京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

入道雲

2012-07-30 | インポート

 京都では、連日35度を越える猛暑日が続いている。

 青い空に、入道雲、ときおり、夕立。

 正に夏である。

 

 入道といえば、平清盛だ。

 いや、なかなか強引だ。

 ともあれ、大河ドラマの平清盛は、今どの辺りなのだろう。

 

 平清盛関連の出来事の中に、「鹿ケ谷の陰謀」と呼ばれる事件がある。

 鹿ケ谷とは、京都の東山山腹、銀閣寺より少し南の辺りの地名。

 その時代、鹿ケ谷には、俊寛僧都の山荘があった。

 この山荘で、平氏打倒計画が謀議された、というのが、この事件の概要である。

 瓶子<ヘイジ>(徳利)が倒れて、平氏が倒れた!とはしゃいで見たり。

 首を落とせ、と、徳利をくびれのところで割ってみたり。

 大学サークルの飲み会ばりの悪乗りで、宴会が行われたという。

 

 その鹿ケ谷の地名は、今もその辺りに広く残っている。

 桜の名所で知られる哲学の道の辺りがそうだ。

 俊寛の山荘の跡は、哲学の道の中ほどから、山手のほうへ上がっていったところにある。

 霊鑑寺という門跡尼寺の横を、さらに山のほうへ登っていったところだ。

 なかなか、遠い。

 是非行ってみて欲しい、というほどのものがあるわけではない。

 ただ石碑があるだけである。

 機会があったら、行ってみるのも良いだろう。

 

 鹿ケ谷の名は、単に地名ではなく、いわゆる京野菜と呼ばれるものにも、その名を残している。

 鹿ケ谷かぼちゃ、というやつだ。

 味やら栄養価やら、違いはいろいろあるが、なんといっても形が変わっている。

 ざっくり表現すれば、ひょうたんのような形をしている。

 美味しいのかと尋ねられたら、まあ、かぼちゃだよ、としか言いようがない。

 かぼちゃの嫌いな人でも食べられる!なんてことは、言えない。

 

 鹿ケ谷とよばれる辺りに、安楽寺というお寺がある。

 そこは、鹿ケ谷の陰謀より30年ほど後の世にあった、後鳥羽上皇に所縁があるお寺だ。

 紅葉の名所でも知られるこの安楽寺で、毎年、かぼちゃ供養なるものが催される。

 それが7月25日。

 って、もう過ぎてるわけだけども。

 でも、毎年行われているので、大丈夫。

 是非、覚えておこう。

 参拝者に鹿ケ谷かぼちゃの煮つけが振舞われる。

 美味しいイベントである。

 

 その他にも、法然院など、鹿ケ谷周辺には名所も多い。

 散策にはもってこいのエリアだ。

 暑い季節には、気をつけなければいけないけれど。

 琵琶湖疏水も目に涼しいし、木陰も多い。

 のんびり楽しめるとは思う。

”あいらんど”