ヒジュラ暦1426年ズー・ル・カアダ(11月)21日 ヤウム・サブティ(土曜日) |
「イスラーム世界」や「イスラーム圏」がどこを指すかという理論はさておいて(※1)、ウズベキスタンはイスラーム国である。
イスラーム諸国会議機構に加盟していることだし、モスクなマドラサ(現地発音ではメドレセ)もたくさんあるし。
数年前の年末、ウズベキスタンの古都ヒヴァのパルヴァン・カリ通り(※2)を歩いていると、突然背後から
ウワァーハッハッハッ!
という笑い声が聞こえてきた。
「む、何ヤツだ!?」と思って振り返ると、クトゥルッグ・ムラド・イナク・メドレセのベランダにサンタクロースが立っていた(冒頭の写真)。
なぜイスラム神学校の上にサンタクロースが立っているのか?
よく「日本は宗教に節操の無い国だ。仏教徒なのにクリスマスするしさあ」などと自虐気味にいう人もいるが、ウズベキスタンもなかなか節操無さそうだぞ。
よく見ると「こっちゃ来い」というような手招きをしている。
ウズベキスタンでは果たしてそのような意味のジェスチャーなのかどうかはわからなかったが、日本式の解釈なら「こっちゃ来い」である。
ということで、早速走り寄っていった。近くで見るとサングラスしているし、だらしなく衣装の前を全開にしているし、どうも「不良サンタ」だったようだ。
とりあえず一緒に写真を撮ってもらった後、「アー・ユー・ムスリム?」と尋ねると、「オフ・コース!」と力強くうなづいた。
なにがオフ・コースなんだか。その格好で「もちろん私はイスラム教徒であーる!」と主張しても何の説得力も無いぞ。
しばらくしてアタ・ダルヴァザ門から城壁の外に出てみると、今度は巨大なクリスマスツリーがあり、その前で結婚式の記念撮影をしていた。
よく見ると、式を挙げている人々はロシア人ぽい(ヒヴァでは少数派)。
ソ連時代には、公式には宗教が禁じられていたが、キリスト教(ロシア正教)とイスラームが庶民レベルではなんとなく微妙に混じり合ったりしていたのかもしれない。
当時ムスリムでなかった私は「そうかそうか、イスラム教の国にもサンタクロースはいるのだなあ」となんとなく自分なりに納得したのであった。
(※1)気になる人は、『東洋叢書⑬イスラーム世界の創造』(羽田正著、東京大学出版会)でも読んでください。
(※2)ソ連のウズベク自治共和国だった時代には、「カール・マルクス通り」と呼ばれた。独立後しばらくしてから改称。
羽田さんのこの本、大学の図書館に購入希望出してOKもらったのですが、二ヶ月くらい過ぎてもまだ入庫していないんですよ。異例の遅さです。
前に、一ヶ月くらいで入るって聞いたのに・・
いい加減早く読みたいので、自分で買おうかと思っているところです。
はじめからそうすればよかった・・。
面白そうなので楽しみです。
モスクをはじめとするイスラム建築って本当に面白いです。
平凡社あたりが、『世界モスク大辞典』なんていう、世界中のモスクの写真&平面図&解説付きの本を出版してくれないかなあなんて期待しています(平凡社はときどき、利益度外視で、マニアックなすごい本を出してくれるのが素晴らしい)。
それと、個人的にウズベキスタン旅行は超おすすめです
写真にも載せたヒヴァは特に気に入っています。
「博物館都市」の名に恥じない、古き時代の雰囲気を丸ごと残しています。そして空の青さがものすごく濃いです。
紺色ではなく、濃い青なのです。言葉でうまく伝えられないのがもどかしいほどです。
いつか是非行ってみてください
『イスラーム世界の創造』は精読ではなく、速読でひととおり読んだだけですが、全体としては自分の考え・感性との共通点が多く、面白い本でした。
早く図書館に来るといいですね。というか、年内に間に合うのかな?
イスハークさんと「サンタさん」のやりとり、
「オフコース!」の下りで思わず噴出してしまいました(笑)
「仕事」と割り切ってやっているのですかね。
最近、そう思ったりしますが、これは笑いました!!
あの「ノリ」は仕事のためだけとは思えないです(笑)。
サンタのコスプレが趣味なのかもしれません。
確かにサンタクロースは、もはやミッ○ーマ○スやキ○ィちゃんとあまり変わらない存在なのかもしれませんねえ