リーグ戦で降格圏からなかなか抜け出せずにいるエルジーエスを相手に、まさかの敗戦を喫したガラタサライ。ゲレツ監督は試合を振り返り、「今日のプレーはわれわれにまったく似合わないものだった。悪夢のようだ」と語ったほど、ガラタサライの問題点がはっきりと浮かび上がった試合となった。
1つは前半に見せた組織的な動きの欠如。ゲレツ監督も「今日も組織的な部分で大きく足りない部分があった」と指摘した。序盤こそ、コンパクトなサッカーを心掛けていたが、ボールは支配するものの、チャンスを作るまでには至らなかった。相手が引いて守ってからのカウンター狙いだったこともあったが、ガラタサライのミスも目立った。さらに、攻撃が手詰まりになったときに、それを解決する動きがないのも大きな原因だった。スペースへの動き、ポジションチェンジが少なく、前線での動きもなく、ただボールをもらうだけになってしまう。こうした状況が続くと、今度は相手もマークに付きやすく、ガラタサライはさらに手詰まりになって、中盤の組織を失った。その結果、苦し紛れのロングボールに頼るという戦い方になってしまった。
もう1つは深刻な決定力不足に陥っているガラタサライのFW陣。前半41分にFWユミトがPKを外したのを筆頭に、後半に作り出した多くのチャンスを決めることができなかった。後半15分にFWハサン・カブゼが稲本からのパスを受け、GKと1対1の場面を迎えたが、ゴールを奪うことができなかった。
90分間を0-0で終え、延長前半早々の2分にコーナーキックからこぼれたボールをMFアルダが決めて先制点を奪ったガラタサライだったが、このリードを守り切れなかった。7分には、DFトマスがペナルティーエリア内で相手を倒して与えたPKを、ラザロフに決められ、1-1の同点に追いつかれた。このPKを与えた場面に関して、ゲレツ監督は「やってはいけないミスが出た」と話している。最後まで攻め続けたガラタサライだったが、勝ち抜くためのゴールを奪えずにベスト8で敗退が決まった。
指揮官の話す限りでは、悪い部分を出し切って、ベスト8でカップ戦敗退に追い込まれたガラタサライ。この日契約延長が発表されたゲレツ監督は、「この結果では契約延長の話を喜ぶことはできない」と語り、明るい話題に水を差された形となった。また、「今日のわれわれの計画では、勝ち抜いて、モチベーションを高めて、土曜日に行われるベシクタシュとのダービーに向けて準備することだったが、計画は失敗した」と敗退の重みを説明した。
ボランチとして出場した稲本はバランス良くプレーした。普段のポジションよりも高い位置でプレーし、積極的に攻撃に絡んだ。攻撃の動きとして目立ったのが、イリッチと縦の関係でうまくポジションチェンジしていたこと。イリッチが下がったときに、タイミング良く前線に駆け上がることができていた。だが、チームのバランスが崩れるとともに、守備に費やす時間が多くなった。後半31分に負傷で交代したが、「打撲でプレーに支障が出たため、交代した。土曜日のベシクタシュとのダービーには出場できると思う」と大きなけがではないことを強調した。また、チームの敗退については残念なことと話しつつも、「リーグ戦に集中して、優勝できるようにしたい」とコメントした。
[スポナビ]