射水市聴覚障害者協会

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伝えて支えて 名張市コミュニケーション条例/1 手話通訳者 ろう者の権利、守れる喜び /三重(毎日新聞)

2017年07月13日 | 法・条例・制度

以下引用 毎日新聞 2017年7月11日  https://mainichi.jp/articles/20170711/ddl/k24/020/304000c

 

 全ての障害者にとって意思疎通が図りやすい環境の整備を目指す名張市の「手話その他コミュニケーション条例」が6月に施行された。障害者が手話や点字など障害の特性に応じたコミュニケーション手段で社会参加し、障害の有無を問わず、互いを尊重し合う共生社会の実現をうたう。長年にわたり、障害者の情報支援に取り組んできた人たちの思いを、名張市を中心に紹介する。【竹内之浩】
 
 「下を向かないで。表情が見えないよ」。講師役の倉田利江子さん(64)の指摘が飛ぶ。10~70代の男女が言葉ごとに表情を変え、手の振り方に強弱を付ける。時には2役、3役と演じ分け、まるで一人芝居のようだ。そこでもう一人の講師、南恵美子さん(62)が指で「OK」と示した。
 6月、名張市総合福祉センター(丸之内)であった同市の手話サークル「若竹会」の例会。同市や伊賀市などの22人が所属し、倉田さんは35年前の発足時からのメンバーだ。一方、南さんは重度の聴覚障害があり、市聴覚障害者協会会長を務める。若竹会の会員ではないが、会員の技術向上に長年協力している。
 倉田さんは両親が聴覚障害者(ろう者)で幼児期から自然に手話を覚えた。そんな生い立ちから「支援するのは当たり前」と、さまざまな場面で障害者の手話通訳を務めてきた。
 事故を起こした人に依頼され、警察の現場検証で通訳をしたこともあるし、南さんの出産時には病院で立ち会った。「ろう者の権利や生命を守れた喜びが活動の原動力」と話し、現在も名張市が利用無料の福祉サービスとして派遣する「登録手話通訳者」として病院の受診や学校の保護者面談などに同行し、障害者の生活を支えている。
 一方で、手話奉仕員養成講座の講師などを務め、手話の普及に取り組む。通訳のポイントは、伝える内容を的確につかみ、短く、分かりやすく表現すること。手話の知識や技術だけではなく、国語力が重要になる。会では小学生の国語の教材を使って平易な文章を学ぶ工夫もしている。
 「人それぞれ手話に癖があり、方言もある。上達するには多くの手話と出合うことが大切」と話すのは同会代表の石川広子さん(66)。県内や奈良の手話サークルの集まりや全国の福祉大会に参加し、経験を積んでいる。
 他の会員も毎週木曜の例会で技術を磨く。街中や旅先で聴覚障害者を手助けしたり、交流したのをきっかけに、付き合いが続いている人も多い。そんな喜びを重ね、少しずつ会員は増えている。
 条例制定に南さんは「手話は私の命。市民に広がってほしい」と話し、公的施設での手話が分かる人の配置や市民向けの学習会が増えることを期待する。
 それと共に会員が願うのは、手話を取り入れた小中学校での学習の実施だ。会では月2回、桔梗が丘中の手話クラブを指導するほか、求めに応じて小学校での講師も務めている。授業では「耳の不自由な人ともっと話がしたい。それには何が大事ですか」などと多くの質問が寄せられる。
 「私の一番幸せな時間。彼らが福祉に夢を持ち、障害者を支えるきっかけになればどんなにうれしいか」。倉田さんは自身の夢を託す子どもらの姿を思い、ほほ笑んだ。=つづく
 
 ◆二つの手話
 手話は大別して二通りの方法がある。一つは日本語の語順通りに手話の単語を並べていく「日本語対応手話」。中途失聴者や難聴者、健聴者にとって学びやすく、手話サークルの多くはこちらを使っているという。もう一つの「日本手話」は、ろう者の間で独自に発達した言語で語順など日本語と異なる文法を持つ。
〔伊賀版〕 

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