2015年10月18日(日)
土曜の晩に絵を見てオペラを見て、さっさと休んで日曜は早起きし、三里塚教会へ。日暮里から京成線に乗るのが安くて簡便、ただ成田空港へ向かう特急で、それほど混んでいるわけではないのに何となく落ち着かない。旅行を終えて帰る外国人観光客、これから出かける邦人旅行者、それぞれの緊張やら疲労やらが伝わってくるようである。そう、情緒や気分は如実に伝わるのだ。
窓から入る日光は明るく、千葉の空は広い。日暮里から京成成田は62分かかる。佐倉を過ぎての駅名に昨年のことを思い出した。佐倉、大佐倉、酒々井、宗吾参道、公津の杜・・・成田山へ徐々に近づくのが駅名から分かる。酒々井(しすい)は教わらなければ読めない地名で、親孝行息子の井戸から酒が湧いたという伝説にちなむのだという。
・・・その昔、老いた父親と孝行息子がいた。 息子は、父親に好きな酒を飲ませたいと、毎日せっせと働いた。 ある日、仕事にあぶれて金がなく、酒を買えなかった。 肩を落とした帰り道、ふと道端の井戸から酒の香りが漂ってきた。 見ると井戸から酒が湧き、息子はそれから毎日、父親に酒を飲ませることができたという。伝説の井戸は、鎮守・麻賀多神社(佐倉)の御神酒を造っていた円福院神宮寺の井戸とされている。 寺は江戸期に衰退し井戸も埋まり、傍らの板碑(板石塔婆)だけが残っている。
(ぐるり房総>房総のまち>酒々井町 http://homepage3.nifty.com/f-shima/bouso/sisui.html)
ということは、江戸時代よりはだいぶ古い伝説の由来なんだね。美談ではあるけれど、この孝行息子はアルコール依存症である父の enabler とも見ることができる。それはともかく、成田山へ徒歩で向かう人々は、道々こんなことも語りかわしながら参詣の気分を高めていったのだろう。
などとありがたく借景しつつ、僕の詣でる先は成田山新勝寺ではない、日本基督教団三里塚教会である。前回と同じく、駅までWさんがわざわざ出迎えてくださった。
礼拝には幼稚園児の母父ら20人ほどが出席、明らかに外国人と分かる人が父母一人ずつ。「子どもを招く主イエス・キリスト」と題して30分ほど話をし、大多数は真剣に聞き入ってくれた。終了後に幼稚園の園舎で心のこもったおもてなしをいただき、まったくもって遠足気分である。
野村先生御夫妻とテンマくんの元気な姿を確かめ、秋の三里塚詣ではめでたく終了した。ああ、美味しかった!