散日拾遺

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1月24日 ベーデンーパウエル卿とボーイスカウト

2024-01-24 10:17:00 | 日記
 晴山陽一『365日物語』(創英社/三省堂書店) P.29

1月24日 ベーデンーパウエル卿がボーイスカウトを設立する

 1908年1月24日、青少年のための野外活動を行う団体、ボーイスカウトの事務局がロンドンで設立された。
 ボーイスカウトは、イギリスのロバート・ベーデンーパウエル卿の刊行した『スカウティング・フォー・ボーイズ Scouting for Boys』という小冊子を通じて広がった野外活動を主体とした青年教育の団体で、世界各国で現在も活動を続けている。
 ベーデンーパウエル卿は、19歳で陸軍見習い士官としてインドに赴任し、軍事的には重要視されていなかった「測量、偵察、斥侯」の方法を学び、後にそれらを体系的にまとめた小冊子『偵察と斥侯(スカウト)』を作成した。その後参加したボーア戦争で軍功を挙げ、一躍英雄となった。
 イギリスに戻ったベーデンーパウエル卿は、著書『偵察と斥候』が教育の場でも取り上げられていることを知り、青少年の教育のために自分の体験を活かした本を出したいと考えた。そこで1907年ブラウンシー島で21人の少年と訓練キャンプを行い、青少年の野外教育プログラムを実践。翌年『スカウティング・フォー・ボーイズ』を発行した。この本は少年たちに熱狂的に受け入れられ、ボーイスカウト運動の基盤となった。

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 ボーイスカウトのスカウトが「斥候」の意味であることを初めて知った。
 ボーイスカウトに熱中する少年たちが、なぜか親戚筋に多かった。母方の従兄、父方の従弟、年下の義兄、そして甥、いずれも座学の教室ではひたすら息を潜めて力を溜め、体育や野外活動となると、やおら実力を発揮するタイプ。テントを張るだの、焚火を起こすだのとなれば頼もしい限りで、そうした習性は高齢に至っても彼らの生活の基軸となっている。
 僕は自然の中で過ごすのは大好きだが基本的に受け身なので、眺めたり観察したりしていれば十分満ち足り、斥候の能動性を求めることはあまりなかった。ただ、時おり不思議に感じたのは、彼らが自慢げに教えてくれるのと同じことを、父から教わる場面があったことである。
 たとえば、一枚の紙を折ってコップをつくり、これに水を入れて火で温める。火の熱は紙を燃やさず水を温め、立派に湯が沸かせるといったこと。あるいは、暗がりでものを見る時は、視野の中心ではなく周辺で見るのがよいこと。風呂の湯が熱い時には、手首から先を湯から出すだけでよほど熱さがまぎれること。その他あれこれ。
 父はこれらを陸軍幼年学校で教わった。ベーデンーパウエルが退役将軍であったことを知り、深く得心するところがある。
 戦場で将兵として役立つためのスキルと、自然の山野を仲間とともに健やかに楽しむためのそれには、技術的に見て共通する部分がきわめて多い。「眠らない狼」と敵から賞賛され、マフェキングの英雄とも呼ばれた、卓越した軍人ベーデンーパウエルは、何よりもこの点について熟慮に熟慮を重ねたはずである。その実りでもあるのだろう、たとえば下記の解説の中に「愛国心」ではなく「国際愛」が掲げられていることが、何より注目に値する。
 「ちかい」と「おきて」の緊張関係もまた素晴らしく、とりわけ日本語の美しさの中にしっくりとおさまっている。

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 ボーイスカウト運動には次のような特徴が上げられます。
  • 青少年の自発活動であること
  • 青少年が、誠実、勇気、自信、および国際愛と人道主義を把握すること、
  • 健康を築くこと、人生に役立つ技能を体得すること、
  • 社会に奉仕できることの人格・健康・技能・奉仕を4本柱としていること。
  • 幼児期から青年期にわたる各年齢層に適応するよう、
    年齢に応じた部門があり、それぞれのプログラムが一貫していること。
 そしてボーイスカウト教育が他の青少年団体と異なるところは、何よりもそのプログラムにあります。
 それは、「ちかい・おきて」の実践、班制教育、進歩制度、野外活動を取り入れていることです。
 ボーイスカウト教育は、どのようなときにも、どのような場でも、すべての活動は「ちかいとおきて」の実践を基盤において行われています。「ちかい」は、自分自身に対して誓うものであり、また「スカウトのおきて」は毎日の生活の物差しとして自分の行動を律するものです。

  
初代ギルウェルのベーデン=パウエル男爵、ロバート・スティーヴンソン・スミス・ベーデン=パウエル(Robert Stephenson Smyth Baden-Powell, 1st Baron Baden-Powel of Gilwell, OM, GCMG, GCVO, KCB, DL、1857 - 1941) Wikipedia より

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