撮影をしてくれる是永は、決して否定的なことは
言わない。
しかしマヤには、是永も境と同様の印象を受けていたことが伝わった。
「・・・・すみません。私情を挟んで演技に集中していなくて・・・。
 午後からの撮影は、気持ちを切り替えて臨みます。」
深々と頭を下げると、ぽかんとした二人を後に、マヤは山の方へと駆け出して行った。
「もしかして、ほんとに彼氏と会う予定だったりして・・・・」
残された男二人は目を見合わせた。

**
「・・・・で、この惨状というわけか。」

翌朝AM8:00
マヤの東京の自宅マンションには、困り果てた様子のマネージャー大原と
あきれた様子の真澄、そしてブランケットにくるまって落ち込むマヤの姿があった。
「ごめんなさい・・・・・」
所在なさげに謝るマヤの目は赤く、クマまで出来ている。

「確か俺の所に来ていたスケジュールでは、今日は午前中エステで全身を整えた後、
昼に衣裳合わせ、午後からスタジオで撮影だと聞いていたが・・・」
「はい。それで今朝マヤちゃんを迎えに来ましたらこのような有様で・・・・
 なんでも昨晩ほとんど眠れなかったみたいなんです。」
昨日の映画撮影でうまく役に集中できず迷惑をかけたことを気に病んだマヤは、
東京に戻ってきた後もずっとそのことが気になって眠れず、
久々の自宅でもどんどん目が冴えてしまい、結局明け方近くまで
あかねの表情の演技をやってしまっていたのだ。
「とりあえず連れて行こうかとも思ったのですが、あまりにも顔が
 ・・・その・・・・ひどいので・・
 まずは社長にご連絡をと思いまして。お忙しいさなか本当に申し訳ございません。」
謝る大原に、
「いや、むしろ速やかに連絡をしてくれて助かったよ。」
とお礼を言う真澄。
当初の予定では真澄は午後からのスタジオ撮影に立ち会うつもりで、
今日はいつもより早めの出社準備を整えていた所に、
大原からの連絡で慌ててここへとかけつけていた。
「それにしてもなんだって演技に集中できなかったんだ?」
「それは・・・・・ええと。。。。」
久しぶりに速水さんに会えると思うと嬉しくてつい、感情が出すぎてしまい、
それを共演者に指摘されたのだと、か細い声でマヤが答えた。
「・・・・」
「・・・・ごめんなさい。女優失格な事を。」
真澄はいつもの仕事向きの顔を崩すことなく、
大原にそのことについて改めて聞いたが、
大原もマヤが気に病むほどの大きな失敗ではなかったはずだとフォローする。
「・・・・しかし自分で自分が許せないと。そういう訳だな、マヤ。」
コクリとうなずくマヤの目からは今にも涙がこぼれそうだ。
「おまけに失敗を引きずって今日のCM撮影にまで影響が出ちゃうなんて・・・
 ・・・ほんとにごめんなさい」
何度言ったか分からない謝罪の言葉が続く。
これで大泣きもされたら本当にたまらないな・・・
真澄はフッと肩の力を抜くと、
「大原くん、今日のエステのスケジュールを3時間ほど遅らせてくれ。
 どれぐらい回復するか分からないが、とりあえず今からマヤに仮眠を取らせる。
 撮影のスケジュールはあまりずらせないだろうが何とか調整を頼む。
 エステはフェイシャルを中心に切り替えて、デコルテぐらいまでできれば
 なんとかなるだろう。」
エステルームには俺が連れて行くから、という真澄の言葉に
分かりましたとうなずき荷物を抱えた大原は携帯片手に
「じゃ、マヤちゃんは社長にお任せしますっ!」と部屋を後にした。

部屋にはマヤと真澄、そして気まずい沈黙が残る。
「・・・・・」
「・・・・・マヤ・・・」
ビクっと肩を震わせマヤが真澄の顔に視線をよこす。
その姿に、いろいろ言いたい事はあったが、とりあえず、
「まずはベッドに移動だ。」
とブランケットにくるまったままのマヤを抱え上げると、ベッドルームへ運んだ。

「うぁっ!!」
ベッドに運ばれたあとしばらくして、マヤの視界はふいに遮られ
まぶたにじんわりと温かい感触がかかる。
それが蒸しタオルだと気づいた時、マヤの頭を優しくなでる気配がした。
「時間が来たら起こしてあげるから、少し休みなさい。」
カーテンも閉じられ、暗くなった寝室、
目の上のほわっとした温かさが、枯渇したマヤの体にじんわり熱をおくる。
「・・・ごめんなさい。また迷惑かけて」
「いいから、休みなさい」
「でも・・・速水さんだって忙しいのにこんなことで
 ごめんなっ・・・うっ・・・」
暗闇の中、マヤは自分の言葉が柔らかいもので
ふさがれる感触とともに封じられたのを感じた。
「・・・」
「・・・・俺の方こそ、社長失格だ。」
マヤの髪を弄ぶ一定のリズムはそのままに、さっきより
ずっと耳のそばで、真澄の低く柔らかな声が響く。
「え?」
「君が俺に会いたがっていたと聞いた時、
 こんな状況にも関わらず心が喜ぶのを感じたよ。
 所属事務所の社長として、君を叱らなければならない立場でな。」
真澄の声が、蒸しタオルの熱とともにじんわりと
マヤの体に浸透してくる。
「ずっと会えなかったんだ。会いたいと思って心が踊るのは
 人間なら当然のことだ」
"俺だって、どれほど今日を待ちわびていたか"
「今は俺のことだけ考えろ。」
"俺も、君の事だけ考えていたい"
優しくマヤの手を取ると、真澄はゆっくりとその指に
唇を当てた。
「目が覚めるまで、そばにいるから。」
その言葉に安心したのか、じきにマヤの口からスースーと
規則正しい寝息が漏れてきた。
会いたい時に会いたいとも言えず、
会える喜びも時に心に秘めることを強いている
マヤ、俺は君の恋人も失格なのかもしれないな。
それでも君が羽ばたく姿を見るのは、きっと嬉しい。
いつかの辛く長い夜よりはずっと幸せだ。
真澄は飽きることなくマヤの髪を撫で続けていた。

**
真澄に連れられ3時間遅れでエステルームに到着したマヤは
朝のひどい状況とはうって変わってすっきりした表情で、
大原は、いったい真澄はどんな魔法を使ったのだろうと
思うほどだった。
「何をされたんですか、社長・・・」
エステウェアに着替えるため更衣室にマヤが向かった後、
つぶやくように大原が言った。
「特には。ただ寝かしつけただけだ。」
短時間でも質の高い睡眠とすっきりとした目覚めは、
一晩の睡眠にも勝る、そういうと
真澄は一旦社に戻ると言い残し、後にした。

その後フェイシャル中心に施術を受けたマヤは、
いつものハリのあるつややかな表情を取り戻していた。
「ほんと、たった数時間の睡眠でここまで回復するなんて・・・」
これが若さかしら、という言葉を飲み込みながら大原はマヤを
スタジオに連れて行った。
「今日は本当にご迷惑をおかけしました。」
身も心も落ち着いたのか、今朝の濡れ鼠のようなマヤは
もういなかった。
「とんでもない。社長の言うとおり、短時間でも
 ぐっすり眠ると違うのね」
大原の言葉に、何故かマヤの顔がちょっと赤くなった気がした。
「?どうしたのマヤちゃん、暑い?」
いいえ、なんでもないですと口ごもるマヤの様子に、どうやら
真澄の仕掛けた魔法はそれだけではないようだと察した。
「あ、そうだ大原さん、一つお願いが・・・」
スタジオに着いて衣裳合わせをしている時、マヤは大原に
自宅に忘れ物をしたので持ってきてもらえないかとお願いした。
数時間遅れの撮影開始となったが、撮影は順調に進み
なんとか今日中に終えられそうな見込がたっていたその時、
急にスタジオにピリっとした空気が流れた。
「お疲れ様です、速水社長!」
大都芸能社長速水の登場に、スタッフや関係者の背中が伸びる。
「今日は急な時間変更で本当にご迷惑をおかけしました。」
これ、もしよければと、差入れの箱を脇の長机に運び入れる。
ちょうど長時間の撮影で疲労してきた体が喜ぶ甘い差入れに
歓声があがる。
「君の分もあるぞ、チビちゃん」
と、いまや懐かしい昔の呼び名でにこやかに近づいてくる真澄に
マヤはにっこりと笑顔を見せた。
「速水さん!」
「朝の様子からは全く想像もつかないくらい、うまく化けたもんだな。」
またそんなことばっかり、とほっぺたをふくらませるマヤの頭を
軽くぽんぽんと叩きながら、
「ごめんごめん。でも安心したよ、何とか撮影も無事にいきそうで」
と笑った。
「速水さんのおかげです。ありがとうございました。」
「いや、俺の責任もあるからな。気にするな。」
「え?速水さんのせいでは・・・」
「だって・・・」
俺に会いたかったからだろう、とマヤの耳元でささやき、赤面させた。
「ほら、この後最後のシーンだろう。しっかりやりなさい。」
と、スタジオの端に移動していった。

「じゃあマヤちゃん、最後はこのカメラに向かって
 満面の笑顔を見せて。
 そう、最初は妖艶な表情から、
 大好きな人を見つけた時の子どもみたいな弾ける笑顔で!」
妖艶な表情って・・・と思いつつもマヤは何度か挑戦するがなかなか
OKがでない。
「もう少し、はかなげで脆い内面が見え隠れする顔なんだけどな、
後でもう一回撮ろうか」
結局、少し休憩を挟むことになった。

「妖艶な顔って言われても・・・どんな顔なのか・・・」
大原の差し出した水を飲みながら、マヤがぶつぶつ言っている。
「でもマヤちゃん、紅天女ではいつも妖艶な演技してたじゃない。」
そういわれても、マヤにその自覚はない。
「どのシーンですか?阿古夜の時?紅天女の時?」
「え、と・・・それは・・・」
「どっちにしろ、今日の撮影では紅天女の表情は向かないだろうな」
頭上から真澄の声が響く。
現代の若い女性にアピールするのに、時代劇の演技では重厚すぎる。
「もっとシンプルに考えろ。」
「シンプルって・・・、じゃあ速水さんはいったいどんな時に
 私が妖艶な顔をするっていうんですかー!!」
マヤの大きな声がスタジオに響き、一斉にスタッフが振り返る。
「ばか、声が大きい・・・」
慌ててマヤの口を手でふさぐ真澄は、そうだな例えば・・・と
何やらマヤに耳打ちした。
「!?」
「大丈夫、君ならやれるさ」
そう言っていたずらっ子のようにニヤリと笑った。
「じゃあ速水さん、代わりに・・・」
今度はマヤが真澄に耳打ちする。
「・・・分かった。協力しよう。」
はたからみると恋人同士がじゃれあっているように見える二人だったが、
不思議なことに冷徹鬼社長とまだまだ子どものようなマヤの
掛け合いは、昔も今もそういった雰囲気を一切感じさせないものだった。
"ま、知ってる者にしたら当てられる以外の何物でもないんだけどね"
隣に立つ大原だけが苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

「そうそうその顔!最高だよ!マヤちゃん !!」
その後の撮影は一発OK、何とか無事CM撮影は終了した。

「お疲れ様でした」
マヤの着替えを待つ間、控室には大原と真澄が残された。
「今日は本当に朝から夜まで大変だったな、大原くん」
「いえ、仕事ですから。それに、無事にすめば何があったって
 いいんです。」
この後のビールが美味しくなるし、という所までは、
さすがに社長に言うのははばかられた。
「この後社長は?」
「社に戻る。仕事が終わってないものでね」
明日までに終わらせておかないと水城くんになんといわれるか、
と首をすくめた真澄の様子に、何だかんだで社長も
マヤのことが心配で仕事が手付かずになっていたのだろうと、
似たものカップルに同情した。
シャワーも浴びてすっきりした顔のマヤが戻ってくると
風邪をひくから早く髪を乾かしなさいと真澄にうながされ
ドライヤーに手を伸ばすマヤ。
そんな二人の邪魔をしてはいけないと、大原は
なにか軽食を買ってくると言い残し部屋を後にした。
「もう帰るだけなのに、大原さんってば」
残されたわずかな時間を二人だけで過ごさせようという
大原の気遣いに真澄は感謝しつつ、マヤのまだ湿った髪をひとすくい
つまんだ。
「本当に今日は朝から大変だったな。」
とつぶやいた。
「速水さんのおかげで、何とか乗り切れました。
 ありがとうございます」
「短い時間だったが、ぐっすり眠れたようだな。」
「はい、あの蒸しタオルが気持ちよかったです。それに」
速水さんの声に、とっても安心しました・・・と顔を赤らめながら
答える。
「でもあれは反則です!」
ふと思い出したように声を上げたマヤ、何が?と問う真澄に
「あんな起こし方・・・ごにょごにょ」
「ははは、でもすっきり目覚めただろ」
顔を赤らめるマヤと対象的にクールな真澄がうらめしい。
「普通に揺すって起こしてくれればちゃんと起きます!」
「そうか、てっきり姫はキスがないと目覚めないのかと思っていたが。」
いつものマヤをからかう時の取り澄ました顔のまま、タバコをくゆらす。
「・・・キスだけじゃなかったじゃない・・・」
ぼそっとつぶやくように言ったマヤの声は届かない。
「ん?何か言ったか?」
「い、いえ、もういいです・・・」
思い出して恥ずかしさMAXのマヤはもうこの話をやめることにした。
「でもそのおかげで今日の撮影もうまくいったじゃないか。」
「速水さん!!」

ーー最初は妖艶な表情から、
 大好きな人を見つけた時の子どもみたいな弾ける笑顔でーー

最後のシーンの撮影前に真澄が言った言葉をマヤは思い出し、また
ひとしきり赤くなった。
"今日の朝、俺に起こされた時の顔、あれはとても妖艶だった。
あの時の気持ちを思い出せばいい"
ほんとこんなセリフ似合っちゃうなんて速水さん、ずるい
「そこはともかく、最後は確かに速水さんのおかげです!
 ありがとうございました」
ぺこりと頭をさげるマヤを見ながら、
今度は真澄がさきほどの事を思い出していた。
"撮影始まったら、カメラの近くに来てくださいね、速水さん"
 速水さんの姿見つけた時の顔すればいいんでしょ!
そう言ったマヤの屈託のない笑顔が真澄をとらえて離さない
かろうじて衆人前で抱きしめることを堪えるのが
精一杯だった真澄は、改めて自分の中にあるマヤへの
熱く燃える想いを再認識せざるを得なかった。
こんな言葉を、当たり前みたいに言うんだからな、
まったく俺の方こそ君に振りまわっされぱなしだ・・・
だから君から目が離せない。
君の事を思ってやまない。
その時ふと、真澄は先日マヤのことをゴリ押しだと批判した
大都の若手の事を思い出した。
マヤの舞台を見て勉強しなおせと言ったら、
すぐにコンテンツ部に資料を取りに行ったらしい。
裏でその報告を受けていた真澄は、
演劇の事も、マヤの事もよく知らない若い世代が、
”本物”に触れた時にどんな感情を抱くのだろうと
興味を馳せていた。

「あそうだ、これ。昨日持ってきたんです。
 まだ形はいびつですけど使ってくださいね」
撮影前に大原にとってきてもらった忘れ物、
新聞紙にくるまれた物を真澄に手渡した。
「これだったら一番速水さんに使ってもらえると思って!」
そばに置いててもらえたらうれしいなーというマヤを、
真澄は今度こそ気兼ねなく抱きしめた。



ep第23話←                  →ep第25話
~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
前話の裏側(前話が裏側?)にあたる話です。
はてさて一体真澄さんはどうやってマヤを
起こしてあげたのでしょう。
私の予想では、あーやってこうして、
これくらいまではしたんではないかと
思っていますが・・・(笑)
ぐっすり寝てすっきり起きる、これ大事ですね。

仕事はきっちりこなしつつも、たまにこそこそと
いちゃつくというのがこれまた大好物でして・・・
マヤと真澄にも、ばれない程度に外でいちゃいちゃ
して頂きたい!
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