ヒジュラ暦1427年ジュマーダー・ル・ウーラー(5月)5日 ヤウム・ル・ハミースィ(木曜日) |
3月27日以来約2ヶ月ぶりの「カンボジア・アセアセ紀行」である。
バイヨンの次は「パプーオン→ピミヤナカス・王宮跡」というコースのはずだったが、なぜかこれは飛ばされた。後でこのことが重要な意味を持ってくる。
象のテラスは、名前のまんまの遺跡で、高さ3m・長さ300mほどの石造りのテラスの側面に延々と象の彫刻がほどこしてある。
解説書などを見ると、三頭象アイラーヴァタだの、七頭蛇ナーガだの、聖鳥ガルーダだの、同じく聖鳥ハンザだの、獅子像シンハーだのそれはもういろいろな彫像があしらわれているらしいが、時間が無い中、慌てて見学したので象しかわからない。
あっという間に象のテラスを過ぎ、癩王のテラスがそれに続く。
【象のテラス】 建立年代:12世紀末、13世紀末 建築様式:バイヨン様式 治 世:ジャジャヴァルマン7世建立、ジャヤヴァルマン8世増築 何なの?:かつてはこのテラスの上に「王の謁見の間」が建っていたらしい。 |
(ここから先は、記事の一番下にある写真を見ながら読むとわかりやすいと思います)
短い階段を登ると、癩王のテラスの頂上に着く。そこには高さ1mほどの座像が安置してあった。これはレプリカで、本物はプノンペン国立博物館に保管されている。
この像に背を向けながらソリティアット君が説明を始めた。
「この像は、癩病(らいびょう)に犯された伝説のクメール王、癩王のものであると言われていました。」
そんな説明をしているうちに、像の周りに日本人観光客のおばさま方がわらわらと集まり始めた。
ソリティアットくんは説明を続ける。
「しかし、現在ではこれは冥界の王ヤマ、つまり日本で言う閻魔様だと考えられています。」
ソリティアットくんの背後では、おばさま方が像と一緒に写真を撮り始めている。
ソリティアットくんは笑顔のまま、声高らかに宣言した。
「ですから、この像と一緒に写真を撮ると、すぐにあの世からのお迎えが来ると言われていまーす!」
熱帯気候の青空の下、そこだけ空気が凍りついた。
【癩王のテラス】 建立年代:13世紀 建築様式:バイヨン様式 治 世:ジャジャバルマン7世建立、ジャヤバルマン8世増築 何なの?:諸説有り。祈りの場であり、凱旋した軍隊に王が謁見する場であったとかなんとか。 |
癩王のテラスへの階段。ラテライト製。 | 問題の像。おばさま方の運命やいかに? |
内壁に彫られた、水中生物の群れ。 | なんとなくマヤ文明などの遺跡を思わせる像。 |
さて、明日は「カンボジア・アセアセ紀行」の続きにしようか、それとも別の話題にしようか。書きたいことはたくさんあるけど、時間と労力(能力?)がついていかない…。