MRAMへの応用を目的とした希土類酸化物薄膜を含む磁気多層膜の設計
1)MRAMとは
DRAMとフラッシュメモリの性能を併せ持つ究極のメモリ。
HDDでも用いられる磁気概念とDRAMでの半導体微細加工技術を複合応用して開発が目指されている。
2)MRAMの構造
シリコン基板上にトランジスタ/下部電極/フリー磁性体/バリア層/ピン磁性体/反強磁性体/上部電極
DRAMのキャパシタに当たる部分にTMR多層膜(フリー磁性体/バリア層/ピン磁性体/反強磁性体)が用いられる。
3)MRAM原理
下部電極でフリー磁性体のスピンの向きを変化させてピン磁性体とのスピン方向が
そろう/対向するを、0、1に対応させる。
3-1)書き込み
直交する上下電極で流す電流の向きで下部に近いフリー磁性体のスピン方向を変化させる。
3-2)読み込み
バリア層を挟んでスピンがそろったときと、対向する向きのときで
バリア層に垂直に流れる電流値が2倍以上に変化するTMR効果を利用する。
TMR効果とはトンネル磁気抵抗効果のこと。
4)セルの大きさ
ギガビット級を実現するには100ナノメーターの大きさのドット状のTMR多層膜を作る必要がある。
TMR多層膜のうちバリア層にはMgOを用いて、数ナノメーター程度の膜厚でスパッタで形成できる。
5)集積化
電極およびTMR層を面で捉えると電極層に対して磁界は並行で面内方向に磁化する。
しかし、本質的には高密度化には電極にたいして垂直方向に伸びる縦長のTMRドットを形成して
電極に対して垂直方向の磁化をさせる方が集積化する際には望ましい。
そのためには垂直磁気異方性を持つ配向TMR膜を形成し、レジストを用いて選択イオンエッチングをする。
7)希土類薄膜
希土類とはランタノイド系の別称でランタンは強誘電体、超伝導体で一般的な元素。
磁化スピンがFe,Coなどd軌道電子を使うより
La,Euなどのランタノイドではf軌道電子が作用するため、
本質的に高い磁性特性を示す。
ただし、きわめて低温では強磁性体だが、キュリー温度が低い。
8)EuO薄膜での知見
EuO膜の磁化特性に有効に活用するには
8-1)EuとOの原子間距離を近づける
8ー2)Euのf軌道を活用する
が考えられる。
これまで、Euより原子半径の小さなLaで置換することで
キュリー温度を飛躍的に高めることに成功した報告がある。
9)材料
TMR多層膜のバリア層は現在MgOが製造法を確立しつつあり、特性も高い。
ピン磁性体はハードな強磁性体で、フリー磁性体はソフトな強磁性体であるほうが望ましい。
磁性材料に希土類を用いることがこれからの開発ターゲットである。
10)成膜法
希土類を用いた磁性体を薄膜で形成してからレジストを用いてドットに形成する方法を採用されると思われる。
特に、希土類の成膜法には
10-1)希土類を含む有機金属塩溶液を用いたコーティング後、焼成
10-2)希土類とチタンを含む複合酸化物焼成後を単層剥離して転写コーティング
の二通りが考えられる。
1)MRAMとは
DRAMとフラッシュメモリの性能を併せ持つ究極のメモリ。
HDDでも用いられる磁気概念とDRAMでの半導体微細加工技術を複合応用して開発が目指されている。
2)MRAMの構造
シリコン基板上にトランジスタ/下部電極/フリー磁性体/バリア層/ピン磁性体/反強磁性体/上部電極
DRAMのキャパシタに当たる部分にTMR多層膜(フリー磁性体/バリア層/ピン磁性体/反強磁性体)が用いられる。
3)MRAM原理
下部電極でフリー磁性体のスピンの向きを変化させてピン磁性体とのスピン方向が
そろう/対向するを、0、1に対応させる。
3-1)書き込み
直交する上下電極で流す電流の向きで下部に近いフリー磁性体のスピン方向を変化させる。
3-2)読み込み
バリア層を挟んでスピンがそろったときと、対向する向きのときで
バリア層に垂直に流れる電流値が2倍以上に変化するTMR効果を利用する。
TMR効果とはトンネル磁気抵抗効果のこと。
4)セルの大きさ
ギガビット級を実現するには100ナノメーターの大きさのドット状のTMR多層膜を作る必要がある。
TMR多層膜のうちバリア層にはMgOを用いて、数ナノメーター程度の膜厚でスパッタで形成できる。
5)集積化
電極およびTMR層を面で捉えると電極層に対して磁界は並行で面内方向に磁化する。
しかし、本質的には高密度化には電極にたいして垂直方向に伸びる縦長のTMRドットを形成して
電極に対して垂直方向の磁化をさせる方が集積化する際には望ましい。
そのためには垂直磁気異方性を持つ配向TMR膜を形成し、レジストを用いて選択イオンエッチングをする。
7)希土類薄膜
希土類とはランタノイド系の別称でランタンは強誘電体、超伝導体で一般的な元素。
磁化スピンがFe,Coなどd軌道電子を使うより
La,Euなどのランタノイドではf軌道電子が作用するため、
本質的に高い磁性特性を示す。
ただし、きわめて低温では強磁性体だが、キュリー温度が低い。
8)EuO薄膜での知見
EuO膜の磁化特性に有効に活用するには
8-1)EuとOの原子間距離を近づける
8ー2)Euのf軌道を活用する
が考えられる。
これまで、Euより原子半径の小さなLaで置換することで
キュリー温度を飛躍的に高めることに成功した報告がある。
9)材料
TMR多層膜のバリア層は現在MgOが製造法を確立しつつあり、特性も高い。
ピン磁性体はハードな強磁性体で、フリー磁性体はソフトな強磁性体であるほうが望ましい。
磁性材料に希土類を用いることがこれからの開発ターゲットである。
10)成膜法
希土類を用いた磁性体を薄膜で形成してからレジストを用いてドットに形成する方法を採用されると思われる。
特に、希土類の成膜法には
10-1)希土類を含む有機金属塩溶液を用いたコーティング後、焼成
10-2)希土類とチタンを含む複合酸化物焼成後を単層剥離して転写コーティング
の二通りが考えられる。
不揮発性磁気メモリMRAM―ユニバーサルメモリをめざして (ケイ・ブックス)猪俣 浩一郎工業調査会このアイテムの詳細を見る |